2007年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日：2007年11月1日 開催地：リーガロイヤルホテル広島

このようにデザインから詳細設計、試作、実験、量産準備を経て、いよいよ工場で量産していくというプロセスになるわけですが、全体がうまく整合性がとれるようにコントロールすることを目指しています。上流から下流まで、全体最適のソリューションを行っていく。情報基盤を整えてPIMで全体をコントロールしていくということにチャレンジしています。

PIMの一つの事例をご紹介しましょう。（図表8）

データベースには車を構成するすべての部品の3D設計データが入っていて、常に最新にアップデートしています。このデータを使って作りたい試作車をコンピュータの中で組み上げていきます。そしてコンピュータの中に作った試作品でバーチャルに検証していきます。これはそう簡単に作り上げられるものではありません。完璧に手作りする世界で、ここに大きなノウハウがあります。データの所在を気にせずに、見たいデータを迅速に取り出して、モデルをすぐに作れるというコンセプトで作られていますが、How toのところには非常に苦労し、試行錯誤を重ね、4〜5年をかけています。

MDI支援システムの構造を大雑把に見てみましょう。もともと3DCADは自前で作っていました。これは弊社に限らず、トヨタさん、日産さん、三菱さん、全部同じですが、これからのグローバル化時代を考えれば市販のシステムを使っていくのが正解ではないかということで、市販に切り替える決断をしました。弊社の場合はI-DEASというCADソフトを導入しました。弊社の場合はフォードグループとしてグローバルにビジネスをやっていますので、世界規模でのデータ互換が保証されるということを念頭に置いてシステムを作っていく。フォード側も同じシステムを使ってもらう、同じテーブルで悩みを分かち合う、そういった取り組みをしています。（図表9）

システムの展開規模を参考までにご覧ください。（図表10）

VisMockupというのはビューワーです。3500と書いてありますが、VisMockupは設計者1人に1セット入れていますので、これくらいの数の設計者がいるとご理解いただければと思います。サプライヤーとの緊密なコラボレーションで車を作っていきますので、サプライヤーにも同じようなセットで一緒にやっていただくという構造です。