| 2008年 29号 発行日: 2008年6月5日 |
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2008年度FUJITSUファミリ会 春季大会
開催日:2008年5月16日 開催地:帝国ホテル
[Flash/約88秒] Flashによる SLIDE SHOW
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論文表彰
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論文表彰では、まず2007年度論文委員会の吉田委員長(清水建設株式会社)より、審査経緯の報告がありました。 |
 論文委員会 吉田委員長
(清水建設株式会社) |
ただいまご紹介いただきました清水建設の吉田でございます。2007年度論文委員会の審査経緯および結果につきまして、ご報告させていただきます。
昨年度からこれまでの年2回の募集が1回になり、2007年度は力作32編の応募をいただきました。応募していただきました皆様には心より感謝いたします。
論文委員会では、全論文につきまして厳正に審査いたしました。その結果、「秀作論文」2編、「奨励論文」3編を選定させていただきました。
今回の入賞論文は、「三越におけるICタグの活用とフューチャーストア」、「写真・紙文書の電子化とメタデータを活用した検索・閲覧システムの構築」、「デジタルライブラリーの整備」、「コンタクトセンターの情報管理強化事例〜セキュリティ強化と業務効率化について〜」、「管理会計プログラム羅針盤」等々、お客様を中心とした視点での新しい技術の活用や過去の情報の整備、セキュリティ対策、経営管理等々、日常の業務を通じて皆様がさまざまな工夫をされたことをまとめていただいております。
なお、入賞された論文につきましては、昨日の『富士通フォーラム2008』の中で発表させていただきました。多数の方にご参加いただき、ありがとうございました。これらの入賞論文をはじめ、今回応募いただいた論文ならびに過去の論文につきましては、ファミリ会のホームページでご覧いただけますので、ぜひご参照くださいますようお願いいたします。
次に、今年度の論文の応募についてのお願いです。お手元の資料にも論文募集のスケジュールがありますが、ただいま今年度の論文を募集しております。エントリーの締め切りが7月25日、原稿の締め切りが8月29日となっておりますので、皆様の会社でのさまざまなITに対する活動およびその評価につきまして、ぜひこの機会に応募いただきたいと思います。
今回入賞された方のお話しでは、部下の育成のために計画的に論文を出そうということで、テーマを決めて、上司と部下の方がいろいろ議論しながら論文を出していらっしゃるということでした。
若い皆様がいろいろな工夫や苦労をされてプロジェクトを進めているわけですが、ぜひその成果を外の場にも発表する、あるいは論文にまとめる。私も毎年お願いしておりますが、会社にお帰りになりましたら、訓練も含めて、何かいいテーマがありましたら、ぜひ応募していただきたいと思っております。
最後になりますが、ご多忙の中、論文を執筆していただいた方々、論文の編集・発行に絶大なるご協力をいただきました富士通株式会社殿にお礼を申しあげまして、ご報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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秀作論文
タイトル:「デジタルライブラリーの整備 - 長期にわたり安全かつ安定して活用できる情報資産の形成」

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建築資料のデータベース化は地味な仕事ですが、地震などの非常時にはとても役に立つと期待できます。そういう大切な仕事を、当社が地道にやっていることを社内外に広く知っていただきたいというのが応募した動機です。当社には、創業から今日まで携わった物件の建築資料が保管されています。資料のデータベース化はそれまで文字情報が主流でしたが、今回の試みは、画像情報をデータベース化するとともに、その情報を検索する仕組みを準備して、全国どこからでも図面や各種の記録が取り出せる機能を提供する事でした。
建物を表す属性は時代とともに変化していき、それぞれが独自の性質を持っているため、属性の整理、ひもつけ作業はかなりの困難が伴いましたが、最終的には500万枚のデジタル画像をサーバに格納し、検索可能な環境を構築することに成功。これにより、清水建設の膨大な財産を活用するための準備を整えることができました。
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タイトル:「三越におけるICタグの活用とフューチャーストア」

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ICタグはいろいろな業界で実験・実用化されていますが、多くは物流の効率化が目的でした。当社ではそれを、「売場」という顧客接点の改革に焦点を合わせて、お客様満足度の向上、つまり接客サービスに使うことを考えました。例えば、婦人靴売場はお客様をお待たせしてしまう売場の代表です。導入実験段階で、お一人あたりの接客時間は13分が6分に、紹介する商品点数は1.7足が3.1足になりました。接客時間が半減し、紹介件数は約2倍、売上も10%伸びました。2004年に婦人靴で実験後、翌年には実運用を開始し、その後、百貨店の主力商品のアパレルでも実験をしたところ、同様の効果が出たため、2006年に実用化しました。これらの取り組みを通じて、「お待たせしない売場の構築」、「品揃えの向上」の実現のためには、ICタグと様々なITの組み合わせが有効なツールになるということがわかりました。今までより高い次元で顧客満足を実現し、「お客様にとって、なくてはならないマイデパートメントストア」との位置づけを確保していくことが、将来の百貨店の売場像、つまりフューチャーストアを考えていくうえでの大きなテーマとなると考えています。 |
奨励論文
タイトル:「管理会計プログラム 羅針盤」
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新日石インフォテクノ株式会社 和田洋 氏 |

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当社は新日本石油グループ会社のシステム開発を行っていますが、2003年4月に新日本石油と富士通の合弁会社となったのを機に、より自立的な会社として再出発することになりました。その時社員には、コストセンターからプロフィットセンターに転換するための意識改革が求められました。それが新管理会計プログラム開発のきっかけです。以前のシステムは、単に会計管理とか会計監査を目的とするものでしかありませんでした。そこで、コストを可視化する仕組み・仕掛けを整備して社員のコスト意識を高める、あるいは全社的にも予算達成や会社経営への目的をはっきり示せるようなプログラムを目指したのがこの管理・会計プログラムです。開発コードネームの“羅針盤”も、実際の業務活動や仕事の行き先がいつでも見えるようにする、というコンセプトを反映したものです。当初はパッケージで始めたのですが、それを当社の業務に合わせていく作業に苦心しました。運用を開始してからは、社員のコスト意識も確実に高まりました。全社的にも実績、損益、予実管理や年度見通しなど、全社の状況が可視化できるようになった意義は大きいと思います。 |
タイトル:「コンタクトセンターの情報管理強化事例-セキュリティ強化と業務効率化について-」
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富士通コミュニケーションサービス株式会社 |

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篠原誠志 氏
2006年10月、北九州サポートセンターの移転に伴い、同センターのセキュリティ強化を行うことになりました。その時の経験と作業プロセスを、何か形のあるものにして残しておきたいということで応募しました。コンタクトセンターは、エンドユーザーの情報をデータベースに登録してサポートやサービスを提供するのが主要な仕事で、エンドユーザーの個人情報が大量に集まる環境です。通常セキュリティ強化というと、既存システムに何らかの機能をプラスし、PDCAのサイクルを回しながら日常業務にフィードバックするという手法が主流となります。しかし今回のセキュリティ強化は、事業所移転という変化をチャンスと捉え、フィードフォワードで、それこそビルの設計や設備から入って、情報管理体制の中長期な施策を実施することに成功したというところが骨子です。論文化するに当たっては、実際に作業していた時から期間が経ってしまっていたので、並行して行っていた業務フローの前後関係を思い出すのに苦労しました。論文として成果をまとめるというのは初めて。とても良い経験となりました。その後、私自身は所属部署を変わってしまいましたが、今後より一層のセキュリティ強化に取り組んでくれることを期待しています。
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山本龍洙 氏
会社としても論文投稿は今回が初めてです。部門内におけるセキュリティ管理については、今までも色々と取り組みましたが、業務フロアが複数階に分かれているなど、充分に対応できない状態でしたので、事業所の移転を契機にビル設計から根本的に見直しを行うことになりました。セキュリティに対するそれまでの考え方は、いろいろな活動や操作を抑制する傾向にありましたが、私たちは、オペレータの作業効率を上げながら、より精度の高いセキュリティを施すという仕組みを作ろうと考えました。例えば、オペレータがデータを自分のPCに保存してはいけないというセキュリティ上の目標があるとします。するとオペレータには自分のデータをサーバへ保存する新たな作業が生まれ、負担が増えてしまいます。そこでオペレータが意識せずとも自動的にサーバへデータを保管する仕組みを考え、オペレータの負担を軽減しました。またコンタクトセンターでは、もともと自席が決まっていないため、どこに着席しても、自動的に本人環境となるようにしました。まだすべての取り組みに関する効果は数値に現れていませんが、いまのところオペレータには好評のようです。今後はデータのバックアップや、トラブル時の自動通知などの仕組み、バックグラウンドをさらに充実させていきたいと思っています。 |
タイトル:「写真・紙文書の電子化とメタデータを活用した検索・閲覧システムの構築」
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株式会社安井建築設計事務所 繁戸和幸 氏 |

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本業の建築設計・監理と違い、私たちの仕事の内容は分かりにくいので、なかなか理解していただけません。そこで、こうした発表の機会があれば注目していただけるのではと思い、応募しました。歴史の長い企業には、過去のデータを大量に抱えているところがたくさんあります。当社も大正13年創業で、時代が移り人も変わり、かつての膨大な図面や資料を探して、取り出すということがかなり困難になっていました。同じ資料を別の人が同時に探す無駄や、紙媒体の劣化、保管場所の問題などもありました。資産ともいえる資料を現実の営業に有効活用するのはもとより、建設業界に対する社会的な要求が大きくなるにつれて過去の資料を必要とする機会も増えてきました。しかし始めてみると、電子データ検索の構築は想像以上に難しいことが分かりました。今ではスキャンした図版は2万枚を超え、写真も1万枚を超えました。これは昨今のスキャン技術の進歩があったからこそできたことです。システムのポイントは、メタデータを活用して、社内LANによるWeb検索・閲覧を可能にしたこと。今後は、どのデータがどれくらい利用されているかが瞬時に分かるように使用頻度を可視化したり、お客様へのプレゼン資料への活用に活かしたいと考えています。 |
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