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SaaSでは、ベンダーが提供するソフトウェアを基本的にはそのままで利用することになります。ASPと比べれば、SaaSのカスタマイズ機能は大きく向上していますが、それでも自社システムなみに自由な機能拡張ができるわけではありません。また、自社内の既存システムとの連携という点も自社システムが有利なことはいうまでもありません。では、どのようなアプリケーションがSaaSに向いているかというと、
- 複雑なカスタマイズや他システムとの連携を必要としない
- コア業務ではなく、コモディティ化した業務
- 利用ユーザー数の増減が頻繁に起こりやすい
- 高額なライセンス費用を必要とするソフトウェアでないと実現できないとされる業務
ユーザーの業務内容に深く結びつく本格的なERPは、上記の条件の4つ目に該当するとしても、カスタマイズや他システムとの連携が複雑になることが予想され、SaaSでの実現は困難を伴う可能性があります。導入に当たってのリスクもあります。マルチテナントでの運用が前提となっているSaaSでは、利用が集中してサーバが高負荷になったり、当のユーザー以外の原因による不安定動作や不具合、事故の影響が生じたりすることがないとはいえません。自社システムであれば、決算などの重要な時期にはシステム更新を避けるなどの措置がとれますが、SaaSではそうはいきません。ベンダーは性能と可用性を提供するために最大限の努力をしているはずですが、実際にどのレベルまで保証されるか、万一障害が発生した場合の対応と補償を考慮しておく必要があります。
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