| 2008年 29号 発行日: 2008年6月5日 |
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2008年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2008年5月16日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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記念講演「企業の未来に向けて真のコンプライアンスを考える」
事実の公表とコンプライアンス
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最近では、問題が発生した際に、マスコミへの対応にに関して企業側で悩まれているのが、事実公表の要否の判断です。これは、なぜ事実の公表が必要なのかということと、事実の公表がマイナスに働くことはないかという観点で考える必要があります。公表をする必要性には2つの要因があります。一つは、公表しないと被害が発生する、被害が拡大する場合。もう一つは、消費者や需要者にとって、その商品やサービスについての情報を開示することが求められている、情報開示の価値があるということです。事実を消費者に提供することによって信頼を取り戻すことにもなります。
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ここで重要なことは、前者と後者では、公表の要否とタイミングの判断が違うということです。前者は、少しでも早く公表することが大切ですが、後者の発表は、信頼を回復するためには、きちんと事実を解明し、原因を究明し、是正措置をとった上で、「過去にこういう問題があって、このような商品を提供してしまいましたが、このように問題を解決し、対応策をとったので、消費者の皆様には二度とこのようなご迷惑をおかけしません」というところまで持っていってから公表するほうが良い場合もあるわけです。しかし、だからといって2年も3年もずっと原因究明をやっている間に、また同じ問題が生じてしまったらこれは大変な批判を受けることになります。要は、その公表に関して、その企業の姿勢が社会からどう評価してもらえるかという観点から考えることが大切です。 |
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公表によるマイナス要因も考えなければなりません。間違った事実を公表することによって、受けなくてもいい不当な批判を受けてしまうことも考えられます。対応を誤ると、かえって法的な責任を問われてしまうことにもなりかねません。このような場合に必要なことは、経営者として社会の視点を最優先して、自らきちんとコンプライアンス的視点から判断することです。その判断を完全に誤ってしまったのが、不二家です。危機管理対応の決定的な誤りをしてしまったために、食品業界の実情など知らないマスコミの無理解、誤解がますます不二家の危機を拡大させて、過剰な批判を受けることになってしまったのです。 |
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