2007年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日：2007年11月1日 開催地：リーガロイヤルホテル広島

次のMDI-IIの計画ですが、これはMDI-Iをブラッシュアップして、商品開発にしっかりアプライし、400億も投資してもらったのだからある程度効果は刈り取ろうという活動です。今は、これを約4年やってきて、もうすぐ幕引きをしようかというタイミングにきています。

MDI-IIでは、バーチャル開発の拡大を行っています。設計者の能力を最大限に発揮させるために、特にITを使って何ができるかを考えました。クオリティとかスピードをもっと高めていかないと開発現場では使えないので、ブラッシュアップをしていこうというのがMDI-IIのねらいです。

バーチャル開発にはさまざまなプロセスがあり、出図という大きなイベントまでバーチャルでやって、それが100％正しいということを最後には実物で評価して熟成させていきます。出図で終わるわけではなく、リアルな世界は当然残ります。これがないと現実には良い車は作れません。

MDIの進化方向ですが、デザインからずっとシステムプロセス同様のプロセスがあって、基本的にはシークエンシャルです。部分的に同期開発があったりもしますが、あくまでもシークエンシャルで行ったものをできるだけ同期開発に持っていこうとするものです。デザイナーが2年後の車はこんな車にしたいという形を3Dで設計したときに、それで本当に具体的に設計できるのか、実際に車の性能が出せるのかといったことをこの段階でコンカレントに評価して、こんな車では責任を持って作れないという場合には、生産準備部門からデザイン部門に対して早い段階でそれを伝えます。こういうコンカレントな開発に持っていくべくダイレクションしていく。これに少しずつトライしております。

MDI-IIの主要施策ですが、デザイン段階でスクリーン上で3D設計したものを実物大化して評価しています。バーチャルテスティングはクオリティを上げて拡大していこうというダイレクションで、いろいろな領域への展開をもくろんでいますし、スピードに関しては、自動設計を進めています。全て自動設計すればいいというものではありませんが、例えばエンジンの自動設計を、普通なら人間がやっている部分を全部ワンタッチでできるようにすることなどもやっています。ただ、何をやるかは吟味が必要です。このように創造性、クオリティ、スピード、コラボレーションを作り込んでいって、バーチャル開発を確固たるものにしていこうというのがMDI-IIなのです。

つまり、MDI-Iでデジタル開発基盤を作り、MDI-IIではバーチャル開発を拡大していこうということです。来年度からは最終フェーズに入ります。CADのデータを使って性能開発をやっていきます。IT的にはCAD中心にやってきましたが、CADをつくるのが目的なのではありませんから。具体的にはCAEとかCAM、こういった領域に本格的に取り組んでいきます。

CADで部品の再利用が容易になって、効率化が進みました。同様に、情報やノウハウも再利用を進めていくという意味で、PIMという情報基盤やBOMが今後のITの側面では重要な課題になると考えています。

弊社ではグローバルでZOOM ZOOMという戦略を進めています。ZOOM ZOOMとは幼い子どもが心をときめかせる、わくわくするという意味合いの幼児言葉です。そんなZOOM ZOOMな車をつくるには何をすれば良いのかということを、日々考えて仕事に取り組んでいます。とりとめのない話で恐縮ですが、何か一つでも皆さまのヒントになるものがあれば最高の幸せです。本日はどうもご静聴ありがとうございました。