| 2009年 33号 発行日: 2009年6月5日 |
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2009年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2009年5月15日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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富士通 社長挨拶
富士通の野副でございます。新旧役員の方々の交代も無事に決まり、2009年度ファミリ会総会が滞りなく終了しましたこと、心よりお祝い申しあげます。
また、本日お集まりいただきましたファミリ会の皆様には、平素より富士通の製品、サービスをご愛顧賜り、この場をお借りいたしまして心より厚くお礼申しあげます。 |
 野副社長 挨拶 |
2年前、私がマーケティング本部長時代に、ファミリ会とLS研究会の統合の話が進み、当時、会員の皆様方と富士通との間でさまざまな議論を交わしたことが思い出されますが、そのときに、改めて、ファミリ会に対する会員の皆様の熱い思いと、ファミリ会の持つ大きな意義というものを、強く再認識させられました。
昨年、黒川から経営を引き継いだとき、2007年度の損益は非常に良好で、富士通は2,049億円という営業利益をあげました。しかし、その後はご承知のとおりの経済環境の急変によって、経営状態は悪化の一途をたどり、特に昨年11月以降、日に日に赤字が膨らんでいく中で、最終的に08年度を締めたときに、1月末に見直した営業利益目標は達成したものの、年初計画からは大きく悪化し、最終損益では、特損を含めて1,123億円という赤字を出す結果となりました。 |
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ある意味、未曾有の事態ということで、経営者としての説明責任を果たそうと、4月30日の決算発表に、ほとんど富士通の社長としては初めて出席しました。そこで、もう一度、富士通をきちんと立て直していくことと、そのためにも、半導体をはじめとする部品事業等に対しては、今回特損を引き当て、来年度以降の負担を軽くすることで、経営の基盤をさらにしっかりしたものにしたいと申しあげました。一方で、100年に一度といわれる市況悪化の中にあっても、営業利益目標500億円に対して687億円と、他社と比べてもこれだけの数字を残せたことは、本業であるテクノロジーソリューションの健全性と、それを中心とする富士通の経営の強さを世の中へのメッセージとしてお伝え出来たのではないかと思います。そのことが起因したのか、翌日には、株価がストップ高まで上がり、やはり経営というものは、強いものが勝つという原則を痛感することになりました。
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黒川からは、「フィールド・イノベーション」「グローバル化」といった経営テーマを引き継ぎ、スピードをあげて取組んでいます。「フィールド・イノベーション」とは、お客様起点経営をより一歩踏み込んだかたちで進化させるために、お客様と富士通の間に新しい関係をつくり上げようという取組みです。その必要性を実感させられた1つの事例をご紹介します。都内にある2つの大きな病院でのことですが、一方の病院は、「患者カード」により、会計から次回の予約、処方箋すべてが管理されている。ところが、もう一方ではそれとは正反対で、会計に寄ったり、薬をもらいに行ったりと、とにかく手間と時間がかかる。私は、後者の病院の副院長先生に、「カードですべてが管理された病院があるのに、どうしてそれを導入されないのですか」と申しあげました。すると、その先生は、「ITですべてが解決できるというのは誤解です。病院にとって一番大切なのは、日々いらっしゃる患者さんの顔を見ることによって、この病院に満足されているか、また、どのような不満を持っておられるかなどを知ることです」と言われました。
現場は、そこで働く人間と、業務の流れであるプロセスをベースとして構成されており、それをITの支援によっていかに進化させられるかが、お客様の業務や経営の革新につながります。決してITだけですべては解決できないということです。お客様の先にいるお客様の視点で現場を深掘りしていくこともそのアプローチのひとつです。新しいかたちでのお客様起点経営を、フィールド・イノベーションによってつくり上げる時期に来ていることを、われわれは実感しています。
「グローバル化」についても改革を急いでいます。従来は、現地の会社が現地の都合によって行動するAct Localだけに留まっていましたが、それを、グローバル視点で発想して、それぞれが行動に移すというThink Global, Act Localという考え方に変えていくため、上席常務のクリストウにグローバルの責任と権限を一元化しました。4月1日には、今まで10年間、ドイツのシーメンス社と一緒にやってきたIAサーバの拠点、富士通シーメンス・コンピューターズを買い取り、富士通の100%子会社にしました。私は世界中でIAサーバ50万台を売り切るという目標を掲げましたが、グローバルに共有できる目標を持つことで、それをひとつの変革の軸と位置付けて、富士通グループの文化を変えていきたいと思っています。そのお陰か、私の事務所の周りでも、海外からの出張者やお客様にお目にかかる機会が随分と増えましたが、一方で、文化は一朝一夕で変わるものでもなく、互いの文化や考え方を理解しながら、継続的に着実に取組んでいきたいと思います。
いずれにしましても、「お客様起点」ということを黒川から引き継ぎ、一つひとつ実行していく所存です。今申しあげた2つの例からも、常に変革に挑戦し続けることが、富士通自身が標榜する本当の意味での「お客様起点」の実行であると痛感しています。 |
富士通がこの度の新しい体制の下で、ファミリ会の皆様と多面的に、広く深くお付き合いさせていただけますよう、引き続き皆様のご支援・ご鞭撻をお願いいたします。そして、会員企業の皆様のご繁栄と、本日ご列席の皆様のご健勝をご祈念申しあげまして、私のご挨拶とさせていただきます。これからも、どうぞよろしくお願い申しあげます。
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