| 2007年 27号 発行日: 2007年12月5日 |
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2007年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日:2007年11月1日 開催地:リーガロイヤルホテル広島
[Flash/15KB/96秒] Flashによる SLIDE SHOW
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セッション1「プロジェクトマネジャのなすべきこと」
 加藤雅彦氏 |
2006年度LS研研究分科会最優秀賞 「プロジェクトマネジャのなすべきこと 〜システム開発プロジェクトにおける実践的PMBOK®適用ガイドライン〜」
明治安田システム・テクノロジー株式会社 ソリューション第二本部営業サポートグループテクニカル・スペシャリスト 加藤雅彦氏
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プロジェクトを成功させたい!
皆様、こんにちは。ただ今ご紹介にあずかりました明治安田システム・テクノロジー株式会社の加藤です。どうぞよろしくお願い致します。本日は、LS研2006年度研究分科会で、最優秀賞をいただきました、我々の「プロジェクトマネジャのなすべきこと分科会」で報告したテーマについて、お話をさせていただきます。副題に、「システム開発プロジェクトにおける実践的PMBOK®適用ガイドライン」とあるとおり、「PMBOK」をベースにしたマネジメントプロセスが、皆様の会社のプロジェクトを成功に導くためのご参考になればと思います。 |
今回の研究成果につきましては、私一人のものでは。この分科会では18社18名のメンバーと、富士通様からテクニカルアドバイザーとして優秀な2名のSEの方、そして、事務局の方が参加されており、総勢21名で1年間にわたり研究をしてきました。職種や業務、会社の規模、参加された方々の役職など、実に多種多様なメンバーで、「プロジェクトマネジメントをどうするか」と一口に言っても、なかなか最初は意見がまとまらない状況でした。しかし、このメンバーに共通しているのは、プロジェクトを成功させるためにはどうすれば良いかという思いを持って、LS研の分科会に参加し、何とか具体的な成果を出そうと1年間頑張ってきました。我々18名の会社にとどまらず、この内容をぜひとも、いろいろなところで広めていきたいと思っております。 |
「プロジェクトを成功させたい!」という思いは、システム開発だけでなく、さまざまなプロジェクトにおいて、そこに参加する者は誰もが考えることだと思います。本日のお話が、プロジェクトマネジャのなすべきことを定義し、失敗しないプロジェクトにつながればと思います。 |
これは「釈迦に説法」になるかもしれませんが、プロジェクトを成功させるためには、さまざまな制約事項を満たした上で、目標を達成しなければいけません。しかし、その制約事項は相互に関係しており、一方を立てれば他方が立たないということが多々あります。従って、こうした制約事項のバランスをうまくとりながらマネジメントを行っていかないと、昨今のプロジェクトは成り立ちません。そのためにも、プロジェクトマネジメントが、非常に重要になってきているのです。(図表1) |
 (図表1)プロジェクトを成功させるには |
最近では、プロジェクトマネジメントの教育に関する書籍もたくさん出ております。しかし、実際の現場では、優秀で経験を積んだプロジェクトマネジャにどうしても頼るところが多いというのが、我々18人の会社の実情でした。しかし、勘と経験と度胸によるマネジメントには、やはり限界があります。いかに優秀なプロジェクトマネジャといえども、それを教えることは非常に難しい。後を継ぐ者がなかなか出てこないのが現状です。 |
そのために、マネジメントプロセスを体系立てて考えようと、全体を管理するモダンプロジェクトマネジメントを採用しているのが、昨今の傾向です。ただ、方法論だけではなかなかうまくいくものではありませんので、プロジェクトマネジャの能力がどうしても重要になってきます。しかし、能力そのものは単なる教育で身に付くものではありませんので、少なくともこれからプロジェクトマネジャになろう、もしくはなりたての方に、日々役立つものを提供できないかという思いで、1年間検討してまいりました。(図表2) |
 (図表2)プロジェクトマネジメントはどう変化すべきか |
今回は、特にシステム開発に限定して、現状のプロジェクトマネジャのスキルやノウハウを定義してみました。例えばこの図(図表3)に表されているように、メーカー、クライアント、スポンサー、そして社内部門では、調達の担当者や事務・品質管理担当、実際の開発メンバー、協力会社、営業担当から、さまざまな要求がプロジェクトマネジャに集まってきます。こうした利害関係を持つ個々をどのように調整するかということが、プロジェクトマネジャの仕事のメインになります。
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 (図表3)プロジェクトマネジャのなすべき事 |
つまり、プロジェクトマネジャには、コミュニケーション能力とリーダーシップが必要なのです。さまざまな問題が発生するたびに問題解決能力を駆使して、難問に立ち向かっていく。交渉能力、部下の管理能力、決断力、経営知識、そして、プロジェクトマネジメントそのものの知識をしっかり身に付けておかなければ、一人前のプロジェクトマネジャとは言えない時代がきているのです。 |
こちらの図(図表4)は、「アットマークアイティ」というインターネットサイトの「@ITリサーチ」というところが発表した数値です。ここには、開発プロジェクトの成功率が出ています。成功率30%未満が10%、30〜50%未満が22%、70%未満が30%というように色分けされています。これは、SEの方があくまで自己評価として、自分で感じている開発プロジェクトの成功率を、「@ITリサーチ」のアンケートで答えていますので、会社として成功したか失敗したかということではありません。しかし、プロジェクトマネジャとしてこれを見ると、あまりうまくいっていないのではないかという思いがします。しかも、プロジェクト成功率の推移では、年々向上していると思っている人は25%で、横ばいもしくは低下しているというものを含めると、全体の4分の3が、あまり良い傾向にはないと考えていることがわかります。 |
 (図表4)プロジェクトの成功率は? |
また、別の調査では、プロジェクトの成功率は、平均で59%という結果が出ています。つまり、約4割が失敗しているのです。富士通さんのFCA(富士通系情報処理サービス業グループ)、FSA(富士通系ソフトウェア業グループ)で立ち上げた、「失敗しないプロジェクト」でSEの方が、社内評価では9割が失敗だということをおっしゃっていました。このように、現在、システム開発プロジェクトは、非常に危機的な状況を迎えています。これを何とかするために、優秀なプロジェクトマネジャがどうしても必要になってきているのです。 |
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