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ほっ!とコーヒー 第29回

“マッカチン”と謎の底なし沼


実家の近くに随分と立派なマンションが建てられた。
そういえばあの場所は、子供の頃、みんなでザリガニ釣りをした小さな沼があった場所だ。
ニュルッと連なるカエルの卵や孵ったばかりのオタマジャクシを横目に、木の枝の先に糸を垂らし、その辺でさがしたミミズやパンの耳やザリガニの身をエサにして、夢中になって狙ったのは“マッカチン”だった・・・。
こんな話をすると仕事仲間の間でもマッカチンを知らないという人が意外と多い。てっきり全国区の呼び名だと思っていたんだけどなぁ。

マッカチンは正しく言うとアメリカザリガニの俗名だ。
日本のザリガニよりカラダが大きく赤いことから、みんな“マッカチン”と呼んでいたんだ。
もともとは鎌倉でウシガエル(食用蛙)を養殖する際に、そのエサとしてアメリカから持ち込まれたものだったのだが、洪水等で逃げ出し全国に散らばったらしい。

マッカチン釣りの狙い目は沼底に沈んだ木の陰になっている部分や、沼地に穴のあいているようなところだ。そこにエサを垂らし誘い出す。ハサミがエサを挟んだらゆっくり引き上げる。
ザリガニか、マッカチンか。どちらが釣れるかで、その日の気分は大違いだ。

足場がおぼつかない沼地では、その辺に転がっている倒木などで橋を渡してチャレンジだ。 子供ごころにスリルと冒険があったなぁ。だって、「ここは底なし沼らしいぞ」と、友達との間でウワサになってたからね。
いまはもう、そんな遊びをする子もあの沼もないけれど、でも、あらためて思えば、外来種のマッカチンは、生態系を壊しちゃっていたのかなぁ…なんてちょっぴり心配になる。心配ついでに、あのマンションの住人は、そんな「謎の底なし沼伝説」を知っているかなぁ・・・。

今度の週末は、近くの公園の池にでも子供を連れてマッカチン釣りにでも行ってみるかな。


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