「SaaS」生まれ変わったASP

ユーザー側から観ると、SaaSとASPの基本的な利用形態は同じです。しかし、両者の間には特徴的な違いがあります。次の表をご覧ください。

アプリケーションについては先にも述べたとおり、ASPではネットワーク経由で利用することを前提にしたソフトウェアは少なく、使い勝手がよくありませんでした。ブロードバンド普及以前の時代で通信速度も遅く、応答性もよくありませんでした。SaaSでは、アプリケーション自体がSaaS形態での利用を前提に設計されており、使い勝手や操作性が研究されています。加えて、Ajaxなどスムーズな使い勝手を実現する技術が導入されています。

ASPでは困難だったカスタマイズや他システムやアプリケーションとの連携も実現されています。ASPが既存のシステムとの連携が必要な企業（大企業が多い）は導入できなかったのに対し、SaaSは連携を前提として、保有するシステムと組み合わせる形で導入することができます。その結果、システム保有とは関係なく、あらゆる企業でSaaSの導入が可能になり、ユーザーの裾野が拡大しました。
運用管理をアプリケーションの開発ベンダー自身が行う場合が多いこともSaaSの特長です。速やかで確実な対応が可能です。アプリケーションの更新の頻度も高く、更新にあたってもユーザー側の負担がまったくないのもメリットです。ユーザーと開発ベンダーが直結することでニーズに応じた機能の追加や更新が実現していることも、開発ベンダーが運用する強みと言えます。

また、契約期間がASPでは1年単位とするところが多かったのに対し、SaaSでは1ヶ月間から利用可能なものが多く柔軟な利用が可能になっています。
さらに、SaaSには技術的にも大きな特徴があります。表中の「テナンシーモデル」や「API」はそうしたSaaSの技術的な特徴を表します。次項で説明します。