2009年 33号  発行日: 2009年6月5日 バックナンバー

2009年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2009年5月15日 開催地:帝国ホテル

Slide Show

[Flash/約88秒]
Flashによる SLIDE SHOW

アンケート

記念講演「積極的危機対応戦略を考える」
-100年に一度の危機に対応するには-

「スピードの経済」と「外部化の経済」

加護野 忠男 記念講演

ビジネスの仕組みの大きな変化として、バンドリングに加えて、「スピードの経済」と「外部化の経済」があります。

「スピードの経済」とは、仕事のスピードを上げることでお客様に価値を提供することです。スピードそのものがお客様に価値を与えます。典型的な例が先ほどの文房具を宅配するシステムで成功した企業です。プリンタのインクカートリッジやトナーなど、必要な物をすぐに届けるというサービスによって急激に伸びています。
商品の回転スピードを上げることで投資効率を改善しているのが、大阪のミナミにあるボランタリーチェーンを展開する医薬品卸問屋です。零細の薬局をパソコンネットワークでつないでいて、すばらしいビジネスシステムを作り上げました。ここに加盟すると、売れ筋の商品をしっかり売るようになります。売れ筋の商品ほど利益率が低いので売上高利益率は8割くらいに低下しますが、回転率が一気に5倍になります。その結果、投資利益率は4倍になるのです。
こうして商品をクルクル回転させる仕組みを作りますと、ロスを減らすことができます。この仕組みが有効なのは、定期的に商品の総入れ替えをしなければならないような業界です。アパレル業界は四半期ごと、季節ごとに商品を入れ替えます。ケーキ屋さんは毎日入れ替えています。山梨のシャトレーゼというお菓子の会社はデータベースを利用して時々刻々売り上げを把握して、売れ残りのロスを限りなく0にする仕組みを作り上げ、低価格で勝負しています。

「外部化の経済」とは外の力を使うことです。会社の外部であればいつでもやめたり変えたりできます。トヨタの強みであるカンバン方式で、カンバンを貰って部品を届けているのはほとんど外の会社です。内部だけでやってもうまく回らないと思います。
商品、サービスを買うときに、社外の業者から買う場合と、社内のほかの事業部から買う場合、どちらが仕事しやすいか。社外から買うほうが簡単ではないでしょうか。社外の業者のサービスに不満があればクレームを付けることができます。場合によっては相手の社長さんが飛んでくることもあるでしょう。社内で同じことをしたら、「こういうことでは、今後考えさせてもらいます」と言うのは、おそらく売り手側の事業部長のほうです。日本は資本主義ですが、会社の中は社会主義なのです。社会主義というのは競争が働かず、供給する側が偉いのです。
アメリカではアコーディオンカンパニーが理想の会社といわれています。アコーディオンのように伸縮自在な会社という意味です。人をなるべく雇わず、外注することで、仕事の量に合わせて固定費を変動費化してビジネスを進める形態です。

加護野 忠男 記念講演
前のページ 次のページ
ページトップへ