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第6回 出力装置

入力装置から取り込んだ情報と命令でCPUが仕事をした結果を人間に渡すのが出力装置です。人にたとえれば、口や手・足にあたります。
今回はよく使用される出力装置について説明します。

処理した結果は何らかの形でコンピュータの外部に送り出し、人間や別の機械に渡さなければなりません。そのための装置が出力装置です。もっともポピュラーなのがディスプレイとプリンタです。図形や文字を画面に表示または紙に印刷して結果を伝えます。


情報の出口

入力装置では情報をデジタルに変換してコンピュータに送り込みました。出力装置ではデジタル信号で得られる処理結果を人間が利用できる文字や図形、音声、画像に変換します。入り口でCPUが使用するデジタル信号に変換した情報を再び人間が利用できる状態に戻すのです。
出力装置もコンピュータの処理機能の増大に伴い、多様化しています。今回は代表的な機器の動作のしくみや種類を説明します。

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ディスプレイ

ディスプレイ(Display)は、モニタ(Monitor)とも呼ばれます。コンピュータの処理状況や結果を画面に表示する装置です。コンピュータにはかかすことのできない装置です。ディスプレイは近年、ブラウン管を使用するCRTディスプレイから液晶ディスプレイに主役の座が交替し、大型化が進行しています。

ディスプレイの種類

CRTディスプレイと液晶ディスプレイの2種類に大別することができます。

CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)
ブラウン管を使用した表示装置です。
ブラウン管は、電子銃から発射される電子ビームを偏光ヨークと呼ばれる電磁石で曲げて、装置前面の蛍光体に照射して発光させる仕組みです。
CRTディスプレイには、アパーチャグリル方式とシャドーマスク方式があります。
アパーチャグリル方式はトリニトロンやダイアモンドトロンに採用されており、精確な描画に定評があります。シャドーマスク方式はマスクピッチを小さくしやすく、コストも低く耐用年数も長いといわれます。
CRTディスプレイの出荷台数は、2004年度は前年比44%まで減少しており、2007年には10000台を割り込むという予想もあります。
(JEITA発表: http://it.jeita.or.jp/statistics/intelterm/2004/display.html
図:CRTディスプレイのしくみ
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)
2枚のガラス板の間に液晶物質を封入し、電圧をかけることによって液晶分子の向きを変え、偏光板を通すことで光の透過率を増減させます。窓のブラインドを操作して入ってくる光を加減するようなしくみです。液晶ディスプレイではこれを非常に細かな領域に区切って行います。ひとつひとつの点が光を加減します。液晶自体は発光せず、背後に組み込んだ蛍光灯(バックライト)の光を加減して画像を表示します。
液晶パネルの急速な価格低下や省スペースと省エネに対する強いニーズにより、デスクトップ用コンピュータのディスプレイとして急速に普及が進んでいます。
図:液晶ディスプレイのしくみ

ディスプレイの性能・機能

解像度
「解像度」は画面1インチあたりに表示される画素数で表されます。
画面に表示される文字や図形、画像はすべて点(画素)の集まりで表現されます。この点をピクセルといい、1インチあたり何ピクセル並べられるかで解像度を示します。
Macintoshの画像解像度は、72ピクセル/inch、1ピクセル=25.4mm/72=0.353mm です。
Windowsの通常画像解像度は、96ピクセル/inch、1ピクセル=25.4mm/96=0.265mm です。
最大表示色
表示できる最大の色数。大きいほど正しい色再現力を持っていることを意味します。一部の機種をのぞいて、ほとんどが24bitカラー(約1677万色)に対応しています。
応答速度(リフレッシュレート Refresh rate)
一枚一枚の画像が切り替わる速度。速ければ速いほど、画面の切り替えがスムーズに行われます。逆に遅いと動きの早い画像を表示しているときに残像が気になったり、フレームレートの落ち込みでゲームを快適にプレイできなくなったりします。
ビデオ入力端子
画像信号を入力するためのコネクタは従来、D-Sub15ピンのアナログRGBケーブル一辺倒でしたが、最近ではデジタル入出力コネクタDVIが主流です。コンピュータからの出力と接続用のケーブルを適合させなくてはなりません。
画面サイズ
ディスプレイの性能は、解像度(ピクセル数)と色数で表されます。グラフィックス表示規格では、解像度(ピクセル数)と色数の両方を規定している場合が多いのですが、ほとんどの場合、解像度(画面サイズ)だけで表されています。
規格 正式名 解像度 特徴
QVGA

Quarter VGA

320×240

VGAの4分の1のサイズ。携帯端末などで用いられています。

CGA

Color Graphics Adapter

640×200
320×200

初期のIBM PCに採用、320×200ピクセル4色または640×200ピクセル2色

VGA

Video Graphics Array

640×480

IBM PC/AT互換機用のグラフィック表示規格。16色表示

SVGA

Super VGA

800×600

VGAの拡張版

XGA

eXtended Graphics Array

1024×768

15インチディスプレイで標準的に採用

WXGA

Wide XGA

1280×768

XGAのワイド版

Quad-VGA

Quad VGA

1280×960

VGAの4倍のサイズ

SXGA

Super XGA

1280×1024

 
SXGA+

Super XGA plus

1400×1050

 
UXGA

Ultra XGA

1600×1200

 
QXGA

Quad XGA

2048×1536

XGAの4倍のサイズ

QUXGA

Quad Ultra XGA

3200×2400

UXGAの4倍のサイズ

QUXGA Wide

QUXGA Wide

3840×2400

 
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プリンタ

処理結果を紙などに印刷する出力装置です。文字、図形を始めデジカメの写真画像を、紙はもとよりCD-RやDVD-Rなどの盤面に直接印字したり、ラベルを出力したりします。低価格で高画質なインクジェットプリンタの普及で、家庭でもコンピュータの出力装置としてとしてかかせない機器です。
プリンタは印字方式によって、画質、印字速度、コストが大きく異なります。それぞれの特長や印字のメカニズムを説明します。

プリンタの種類

レーザープリンタ(Laser printer)
電子写真方式(コピー機と同じ原理)でページプリンタの代表的な方式です。印字品質が高く、高速です。ビジネス用として標準的なプリンタとなっています。
カラーレーザープリンタは、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)3色またはそれにK(クロ)を加えた4色を重ねて発色させるのが従来のしくみで、カラー印刷にモノクロの約4倍の時間がかかっていました。しかし、最近では、感光ドラムを4本用意し、モノクロとほぼ同一のスピードでカラー印字を行う方式のものが製品化されています。しかも低価格化も進んでおり、カラーレーザープリンタは成長が著しく、モノクロからカラーへの買い換えが進んでいます。2004年にはページプリンタにしめるカラーページプリンタの割合が8台に1台、これが2008年には4台に1台はカラーになると予想されます。
図:レーザープリンタのしくみ
インクジェットプリンタ(Ink Jet printer)
専用のインクを細いノズルの先端から微細な液滴として印刷物の形に合わせて吹き出し、これを用紙上に付着させて印刷します。
レーザープリンタに比べると印刷速度などでは劣るものの、音が静かで安価なことから、個人向けには圧倒的な人気があり小型プリンタの主流となっています。
インクジェットプリンタは、プリンタ専用機からスキャナやファクス、コピー機能を組み込んだ複合機の人気が高くなっており、3台に1台は複合機といわれます。
(IDC Japan 2004年7月8日: http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0708/idc.htm
図:インクジェットプリンタのしくみ
熱転写プリンタ
熱で溶ける固体インクを感熱ヘッドで加熱し、溶かしたり昇華させて紙に転写する方式のプリンタで、高精密なカラー印刷が可能です。昇華方式では、昇華度合を調整して印字濃度を制御できるため、写真に近い印字品質を得ることができ、フルカラー画像作成に向いています。
ビデオ静止画やデジカメのフォト専用プリンタとしての利用が盛んです。
ドットインパクトプリンタ(Dot Impact printer)
データを点(ドット)の集合で表し、その形に合わせた印字ピンで紙を叩く方式です。印字音が大きく解像度も低いという欠点がありますが、ランニングコストが低く、カーボン式の複写用紙に印字できます。複写伝票用紙出力以外の用途にはあまり使われませんが、世界的にはそれほど大きく減少しているわけではなく2004年度はほぼ前年並みの出荷台数です。
感熱式プリンタ(Thermal printer)
感熱ヘッドで感光紙を発色させます。シンプルな構造で、かつてはファクスの印字部分に使用されていましたが、感光紙は変色しやすく保存に問題があります。
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オーディオその他

処理結果を文字や図形など目で見る情報として出力するだけでなく、音声で出力する装置もあります。
図面の出力に特化したプロッタや、プレゼンに使用されるプロジェクターも出力装置の一種です。

スピーカー、オーディオ(サウンド)アダプター

音声出力は、コンピュータに内蔵されているサウンドカードが行います。処理結果のデジタル信号をアナログの音声信号に変換し、アンプやスピーカーに送ります。サウンドカードについては、「9回目 CPUを支える舞台装置」で説明します。
サウンドカードからの音声信号を人の耳に伝えるのはスピーカーです。2000円台から2万円近いものまで(富士通AzbyClub)幅広い商品が存在し、市場全体ではさらに高い価格帯の商品もあり、BOSEなどの音響メーカーの商品もあります。これはコンピュータによるテレビ視聴やDVDやCDの再生などがマルチメディア利用が多くなってきたことによります。さらに、より高音質や5.1ch対応、デジタル出力などを求める場合はサウンドカードやUSBに接続するオーディオ(サウンド)アダプターを使用することになります。オーディオ(サウンド)アダプターは、音声信号がコンピュータ内部を通らず、デジタル信号のまま出力され、アダプターの中でアナログ信号に変換されるので、内蔵のサウンドカードに比べてコンピュータ内部の雑音の影響が少ないという長所があります。

プロッタ(Plotter)

印刷装置です。建築や機械などのCAD/CAMデータを、図面として印刷する装置です。一般的に図面として使用するため、多くの場合A3を超える大きな用紙を使います。
プリンタと異なり、コンピュータは図形を直線や曲線の集合で表現したベクトルデータによって出力します。プロッタは例えば、専用ペンまたは用紙を動かして、手で描くのと似た動作で図形を描きます。最近ではレーザープリンタと同じメカニズムを使うものなどさまざまなタイプがあります。

プロジェクター

プレゼンテーションや講演会場などでスクリーンに投影して、画面を大きく見せる目的で使用します。
液晶とDLPの2タイプに分けることができます。液晶プロジェクターは、光源からの光を赤・緑・青の3色に分離し、それぞれの色ごとに液晶パネルを透過させ、再びプリズムで1ヶ所にまとめて投影します。調整が簡単で安価に入手できますが、コントラスト比は高くありません。
一方DLP(Digital Light Processing)プロジェクターは、電気的に角度を制御できる微細な鏡を集めたDMD(Digital Micromirror Device)に光を当て、微細な鏡を毎秒数千回動かして画像を描きます。鏡の反射を利用するので光が減衰せず、コントラスト比の高い画像が得られますが、素子の価格が高いので機器そのものもまだ高価です。
ディスプレイと同じ方法でコンピュータと接続します。画面の広さは、VGA(640x480)からXGA(1024x768)程度の解像度に対応しています。プロジェクターのカタログに性能を表す数値が、「ANSIルーメン」です。この数値が大きいほど明るい画像を投影できます。投影面を9分割し、それぞれの明るさの平均をプロジェクターとスクリーンの距離で割った数値です。

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これからの出力装置

入出力装置

入力または出力のどちらか一方の装置を説明してきましたが、実際には入出力両方の機能を持つ装置もあります。モデムやネットワークに接続するためのアダプター類は情報の送受信両方を行います。
インクジェットプリンタ複合機はひとつの筐体にプリンタ・スキャナの両方の装置が組み込まれており、1本のケーブルでコンピュータに接続されています。これもコンピュータへの入出力装置ということができます。USBオーディオ(サウンド)アダプターにもスピーカーやイヤホン端子以外にマイクやライン入力端子を装備して音声の入力ができるものがあります。入力装置・出力装置という分類は今後難しくなるかもしれません。

多機能化と価格競争

インクジェットプリンタの出荷台数の大きな牽引役となっているインクジェット複合機は、1つの筐体にプリンタ、スキャナ、カードリーダーを組み込み、プリントやスキャンはもとより、それらを組み合わせたコピー機能、ダイレクトプリント機能、カード読み取り機能を実現しています。コピーやダイレクトプリントではコンピュータを必要としません。液晶ディスプレイではテレビチューナーやスピーカーを内蔵したり、USBハブ機能を持つ機種があります。こうした多機能化とともに、低価格化も進行しています。液晶ディスプレイやインクジェットプリンタは驚異的に値下がりしていますし、カラーレーザープリンタも例外ではありません。市場が本格的な普及段階で規模が拡張傾向にあったこと、海外生産の本格化、価格競争などが原因で、やがて底を打つはずです。
これからの出力装置は、プリンタ複合機のような機器の組み合わせや、携帯音楽プレーヤーに見られるネットとの連携、ソフトやメディアとの連携など、ユーザーのニーズにあった新しい出力装置の開発が急務のように見えます。

入出力装置とCPU

これまでに説明したCPUとメモリ、入出力装置の概念図です。チップセットがCPUとメモリや各装置との間を仲立ちする重要な役割を担っています。

図:CPUとメモリ・入出力装置の関係概念図
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