| 2009年 33号 発行日: 2009年6月5日 |
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2009年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2009年5月15日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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記念講演「積極的危機対応戦略を考える」
-100年に一度の危機に対応するには-
商品ではなく価値を売る
事業システムを変えるのは大変難しいことです。ほとんどの会社は一旦作り上げた事業システムがうまくいかないと、それとともに滅びるしかありません。
事業システムは人々の気持ちによって支えられています。人々とは自社従業員のみならず取引相手も含みます。その精神を変えることは非常に困難を伴います。厳しいことに、ビジネスの世界には休戦協定はありませんので、自社のビジネスの仕組みを組み替えている混乱状態のときに競争相手はつけ込んでくるかもしれません。 |
今や、情報システムでは差別化できない時代です。情報システムの弱点をどれだけよく知っているか、それを使う人間の勝負です。私はよく土日に大学へ行って仕事をしていましたが、食堂が休みなので、コンビニへ寄っておにぎりを買ってから大学へ行きました。ところが、私が買いたいおにぎりが土日の朝には必ず売り切れていました。仕方ないからほかのおにぎりを買います。品切れになっていると、お客様が本当に欲しいものが全然見えないのです。こうしたシステムの弱点を知り尽くして、その上でどのようにビジネスを組み立てるか。お客様の気持ちや求めている価値を考えた仕組みを作り上げなければなりません。 |
あるボイラーメーカーは、「お客様はボイラーを欲しいわけではなく、ボイラーでお湯を沸かして、それで仕事をしたいのだ」、これがお客さんにとってのボイラーの価値だと考えています。しかし、全く壊れないボイラーは作れません。必ずトラブルは起こります。そこで、プリベンティブ・メンテナンス(注2)を勧めています。有料で、高いのですが、予定外でボイラーが止まることは防げます。営業中にお湯を使えなくなったら、病院などは大変です。この会社は売上高の1/3がプリベンティブ・メンテナンスによるものです。利益の半分をサービスで上げています。お客様がお湯を使って仕事ができるようにするという価値を売っているのです。
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米国のGEは、ジェットエンジンのホットパーツといわれる高温部品にセンサーを入れており、どの部品が交換時期になるかを把握しています。部品の交換時期が近づくと、新しい部品をその飛行機が次に到着する飛行場まで運んでおいて、そこで取り替えます。こうしてお客様の飛行機が地上で休んでいる時間をできるだけ短くしています。GEのジェットエンジン事業は、お客様の飛行機の稼働時間を少しでも長くするという価値を売っています。
(注2) 予防保全メンテナンス |
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