論文発表
秀作論文
タイトル:「高度化する保守開発への取り組み〜「現場」で求められる人財像〜」
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新日石インフォテクノ株式会社 武藤 憲司 氏 |

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当社の基幹システムである販売物流システムは2002年にリリースされましたが、その後の環境変化に伴い、システム対応への要求も高度化・迅速化が迫られると同時に、案件への対応を重ねる中でシステムの複雑化が問題化していました。こうした諸問題に対処するべく、数年間をかけて行われてきた取り組みを、自身の中で振り返りながら整理したい、というのがこの論文を執筆するにあたっての動機です。
今回の活動では特に、システムへの要求の高度化によって当社として求められる上級SEの育成が急務であったことかことから、人財育成への取り組みに注力。保守開発SEに求められる人財像を明らかにし、要件定義、プロジェクトマネジメント、業務知識などの観点から具体的な活動へと展開していきました。論文を通して詳細にその方策を述べていますが、現場で実践を通じて作りあげてきたこの取り組みによって、作業の効率化や社員のスキルの向上、意識改革などさまざまな成果へと結びついています。
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| 今年度、親会社である新日本石油(株)と(株)ジャパンエナジーとの合併が決まり、当社においても段階的にシステムの統合をすすめています。今回論文を書いたことでこれまでの活動の集大成ができました。その経験と実績をベースとして、さらに新しい環境に対応できるよう、課題に取り組んでいきたいと考えています。 |
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奨励論文
タイトル:「全社運用プロセス改善とISO20000の認証から、ITIL V3の活用に向けて」
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第一生命情報システム株式会社 水沼 克江 氏 |

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当社は第一生命保険(株)のシステム開発・保守・維持を中心に、情報処理業務、ソリューション業務の3分野での事業を展開しています。その運用業務のプロセス改善を目指して2005年から推進している立ち上げたプロジェクトの取り組みをまとめたのが今回の論文です。
約5年間にわたる活動では、システムの運用・管理業務の体系的なベストプラクティスであるITIL をベースにした運用プロセスの整備・構築を目指し、この活動と並行してISO20000の認証取得に取り組みました。ともすれば認証の取得を目的と見誤りがちですが、プロセス構築においての本来の目的は全社のシステムの品質向上です。基準やルールを明確にするだけでなく、運用担当者自身がシステム品質を向上させるために、自らが課題を発見し、解決していくことで、業務の効率化や人財育成に貢献することが重要です。さらに効果的な改善プロセスを維持し、組織の中に改善しつづける風土づくりを根付かせることに、この取り組みの意義があると考えています。
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現場で日々、業務を行っている中では、過去の活動をきちんと振り返る時間はなかなかありません。また、われわれの活動はようやくプロセスが構築され、活動を整理したに過ぎません。しかし今回、論文という形にまとめる機会を戴いたことで、これまでの成果を再確認すると共に、今後の課題も見えてきました。ITサービスの向上に向けた改善活動をさらに推進していくため、活動範囲を広めながら、社内の意識を維持・向上に努めていきたいという思いを新たにすることができました。 |
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タイトル:「2千人の意識を変えるCS向上活動〜壁が消えた 風が吹いた〜」
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富士通システムソリューションズ 浅野 陽子 氏 |

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当社は、経営方針のトップに「お客様起点」を掲げ、CSへの取り組みにも長い歴史を持っています。このCS活動を今一度振り返り、成果と課題を整理することで、今後に活かしていきたいと考えたのが応募のきっかけです。
当社はSEが約9割を占めるSI専門企業です。お客様にご提供するシステムの巨大化・複雑化がすすむ中で、関連部署間の連携や情報の一元管理、属人的な対応から組織対応への転換が課題となっていました。こうしたニーズに伴い、「全社CRMシステム」を新たに構築し、CS向上活動の基軸としています。
私自身CRMシステムの全社利用に向けて、社内に設置された「お客様満足度向上委員会」に事務局として参画し、深く運営に関わりました。
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しかし、システムはあくまでも道具のひとつです。社員が「やらされ感」から脱却し、前向きにシステムを活用するために、現場の声を大切にするとともに、運用プロセスの整備、分析結果の見える化などの改善を重ね、組織間の連携強化、効果の横展開による自律活動の促進などに取り組みました。特に、ボトムアップの活動においては、全社横断で構成された、女性中心の推進メンバーの活躍が、運用定着に大きく貢献しました。
こうした活動の積み重ねにより、社員の自主的な活用が進み、また、一歩ずつではありますが、お客様サービスの向上に成果を上げつつあります。
今後も、現場のSEを支えるスタッフ部門として、さらなるCS向上に向け、チャレンジを続けていきたいと思います。
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タイトル:「時系列データを眺める技術〜データの時間変化を見逃さないためにはどうしたらいいか〜」
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独立行政法人 日本原子力研究開発機構 宮村 浩子 氏 |

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近年、スーパーコンピュータの普及によって、大量の情報を得ることが可能となりましたが、その情報量は膨大なため、解析には多大な労力と時間がかかります。必要な情報をいかに正確に、また効率的に収集・分析することができるか。これは広く産業界にも活用が期待される開発技術であると考えられます。それを踏まえ、今回の研究では見える化をキーワードに、数値シミュレーションの3次元時系列データの分析を容易にし、全体の特徴を俯瞰的に観察できる、時空間データマップを提案しています。さらに開発技術をクライアント・サーバ環境上で稼働するシステムとして構築することで、より大規模データの可視化を可能にしました。
人の目では見落としがちな小さな変化がこのシステムによって正確に捉えることができ、またその領域に焦点を当てて詳細に観察をすることが可能となります。この技術は将来的には医療や建築などさまざまな分野での応用も期待されます。大量のデータも技術がなければ有効に活用することは難しい。今回の研究では単なるデータを価値ある情報とするための、可視化という技術があることを伝えたいという思いで取り組みました。
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| 私ども(独)日本原子力開発機構では、原子力の研究開発を通じて、その成果を広く社会に役立てていくことをミッションとしています。今回の研究においても当機構のシステム計算科学センターに所属する3名のスタッフとの共同研究でしたが、その過程では常に研究の意義と産業界への貢献についての議論を重ねてまいりました。こうして導き出した研究内容が評価され、企業のユーザー会で奨励賞をいただけたことも大変光栄なことと感謝しています。 |
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発表風景1 |
発表風景2 |
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