| 2009年 33号 発行日: 2009年6月5日 |
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2009年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2009年5月15日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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記念講演「積極的危機対応戦略を考える」
-100年に一度の危機に対応するには-
欠点を売りにする発想
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日本の人々は価値を高めるための技術を持ち過ぎています。ヨーロッパの人々というのは、それがあまりありませんから、大したことのないもので価値を上手に提案していくやり方を知っています。典型的な例が自動車のBMWです。高い車ですが、あの車の価値は欠点と表裏一体です。BMWの最大の欠点は、エンジンの音がうるさいこと。ところが、普通の車のエンジン音はノイズですが、BMWのエンジン音はサウンドといっています。BMWはそれを価値といっています。
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日本で欠点を逆手にとって成功したのがピアノです。大きく高価で、しかも弾けるようになるまで長い時間がかかる。その欠点を逆手にとって、上手に弾けるようになるまでのプロセスに値打ちを付け、全国津々浦々に音楽教室を作り、音楽を普及させてピアノを売る仕組みを作りました。音楽を通じた情操教育という価値を売ったのです。
ところがピアノが売れなくなってきました。受験競争が低年齢化して、子供は塾通いで忙しい。ですから10分試行錯誤すれば、かなり高度なことができるファミコンが普及しました。
そこで最近、ファミコンに対抗するために、子供たちが早く楽しめるように1曲重点主義という教え方を始めたところ、これが大化けしました。団塊の世代のお父さんにヒットしたのです。少し弾けるようになると、どこでも弾きたくなる。そのうちに家庭で問題が起こります。お父さんのピアノの練習がうるさくて、ご近所に迷惑がかかる。テレビが見られない。勉強ができない。結果、サイレントピアノが売れています。
子供の情操教育という価値で売れていたピアノが、今はお父さんの生き甲斐という価値で売れています。このように、まだまだバリューを提案できる可能性はあります。 |
皆さんの会社の商品にも欠点はあると思います。その欠点を上手に売ればいいのです。お客様に、どのような価値を提供するか。そのためにどういう仕組みを作るか。これを考えなければなりません。このように、仕組みを作り上げる能力が今必要とされているのです。
ご清聴ありがとうございました。 |
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