| 2007年 27号 発行日: 2007年12月5日 |
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2007年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日:2007年11月1日 開催地:リーガロイヤルホテル広島
[Flash/15KB/96秒] Flashによる SLIDE SHOW
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セッション3「フィールド・イノベーションとビジネス・フィールドワークのご紹介」
可視化から価値ある改善へ
ビジネス・フィールドワークについて次にお話ししたいと思います。フィールドワークという言葉から様々なイメージを持たれるかと思います。例えば、文化人類学者がインディ・ジョーンズのようなサファリルックを着て、異なる異文化の土地に出向き、そこで文化を研究していく活動といったイメージを持たれる方もいらっしゃいますし、製造系の方は、フィールドワークってIE(Industrial Engineering)だろう、もう20年前からやっているという方も結構いらっしゃいます。どれもフィールドワークですが、弊社で進めているビジネス・フィールドワークのイメージをつかんでいただくために、写真をごらんください。(図表4) |

 (図表4)シャドーイング風景 |
これはシャドーイングというものです。オフィスワークを見せていただいている様子ですが、丸印が弊社のフィールドワーカーです。お客様の現場に出向いて、隣に座り、また、実際に動きに追随して文字どおり影のようにずっとついて、実際何が行われているかをつぶさに観察して記述していきます。オフィスワークが多いのですが、工場のラインに入ったりもしますし、倉庫業務にも行きます。特異な例としては、お客様の窓口業務を実際にさせてもらいつつ観察をする、参与観察ということもやります。これは相当高等テクニックで、この場合はちゃんと窓口業務の試験がありまして、受かった上で窓口業務に就くことになります。 |
シャドーイングなんて簡単じゃないかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、これが結構難しいんです。見させていただく方とのほどよい距離感ですとか、当然お仕事の邪魔になってはいけませんので、頃合いを見計らって、間合いをとって、いいタイミングで質問をするなど、ある程度、基礎訓練が必要になってまいります。生来的にこういうことができる方もいますが、基本的には私どもメンバーがこういった訓練をした上で臨みます。
基礎訓練だけではまだ十分ではなく、気持ちの問題もあります。特に最初にフィールドワークをする時は、見られる相手は嫌だろうなと必ず思うんですね。そういう気持ちは相手に間違いなく伝わります。そうすると、もう上手くいきません。フィールドワークは相手の方の仕事について学ばせていただく、教えていただく、そういった心持ちで臨むことがベースになります。そして見させていただく方と良い関係を築きながら進めていくマインドセットも必要になってまいります。 |
イメージをつかんでいただけたかと思いますので、ビジネス・フィールドワークの目的を説明させていただきます。それは、実際に現場で行われていることをきちんと可視化して、その事実をもとに本当の課題を明らかにして、真に価値ある改善につなげていくというものです。図表5の左下のような業務フロー図は、どこにでもあるかと思います。ですが、実態はどうでしょうか。定義したプロセスを飛び越えて例外処理が行き交っているというのが実態ではないでしょうか。こういった実態をきちんと捉えず、流行や思い込みで仮説を設定して進んでいってしまうと間違った方向に行ってしまう可能性があります。これを避けるためにもまず現状をきっちり押さえましょうということです。(図表5) |
 (図表5)ビジネス・フィールドワークの目的 |
ただ、仮説が間違っていると言うつもりは全くありません。昨年(2006年)、99.9%は仮説であるという本が結構売れましたし、ベストセラーになった『国家の品格』では、論理の起点は常に情緒からくる仮説であると言っていますね。はっきり言って世の中仮説がないと成り立ちません。しかしこのようにフィールドワーク等で事実をつかんでいけば、仮説の裏づけになります。事実に基づいて仮説を必要に応じて修正しても良いでしょうし、すぐに飛びつきがちな仮説をできるだけ横に置いておいて、事実を積み重ねていく中で醸成されてくる仮説を待つ。事実と仮説は補完的な関係になると考え、我々はこれを意識的に行っています。 |
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