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第2回 働きをおさらいする

今回はコンピュータの5大機能のおさらいと、パーソナルコンピュータの構造がどうなっているのか、機能と構造との関係を見てみましょう。


コンピュータの5大機能

コンピュータは初期のものと比べれば現在は格段の進歩を遂げていますが、基本的な機能自体はほとんど変わっていません。そのコンピュータの機能は大きく5つに分かれています。それが、入力、出力、記憶、制御、演算の5つです。これらの機能がバランスよく働いて能力を発揮するわけです。それぞれの機能を簡単に見てみましょう。

  1. 入力
    コンピュータに仕事をさせるための命令やデータなどを入力する機能。キーボード、マウスなどがすぐ思い浮かぶでしょうが、トラックボールやポインタ、スキャナ、マイク、タッチパネル、OMR、OCRなどのほかにバーコードリーダーやデジタルカメラなども入力装置といえます。昔の大型コンピュータはパンチカードを利用していましたが、これも入力装置です。
    第5回「入力装置」参照

  2. 出力
    コンピュータが仕事をした結果や入力している状態などを表わす機能です。プリンタなどは出力装置だとわかりやすいですが、ディスプレイも出力装置です。また、スピーカー、プロッタも出力装置となります。
    第6回「出力装置」参照

  3. 記憶
    入力された命令やデータなどを一時的に記憶したり、処理した結果を出力するために一時的に記憶したりする主(内部)記憶装置(メモリ)と、ファイルやデータなどを長期保存しておくための補助(外部)記憶装置とがあります。たとえばハードディスクやフロッピィディスクは「内蔵」されていても「外部記憶装置」なのでご注意を。ほかにはCDやDVD、MO、カード型メモリ各種などがあります。
    第4回「名脇役メモリ」参照
    第7回「情報を貯蔵する(補助記憶装置)」参照
    第8回「情報を持ち歩く(補助記憶装置2)」参照

  4. 制御
    それぞれの装置を正しく働かせるためのコントロール機能です。この機能は単体の部品としてではなく、演算機能と一体化された中央処理装置として存在します。
    第3回「主役はCPU」参照

  5. 演算
    コンピュータの本質機能。文字どおり計算をする機能で、プログラムに従って入力されたデータを処理し出力にまわします。ほかの機能はすべて、この演算機能を補助する役割ともいえます。現在は通常、演算機能と制御機能が一体となって中央処理装置(CPU)と呼ばれています。このCPUの性能がほぼコンピュータの性能といえ、簡単にはクロック2.5GHz(ギガヘルツ)などの処理速度で表わされています。
    第3回「主役はCPU」参照

コンピュータの5大機能 一覧
機能 働き 装置
入力 命令を伝える キーボード、マウス、スキャナ、パッドなど
出力 処理結果を表わす ディスプレイ、プリンタ、スピーカーなど
記憶 命令を一時記憶
データを保存
メモリ、ハードディスク、CD-R/RW、FD、MOなど
制御 各装置のコントロール CPU
演算 命令を実行・計算 CPU

これらの機能を円滑に働かせるために、それぞれの補助装置と呼ばれる機能もありますが、それらについても含め、今後の連載では、機能のひとつひとつをもう少し細かく紹介していく予定です。
掲載予定は文末の「タイトル一覧」をご覧ください。なお、内容につきまして、特にここが知りたいというようなご要望がおありでしたらアンケートにご記入ください。

5大機能の概念図
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コンピュータの仕組み

それでは、コンピュータがこれらの機能をどのように使って「仕事」を進めていくのか、順を追って見てみることにしましょう。
以下の例では、プログラム(ソフトウェア)は既にインストールされていて、使える状態になっているという前提で進めます。

コンピュータに電源を入れると、まずはOS(オペレーティグシステム)が起動します。ウィンドウズXPなどやマックOSがこれに当たります。各プログラム(ソフトウェア)はこのOSの上で作動します。次に作業をさせるプログラムを立ち上げます。そこでコンピュータに仕事をさせるために命令をしますが、その命令は入力装置を通じて行なわれます。たとえばファイルを「開く」ためにメニューの該当項目にマウスを合わせクリックする、あるいは計算させるためのデータ(数字)をキーボードから打ち込むなどです。入力後、リターンキーを押すと、命令として認識されます。
そこで入力された命令は一時的に記憶装置に送られ、処理待ちとなります。ここで制御機能が働き、処理待ち命令は演算機能に回されます。命令を実行した(演算処理された)結果はまた一時的に記憶され、制御機能により出力装置から出力、つまり画面に表示されます。この一連の作業が瞬時に行なわれるわけです。
CPUは人間の脳の働きをまねして作られているといわれますが、それ以上に、社会的な人間の行動・活動にもよく似ています。

私たちの仕事の流れに例えてみましょう。
経営会議であるタスクが決定されると、それを上司という入力機能が社員に伝えます(文字どおり命令ですね)。場合によっては、プロジェクトという特命で、直属の上司からではないケースもありますが、これは別の入力装置となります。社員は「その仕事をやるのか」と一時記憶し、仕事をやるための手順を考え(制御機能が働く)、それを行動に移し仕事をします(演算処理に当たります)。このときの手順や仕事の中身は、CPUの処理能力に相当します。「やっと終わった」と一時記憶し、「この仕事はこうなりました」と結果を上司に報告します。社員が上司に伝えることが出力なのか、報告を受けた上司が会社に伝えるのが出力なのかは議論の余地がありますが、本当の出力結果はプリントアウトされた請求書かもしれません。そしてこの社員の仕事の結果は「評価」として考課表という外部記憶に蓄積されるわけです。あるいは「評判」となって社員に記憶されます。
このように実社会でも、入出力や記憶には幾通りもの「装置」があります。
この例では社員をCPUに例えているため、「社員は会社の頭脳ではない、手足だ」と異論のある方もおられるでしょうが、仕事を実際に処理するという点においては頭脳の一部といえるでしょう。社員を手足ではなく頭脳の一部と見なすことで、業績をさらに伸ばすことができるかもしれませんね。

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コンピュータのハードウェア構造

機能と仕組みを駆け足で見てきましたが、実際のコンピュータではどのようになっているのかを覗いてみます。
ここでは一般的なデスクトップ・パソコンを例にとります。
現在のパソコンは、それぞれの機能がはっきりとユニット化されていて、非常にわかりやすくなっています。キーボードとディスプレイ、ケースを別にすると、パソコン内部にあるユニットは、パソコン本体機能であるマザーボード、記憶装置であるハードディスク、CDまたはDVDドライブ、電源(コンピュータの機能ではありませんが、電気製品には必ず必要)が標準的なものです。必要に応じてフロッピィディスクドライブ、MOなども搭載されます。
マザーボードというのは、一枚の大型基板にCPUをはじめ、チップセット(マザーボードに必要な機能をまとめたLSI)、メモリ、拡張スロット、各種ポートなどの入出力機能を載せたものです。パソコンの画面を描くグラフィックカード、音源のサウンドカード、通信のためのモデムカード、LANカードなどの機能別のカード類(ここでいうカードとは小さい基板のことで、ボードと呼ばれることもあります)もマザーボードに装着します。
英語では「元になるもの」という意味でマザーという言葉をよく使いますが、演算、制御、内部記憶を一体化し、すべてのユニットを管理するマザーボードは、まさに「母なる基板・マザーボード」といえます。
手作りパソコン(DIYパソコン)という言葉も耳にすると思いますが、手作りといっても、昔のラジオ製作のように、トランジスタ、コンデンサ、抵抗などの各部品を調達し、それらをハンダ付けして完成させる、という手間暇かかるものではなく、それぞれのユニットを買ってきて組み合わせるだけでできてしまいます。どの機能を重視し、どういう性能のユニットを組み合わせるか、が腕の見せ所となるわけです。
このように、現在のパソコンは、必要な機能だけを高性能化したり、故障した機能だけを交換したりすることが簡単にできます。たとえば処理速度を速くするには、CPUを最新の高速のものに換える(高いですが)、メモリを増やす、などの対応があります。大量のデータを記憶させたければハードディスクを大容量のものに交換すればいいのです。

つねにニューモデルが発表され、買い換えを促されてしまうパソコンですが、用途によっては、ユニット交換することで少ないコストでグレードアップできます。そこで余ったコストは、次の買い換えのために貯めておきましょう。

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