Windows 11移行準備
[ 計画編 ]

Windows 11移行の計画

計画的にWindows 11の導入・展開を

社内のPC台数規模にもよりますが、Windows 11への移行準備に数ヶ月の時間がかかる場合も想定されます。社内のPCを全てWindows 11に移行させるのであれば、まず現在お使いのPCのスペックがWindows 11に対応しているか検証しなければなりません。対応している場合は、既存のPCをWindows 11へと移行させます。機種追加、廃却等の整理も行いった上で Windows 11への移行計画の策定、そして導入・展開へと計画的にすすめます。
また、Windows 10ならびにWindows 8.1のサポート期間にも留意する必要があります。
Windows 10は2025年10月、 Windows 8.1は2023年1月にサポート期間が終了するので、十分に時間的な余裕を持ったWindows 11への移行が必要です。

企業ごとの社内システムやアプリケーションの動作検証が必要

Windows 10で使用していたアプリケーションの多くはWindows 11でも継続して利用可能です。既存のWebアプリケーションもWindows 11のブラウザ「Edge」のIEモードで動作させることもできます。
ただし、企業によっては会計業務や人事給与業務等の「間接業務」に内製化アプリケーションを利用しているところも少なくありません。それらのアプリケーションがWindows 11にも対応し、支障なく動くかの動作検証はマイクロソフト社の「App Assure(※1)」等を活用すれば可能です。

※1:マイクロソフト社『Microsoft FastTrack による App Assure

Windows 11への移行前に確認しておきたいポイント

1:システム要件の確認

社内のPCがWindows 11をインストールできるシステム要件を満たしていることを確認するには、マイクロソフト社が公表している「必須ハードウェア情報(※2)」が参考になります。富士通の法人向けPCをお使いの利用者は、当社よりご案内している「Windows 11アップグレード情報(※3)」をご確認ください。

また、情報システム部門として、社内全体のPCがWindows 11のシステム要件を満たしているかを効率的に確認したいケースも想定されます。マイクロソフト社が提供する更新プログラム確認・配布用のWindows Server Update Service (WSUS) やMicrosoft エンドポイント マネージャーをご利用の場合、「Windows 11の準備(※4)」が参考になります。

なお、Windows 11への移行条件を満たしているPCであっても発売後数年が経過した旧型PCの場合、スペック不足が原因で大人数でのオンライン会議がスムーズに行えないなど業務に支障をきたすこともあります。情報システム部門ではPCの保守契約の期間を確認し、より生産性の高い働き方を実現できるように適切なタイミングで旧型PCをWindows 11搭載PCに買い替えるよう検討することをお勧めします。

※2:マイクロソフト社『Windows 11の仕様とシステム要件
※3:富士通『法人向けパソコンWindows 11アップグレード情報-FM WORLD(法人)
※4:マイクロソフト社『Windows 11の準備- What’s new in windows

2:Windows 11の新機能を理解

まずは、「Windows Insider Program for Business(※5)」の新機能を使って自社の環境で利用できるWindows 11の新機能を確認します。この作業を行えば、社内の早期導入利用者に提供される新機能を明確にできるほか、その後の全社展開の際にも役立つ情報を入手できます。

※5:マイクロソフト社『Windows Insider Program for Business

3:アプリケーションの互換性を検証

Windows 10で使用していた既存のソフトウェアやアプリケーションは基本的にはWindows 11でも動作します。マイクロソフト社が提供するApp Assureプログラムのデータによると、企業が基幹業務で使うアプリケーションにおける互換性率は99.7%以上とのことです。高い互換性が確保されていることを理解しておきましょう。

ただし、マイクロソフト社製以外のセキュリティソリューションやエンドポイント管理ソリューションについては問題なく動作するかを検証し、互換性が確保されていることの確認が必要です。Microsoft 365のライセンスを購入している企業では、IT 管理者向けの「Test Base for Microsoft 365(※6)」で、重要なアプリケーションの早期テストを実施できます。万が一、ソフトウェアやアプリケーションの互換性の問題が発生した場合は「Microsoft FastTrackによるApp Assure(※7)」の修復サポートをマイクロソフト社は提供しています。このサポートサービスは、Windows 11とWindows 10のサポートに加えて、Azure Virtual DesktopやMicrosoft Edgeの展開に関連する互換性のガイダンスも提供します。

※6:マイクロソフト社『M365 ドキュメントのテストベース
※7:マイクロソフト社『Microsoft FastTrackによるApp Asure

4:Windows 11移行期間中の運用管理の検討

Windows 11ではWindows 10と共通のセキュリティ機能/管理機能が提供されるので、両者を共存させることも可能です。
また、Windows 10とWindows 11は共通の方法で運用管理できます。機能更新プログラムと品質更新プログラムの両方において、現在のWindows 10と同じアプリケーションの互換性検証要件が適用されるからです。

無理のない展開計画を策定するには

1:移行するPC(ハードウェア)の選定と展開計画策定

現在、企業で利用しているPCについて、Windows 11のハードウェア要件を満たすものを確認・検証するのと並行して「実際にWindows 11に移行するPC」を決定します。

次に移行にかかる時間、業務に支障のないタイミング、ネットワークなど環境負荷などを考慮して展開計画を策定します。Windows 11のダウンロードとインストールには時間がかかる可能性があります。ダウンロード中にPCを使用することもできますが、PC を使用しない時間帯を指定してインストールの実行もスケジュールすることも可能です。

2:展開のためのインフラストラクチャとツールを評価

Windows 11を展開するには、展開インフラストラクチャ(Configuration ManagerやMicrosoft Intuneなどのツール)を利用するとスムーズに行えます。ただし、繰り返しにはなりますが、利用する前には現在お使いのPCの環境で利用可能かどうかを確認し、新しい端末をどのようなシステムまたは手段で管理していくのか決定する必要があります。

ハイブリッドワークを意識した端末管理を検討

Windows 11への移行の際には、ハイブリッドワークをはじめとする今後の働き方の変化を意識したうえで、情報システム担当者が利用者の端末を効率よく管理する方法を検討する必要があります。これを機にMicrosoft Intuneでの管理をご検討されてはいかがでしょうか。

クラウドサービスの利用が活発になっていたことで組織外からサービスを利用しているPCが増加しています。そのようなPCは、悪意あるユーザーからの攻撃対象にされやすいため、常にPCをアップデートできる環境の準備が必要です。

ウイルス対策ソフトなどセキュリティ対策の各種ツールの導入状況、管理用テンプレート、更新に影響するポリシーなどが独自に設定されていないかなどを確認し、Configuration ManagerやMicrosoft Intuneなどのツールを更新する必要はないか、Windows 11のインストール後も適切な設定とポリシーが定義されているかなどもあわせて確認します。

Windows 11を使用できる状態に準備してから展開

また、Windows 11にスムーズに移行するには、Windows 11を新たに搭載したPCを「業務で使用できる状態」にしてから企業・組織内に展開することが必要です。ただし、営業部門では薄型・軽量のモバイルPC、経理部門では処理速度の速いデスクトップPCなど、部署・部門や業務内容に応じて必要なPCのスペックは異なります。1台ごとに業務で使用できる状態に設定するのは情報システム部門にとっての大きな負担です。
Windows Autopilotを利用すれば、それぞれのPCに必要なアプリケーションやポリシーの構成を効率的に設定し、「業務に使用できる状態に準備」してから展開できます。

3:段階的な展開スケジュールの計画

Windows 11への移行は企業内での早期導入の対象者を決定し、部分的に移行してから徐々に全社へと展開していくのがスムーズです。

例えば以下のように展開時期を分割し、評価検証を行いながら本番展開を行うイメージです。これによって社内システムとの相性や影響などを評価段階で把握でき、本番展開前の対策が可能となります。

Preview
IT管理者のPCを使って、最新ソフトウェアを導入する
Limited
一部の代表的なPCに限定し、最新ソフトウェアを導入する。また先行展開の募集を案内し、希望する利用者のみに対して配信する
Broad
全ての利用者への展開を開始する

早期導入の対象者にはWindows 11の新機能を含めて確認・検証してもらいたい具体的な内容と情報を提供し、そのフィードバックの提出方法も説明しておきます。Windows 11ではスタートメニューやタスクバー、エクスプローラー、設定アプリなどの操作性や、Windows OSで頻繁に利用する機能のデザインも変更されています。

早期導入対象者による確認・検証と並行して、対象者からもたらされる情報をもとに「Windows 11への移行で何が変わるのか」変更点などを社内通知する準備をします。早期導入対象者への部分的な導入から社内全体にWindows 11を展開していくにあたり、利用者が混乱せずに準備・対応できるように段階的な展開スケジュールを計画し、利用者にあらかじめ案内することが必要です。必要に応じてWindows 11を活用するためのトレーニングの提供と準備資料の配布を行います。

Windows 11への移行のための役割分担

Windows 11への移行プロジェクトの成功のためには、役割分担が重要です。あくまで一例ですが、利用者、情報システム部門、PCメーカー/代理店、ベンダーの役割をそれぞれ整理してまとめました。

ロール 役割 担当
プロジェクトマネージャー プロジェクトの全体統括。各プロセスの進捗などを管理 情報システム部門
ベンダー(PJ統括)
アプリケーション所有者または開発者 アプリケーションの互換性確保やテスト計画を対応 情報システム部門
ベンダー(アプリ開発)
エンドユーザーコンピューティング 利用者が所有するPCの管理、移行作業など 情報システム部門
ベンダー(インフラ)
運用 従来の運用を維持しつつ、新PC導入後の運用方法や役割を定義する 情報システム部門
ベンダー(PJ統括)
PCメーカー/代理店
セキュリティ セキュリティ製品の導入や組織のセキュリティ基準を確認する 情報システム部門
ベンダー(セキュリティ)
PC手配 PCを利用者あてに配送するための事前設定や手配対応など PCメーカー/代理店

Windows 11移行のご相談は富士通エフサスまで

富士通エフサスは、法人のお客様がお使いのPCをWindows 11搭載 PCに 移行するサポートをします。現在、お使いのPCのOSアップグレード、Windows 11搭載PCへの買替えなど、ご相談ください。

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