| 2007年 27号 発行日: 2007年12月5日 |
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2007年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日:2007年11月1日 開催地:リーガロイヤルホテル広島
[Flash/15KB/96秒] Flashによる SLIDE SHOW
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セッション1「プロジェクトマネジャのなすべきこと」
プロジェクト成功への新たな一歩へ
「プロマネ虎の巻」は、実際には3月下旬にLS研事務局に提出をして、その時点でクローズされておりますが、18人のメンバーはこれを社内に持ち帰り、いろいろなかたちで使用しています。社内標準にすることは、すでに標準の管理体系ができあがっているところでは難しいということもありますが、PMが個人でこれを自分の虎の巻に使う分には何ら問題がないだろうということで、メンバーはこれを実際に使って、いろいろなかたちで会社のプロジェクトに応用しています。 |
どのような反応があったかということを、メンバー各位に確認したところ、PMの育成資料として活用している。また、PMBOKの概論をシステム開発に沿って説明することが容易になったので、教育に非常に役立ったという話もありました。PMの育成目標を立てる上での具体的な行動、「この局面でこうしなさい」「こういうことをPMとしてやらなければいけない」ということを、部下や後輩に指導することができたという話もあります。PMBOKを研修で使うところもあれば、独学で勉強している方もいらっしゃると思いますが、独学で学んでいる若いPMの方が、書いてある意味がなかなか理解できずにいたものが、非常によくわかるようになったというご意見もいただきました。また、実際に経験を積んでいるPMの方も、プロジェクト遂行上、慣れから「えい、やあ」でやってしまうところがあったのですが、虎の巻を持ち帰って実際のプロジェクトの中でチェックシート代わりに使ってみたところ、漏れを見つけることができたというお話もいただきました。(図表21) |
 (図表21)プロマネ虎の巻活用事例 |
特にこのプロマネ虎の巻を中心になって作ったメンバーについては、虎の巻を活用しながら、自分のノウハウを文章化して、後々は部下に引き継げるようなかたちで、ノウハウシートを作成しているようです。我々のプロマネ虎の巻は、PMBOKとシステム開発工程を合わせたもので、今回の分科会に参加したメンバー各人のノウハウについても、1年間を通じて引き出したものを取り込んであります。18人という人間が1年間を通じて研究した過程の中で、今まで自分でわからなかった気づき、発見などを、とにかくすべてこのプロマネ虎の巻に取り込むことができたと考えております。 |
ただノウハウシートに関しては、各社各様のものがございますので、決してこれですべてだと思ってはおりません。メンバーが公開できなかったノウハウは、実際には今収録している何倍もの数に及んでおります。それらは、各社でカスタマイズや追加していただきたい。そして、今回のこの虎の巻は、一つのフレームワークとして使っていただきたいと思います。PMBOKでは母体組織の資産という言葉を使っておりますが、今後、各社各様の経験の深いPMのノウハウを文書化・明文化して体系づけるといった作業の、一つのフレームワークになるのでなはいかと考えております。(図表22) |
 (図表22)虎の巻を使って!! |
このツールを使えば、すべてのプロジェクトが成功するというわけではありませんが、実際のPMの方々からは非常に良い感触をいただいておりますので、これからますますPMが重要になる我々の業界の中で、プロジェクト成功の一助になればと考えております。
また、1年間の研究を通じてメンバー全員からアイディアを出し、「プロジェクトを成功に導くPM心得 十箇条」というものを作りました。(図表23) |
 (図表23)PM心得 十箇条 |
まず1番目は、「プロジェクトを成功に導くためには、コミュニケーションが第一」。PMの仕事の90%は、やはりコミュニケーションにあるとPMBOKでも言われています。 |
2番目は、「プロジェクトの全体を示すと同時に、ゴールを明確にしよう」。メンバーが同じ目標、同じ方向性を持って仕事をしなければ、プロジェクトの成功はおぼつきません。プロジェクトのコンセプトや目的をメンバー全員と共有することは非常に重要なことです。これはPMがまず、率先して持つべき心得ではないかと思います。 |
3番目は、「常に最新の状況把握に心掛け、変更管理を後回しにしない」。PMBOKの一つの大きな柱として、「統合マネジメント」の「変更管理」という概念があります。その最たるものが、PDCAサイクルです。現状を把握して、方向を修正し、当初の目的に向かっていかにプロジェクトを運営していくか。こうしたことを常に意識しながら、日々の作業を見直していくことが大切だと考えております。 |
4番目は、「各メンバーの役割を明確にしよう」。これは当然のことですが、配下のメンバーだけではなく、お客様やステークホルダーの方々の役割分担も明確にして、自分はこのプロジェクトの中でどのような位置づけにいるのかということを、全員が意識し心掛けることこそ、成功への道ではないかと考えております。 |
5番目は、「仕事の意義と目的をメンバーと納得できるまで語ろう」。2番目と同様ですが、目的を共有するということが、重要であると考えております。 |
6番目は、「プロジェクトを成功したいという強い意志を持って行動しよう」。これは当たり前すぎますが、やはりPMが、「プロジェクトを成功させるのだ」という強い「使命感」を持って、そのプロジェクトに取り組むことこそが、成功の大きな要素であると思っております。 |
7番目は、「自己を含めた各メンバーの健康管理に注意しよう」。メンバーが途中で脱落すると、これを補うことは非常に難しい。PMの心得としては、こうしたことにも配慮することが大切ではないかと思います。 |
8番目は、「部分最適化でなく全体最適化を目指せ」。全体を常に把握できるのはPMだけ。各メンバーに任せてしまっては、部分最適化にしかならないので、常にPM自身が全体最適化の要なのだという意識を持って、プロジェクトを進めていただきたいと考えております。 |
9番目は、「プロジェクトメンバーが、プロとして成長するための手助けをしよう」。プロジェクトメンバーは将来のPMの候補生。いかに自分のメンバーから次のPMを育てるかということも、PM自身が日頃意識していくものではないか。これについては、PMBOKでは、人的資源マネジメントの「要員の育成」でもいわれています。 |
そして、10番目は、「隠さない、嘘をつかない、適法且つ適正な行動規範で行動しよう」。PMがメンバーを含めて隠し事をしていれば、当然プロジェクトは覚束ないのではないでしょうか。昨今、さまざまな偽装問題が出てきているので、PMこそは身を正して、プロジェクトを推進していただきたいと思います。 |
本日の私の発表は以上でございます。ご静聴ありがとうございました。 |
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