| 2009年 33号 発行日: 2009年6月5日 |
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2009年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2009年5月15日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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記念講演「積極的危機対応戦略を考える」
-100年に一度の危機に対応するには-
情報の持つ大きな価値
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私のゼミに実家の家具屋を手伝っている学生がいました。彼は、婚礼家具に頼る家具屋では将来はないと、付加価値の高いソファやテーブルなどの脚物家具の販売を考えました。引っ越しする人はその機会に脚物家具を買い替えるに違いないということを思いつき、近所で引っ越しをしてきた家に営業に行くという販売戦略を考えたのですが、結果は「駄目」でした。
すでに大手の引っ越し業者が家具の販売を始めていたのです。配送力を持っていますし、何よりも事前にどこの家が引っ越しするかという情報を持っているのです。しかも、引っ越し業者のカタログには家具・電気製品をはじめ、引っ越しを機会に買い替えるだろうと思うものが総合的に入っていて、家具だけのカタログとは勝負になりません。 |
ビデオレンタル業界でいうと、こちらはハイリスク・ハイリターンなビジネスです。1本当たり平均仕入れ単価が約6,000円のビデオを1泊2日300円から500円くらいで貸すのですから、うまくいけば儲かります。しかし、一方でビデオは毎日約20タイトルが出るそうで、ソフト商品は一旦封を開けてしまうと返品はできませんから、下手をすると奈落の底へ落ちてしまいます。
このレンタルビデオ会社の大手では、約2,000万人がレンタル会員カードを持っています。この2,000万人のお客様がいつどこでどんなビデオを借りたかが、全部分かるのです。この情報が大きな価値を持っています。例えば、ゴルフ入門のビデオを続けて3本借りた人がいる、この人にゴルフ道具のダイレクトメールを送る。ユーミンファンがどこにいるか知りたければ、ユーミンのCDを何枚も借りている人のリストを作る。
あるオートバイメーカーは、ビデオレンタル会社とオートバイの安全な乗り方というビデオを作って、レンタル店で、有料で貸し出しています。このメーカーの狙いはレンタル料ではありません。誰が借りたか、オートバイに関心を持っている人がどこにいるかなのです。
DVDを宅配でレンタルしてくれるサービスもあります。その会社はレンタルで収益が出なくても、誰が何に関心を持っているかという情報を得ることができます。その情報が大きな価値を生むのです。ビデオレンタルショップはいつの間にか顧客情報収集の手段になっています。 |
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