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第5回 入力装置

CPUにとって目や耳にあたるのが入力装置です。外部から命令や情報をコンピュータに入力するための装置です。今回は日頃よく利用する入力装置を中心にその構造や入力のしくみを説明します。

入力装置としてもっともポピュラーなのがキーボードとマウスです。キーボードから文字を入力し、マウスで位置を指定したり、コマンドを選択して、CPUに情報や命令を入力しています。
コンピュータに入力するためには、デジタルデータにしなくてはなりません。

しかし、今日ではコンピュータの用途が広がるにつれて、入力される情報の種類が増え、そのためにさまざまな入力装置が登場しています。


情報の入口

入力装置とはCPUに情報や命令を入力する装置です。
文字・数値・位置情報、画像、映像、音声などのさまざまな情報をデジタルデータに変換して、コンピュータに送ります。コンピュータ内部では、例えばキーボードやマウスからの情報はキーボードコントローラーという専用のマイコンが受け取り、マイクから入力されたアナログの音声はサウンドカードのA-D(アナログ−デジタル)コンバーターが受け取るというように専用の処理装置を経たり、スキャナやデジカメのようにUSBなどの汎用の入出力装置を経て、データがCPUに伝えられ、処理が行われます。

コンピュータの周囲を見回すと次のような入力装置があります。

入力装置 解説
キーボード

文字や命令を入力します。

マウス

ポインタを操作して画面上の位置や命令を入力します。

イメージスキャナ

写真や絵などをパソコンに取り込みます。

デジタルカメラ

画像を撮影しフィルムの代わりにメモリに記録します。

マイク

音声認識ソフトの操作や、音声の入力を行います。

また、お店やオフィスでは次のような入力装置を見かけることがあります。これらもコンピュータへの入力装置です。

入力装置 解説
タッチパネル

画面を指で触れて、マウスやキーボードとほぼ同じ操作を行います。

タブレット

ペンで専用の台の上をなぞることでマウスと同様の働きをします。

バーコードリーダ

バーコードを読み取ります。

磁気カードリーダー

カードに書き込まれた磁気データを読み取ります。

GPS受信機

GPS受信機が受信したデータを読みこみます。

OCR/OMR

マークシートやOCR専用シートに記入された文字やマークを読み取ります。

この他にも、特定の用途に特化した計測装置やセンサーなどもコンピュータへの入力装置として使用されます。

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キーボード

キーボードのひとつひとつのキーはそれぞれが1個のスイッチになっています。
キーボードを構成するのは、たくさんのスイッチとキーボードマイコンといわれる専用のマイコンチップとNumLockやCapsLockなどを表示するLED、キーボードケーブルです。
キーのスイッチは、メモリセルの配置と同じように格子状に配列されています。
キーが押されると、キーボードマイコンは、行と列をスキャンして、どのキーが押されたかを判別し、キーの通し番号をシリアルデータにしてコンピュータに送ります。キーが放されたときも同じようにコンピュータに押されたキーの通し番号を送ります。
ここで送られるのはキーに印字されている「A」とか「B」という文字や文字データではなく、そのキー固有の番号です。この番号を「A」とか「B」という文字にするのは、OSの仕事です。
コンピュータ側ではキーボードコントローラーという専用のマイコンがこの信号を受け取ります。キーボードコントローラーは、CPUに対して割り込みを発生させます。割り込みを受けた CPU は、キーボードコントローラーから「どのキーが押された(または放された)」という情報を受け取り、その情報に応じて処理を行います。こうして、CPUはキーボードの状態の変化を受け取り、それに見合った処理を行います。

キーボードの種類

キーボードは次のように分類することができます。

キーの数で分類する
分類 解説
106キーボード

PC/AT互換機の標準的な日本語キーボードで、106個のキーを装備。

109キーボード

106キーにWindowsキーとアプリケーションキー加えた109個のキーを装備。

101キーボード

101個のキーを装備した英語用標準キーボード。

104キーボード

101キーボードにWindowsキーとアプリケーションキーを加えたもの。

キー配列による分類
キー配列 解説
ASCII配列

アルファベットの配列は JIS配列と同じですが、特殊記号の配置が異なる。

JIS配列

JIS規格で定められているキー配列。日本では最も普及している。

QWERTY配列

標準的なキーボードレイアウトの通称(タイプライターの配列)。左上から順に QWERTY と並んでいるところから付けられた。

DVORAK配列

QWERTY配列の代わりとして考案された英字の配列。
英文は合理的といわれるが、日本語のことは全く考えられていない。

キーボードの形状など
形状 解説
Microsoft Natural Keyboard

Microsoft社が人間工学に基づいて開発した PC/AT用のキーボード。
メインキーを右手および左手で操作する2つの部分に分割し、これらを V字形に配置。Proタイプもある。

親指シフト

富士通の日本語入力用のキーボード。かなが3段に割り当てられていて、日本語入力がしやすい。富士通OASYSやFM-Rシリーズに採用された。
英文の配列はJIS キーボードと同じ、英字の入力にも不自由がない。

コンピュータへの接続方法による分類
接続方法 解説
PS/2

マウスやキーボードを接続するための専用規格。

USB

キーボード以外にもデジタルカメラやプリンタなどの周辺機器を接続する汎用の入出力規格。

ワイヤレス

赤外線や電波で接続する。
パソコンと受信機を接続し、キーボードと受信機が赤外線や電波で通信する。

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マウス

マウスのように画面上の位置を指定する機器をポインティングデバイスといいます。マウスの移動に伴って送られてくる相対位置情報を画面上に反映させ、マウスポインタの表示を移動させています。
マウスには、キーボードと同様に制御用チップが内蔵されています。マウスを移動させると、移動方向、移動量を計算して制御チップが相対座標値をマウスケーブルに通じてコンピュータに送ります。マウスコネクターに接続されたキーボードコントローラーは信号を受けとってCPUに伝えます。キーボードコントローラーはキーボードとマウスの両方の面倒を見ています。

マウスの種類

マウスは次のように分類することができます。

ボタンの数による分類
種別 解説
1ボタンマウス

Macintosh用のマウス。

2ボタンマウス

Windows用のマウス。

3ボタンマウス

UNIX用のマウス。

※一般的な分類です。専用ということではありません。
移動を検出するしくみによる分類
検出方式 解説
機械式マウス

マウスをひっくり返すと、ボールが見える。
マウスを動かすと底部にあるボールが回転する。このボールの縦方向と横方向の回転量と回転方向をロータリーエンコーダーという装置で読み取りマウスの移動量と移動方向を検出する。

光学式マウス

マウスをひっくり返すと、LEDの光が見える。
光学センサーによって、机の上の模様や微妙な凹凸を読み取り、マウスがどの方向にどれくらい移動したかを検出する。

コンピュータへの接続方法による分類
接続方法 解説
PS/2

マウスやキーボードを接続するための専用規格。従来、標準的な接続方法となっていたが、最近のノートパソコンにはこのコネクターを装備しないものもある。

USB

マウス以外にもデジタルカメラやプリンタなどの周辺機器を接続する汎用の入出力規格。

ワイヤレス

赤外線や電波で接続する。
パソコンと受信機を接続し、マウスと受信機が赤外線や電波で通信する。

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スキャナ

ドキュメントスキャナに分類される富士通ScanSnap fi-5110EOX3写真や絵などの画像をデジタルデータに変換してコンピュータに取り込む装置です。
原稿に光を当て、その透過光または反射光の濃淡を撮像素子という光を電気に変える素子で受け、電気信号に変換します。この電気信号をA-D(アナログデジタル)変換回路でデジタル信号にし、USBやSCSI(スカジーと読みます)、パラレルなどの汎用の入出力回路を経由してコンピュータに送ります。コンピュータ側では、受け取ったデータはデバイスドライバ経由でCPUに伝えられ、処理されます。


スキャナの種類

読み取り部分の形状や用途で分類されます。

形状 解説
フラットベッドスキャナ

現在、パソコンの周辺装置としてもっとも普及している形。コピー機の様に、原稿台の上に紙や本を乗せて画像を読み取るものです。フィルムのような透けているものを読み取る時には透過原稿ユニットと呼ばれる、原稿に光をあてる装置が必要です。(最初からついている機種もあります)。

ハンディスキャナ

紙や本の上でスキャナを動かして画像を読み取るものです。コンビニなどでバーコードを読み取るのにも使われています。(機械のほうを動かしてバーコードを読み取るものです)。

ドキュメントスキャナ

ファックスの様に紙を動かして画像を読み取るものです。
大量の紙を読みとって、OCRで文章にするのに適しています。
本のような厚みがあるものは扱えません。

フィルムスキャナ

フィルムを読み取るための専用のスキャナです。個人向けのものは35mmフィルムのみか他にAPSフィルムにしか対応していないものが多く、それより大判のフィルムに対応している機種は一部です。フラットベッドスキャナよりも読み取れる解像度が高く、より精細な画像を得ることができます。

ドラムスキャナ

透明なドラムにフィルムを取りつけて、回転させながら読み取るもので、印刷用の原稿を作る時に使う業務用です。

スキャナは原稿に光を当てて、その反射光や透過光の強弱を読み取りますが、その読み取りに使用する素子によって分類することができます。これを撮像素子といいます。

撮像素子 解説
エリア・センサータイプ
電荷結合素子
(CCD:Charge-Coupled Device)

原稿からの光を光学系で撮像素子に導きます。焦点深度が深く原稿が原稿台に密着していなくても画像が乱れにくい特長があります。ただし筐体はCISのように薄くはなりません。CCDはビデオカメラやデジカメに使用されています。

ライン・センサータイプ
密着型撮像素子
(CIS:Contact Image Sensor)

撮像素子を原稿台に密着させるので光学系が単純で、低価格で、筐体を薄くすることができます。ただし、焦点深度が浅く原稿が原稿台に密着していないと画像が乱れます。

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デジタルカメラ

デジタルスチルカメラともいいます。
光学レンズを通してCCDなどのイメージセンサーで被写体の像を投影し、その像をアナログ電気信号として取り出します。この信号をA-D(アナログ−デジタル)変換器でデジタル信号に変換して、一度DRAMに記録します。記録した画像に対して、カメラに内蔵されたCPUが色調補正などの画像処理を行ったあと、画像圧縮をしてデータ量を減らし、メモリカードなどの記憶媒体に書き込みます。
USBケーブルにより、コンピュータと接続する機種がほとんどですが、画像を記録したカードメモリの内容を、コンピュータに接続したカードリーダーなどで読み取って入力することもできます。

画素数

デジタルカメラなどに内蔵された受光素子の数のことをいいます。デジカメは数十万〜数百万の受光素子が光を電気信号に変換して画像を記録します。この画素数が大きければおおきいほど、画像は鮮明になり、繊細な表現が可能です。一定の大きさに引き伸ばしてプリントするときは、画素数を考慮しなくてはなりませんが、とにかく大きければよいとも言い切れません。画素数が上がれば、データも大きくなり撮影可能枚数は少なくなります。カードメモリも大きなものを用意しなくてはなりませんし、処理にも時間がかかります。一般に300万画素あればA4サイズに引き延ばしてプリントしても問題ないといわれます。用途と見合わせて適切な画素数を選択しなくてはなりません。

デジタルカメラは従来のカメラにない便利さがあり、カメラを使わない層にも受け入れられています。近年の普及はめざましく、2004年度の出荷台数は5976万台、2005年度は7200万台に達すると予想されています。
(カメラ映像機器工業会(CIPA)発表: http://www.sijapan.com/breaking/0502/02mr_cipa050127.html)

デジタルカメラの種類

形状により次の二つに大別されます。

カメラの種類 解説
コンパクトカメラ

デジタルカメラの人気の中心。携帯性に優れ、操作も比較的簡単で手軽に使える。質感、塗装などデザイン性の高い魅力的な機種が多数登場している。レンズは、35mm前後からの光学3倍ズームが多く、使いやすい。画素数の主流は500万画素といわれ、画素数競争は一服の感がある。

一眼レフカメラ

銀塩カメラの一眼レフと同じようにレンズの交換が可能。画素数は600万画素以上で、最近のコンパクトカメラと変わらないが、コンパクトカメラよりも大きい撮像素子を使用しており、高画質撮影が可能。ボディは大きめだが、その分操作性がよい。従来より低価格なものが登場して人気上昇中。

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多様化する入力装置

16ビットコンピュータやナローバンドネットワークの時代には夢だった動画映像や音楽の配信も実現し、コンピュータへの期待とニーズはますます高くなります。
テレビやビデオ画像はすでに入力装置として普及し始めており、マイクやWEBカメラを利用したテレビ電話もすでに多くの人が利用しています。
こうした時代に入力装置は、現在の各種機器の性能向上はもちろんとして、コンピュータの性能が向上するにつれて、入力装置はますます多様化、省力化、高速化が求められます。
反面で今日のネットワーク環境下での問題点も表れてきています。入力装置にもセキュリティ強化またはセキュリティに関連する入力装置の登場が増えるものと思われます。

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