2007年 26号  発行日: 2007年9月21日 バックナンバー

「SaaS」生まれ変わったASP

アンケート

第3章 SaaSの今と富士通の取り組み

現在SaaSとして市場にはどのような製品やサービスが提供されているかを概観してみましょう。さらに、富士通の取り組みを紹介します。

代表的なSaaSベンダーとSaaSサービス

SaaSベンダーの現状を概観するには、米国では「SaaS Showplace」 (http://www.saasshowplace.com/)をお勧めします。業種、カテゴリ、技術提供などに分類され、ベンダーがリストされています。SAP、Autodesk、Intuit、IBMといったそれぞれの業界でのリーディング企業が名を連ねています。
国内では、「ASP/SaaS実力診断ガイド」 (http://www.itagent.ne.jp/index.php)のWebサイトをお勧めします。あらゆる業種にわたって詳細に紹介されています。
本稿では数多くのベンダーの中から、SaaS専業の3社とGoogle、ビジネスソフトウェア大手2社を紹介しておきます。

社名 アプリケーションと利用料金 特徴
Salesforce.com
(http://www.salesforce.com/jp/)
Salesforce
(CRM)
7,875円/1ユーザー/月〜
CRMアプリケーションをSaaSで提供し、顧客企業数は、35300社(2007年8月末)に及び、SaaS市場No.1シェアを誇るCRMアプリケーション。カスタマイズ、パーソナライズも自由にでき、充実したプラットフォーム、機能拡張やサードパーティ製のアプリケーションなど、多数のユーザーを持つ同社ならではの強みがある。
NetSuite
(http://www.netsuite.com/
portal/jp/home.shtml
)
NetSuite
(CRM ERP、CRM、eコマース)
月額11,000円から
ERP、CRM、Eコマースの3つを統合した、カスタマイズ可能なビジネスソリューション・スイート。CRM(営業管理、顧客管理、マーケティング情報管理)から、ERP(会計、販売・在庫管理)、ウェブ機能(eコーマース)にいたるまで、会社全体の業務をサポートするオンラインビジネスアプリケーション。
RightNow Technologies
(http://www.rightnow.jp/)
RightNow
(CRM)
ライセンス(1URL、1DB当たり)4,200,000円〜 /月額
ホスティングサイト利用料1,050,000円/月額)
FAQ(よくあるお問い合わせ)によるCRMシステム。顧客からのメールでの質問に、的確に対応しながら、その回答内容を一般的な内容に編集し、そのまま「よくあるお問い合わせ」としてホームページに公開できる、顧客の参照履歴を参照できるなど、多彩な機能を持つ。
Google
(http://www.google.co.jp/)
Google Apps for Your Domain
(アプリケーションスイート)
年間6,000円/ユーザー※、個人・教育機関は無料
Webメールサービス「Gmail」、インスタントメッセージング (IM) サービス「Google Talk」、オンライン予定表「Google Calendar」、Webページ作成サービス「Google Page Creator」が含まれる。サービスはすべてGoogleのサーバ上でホスティングされ、企業はGmailなどで自社のドメインを使うことができる。
SAP
(http://www30.sap.com/
japan/index.epx
)
SAP CRM On-Demand
(CRM)
1ユーザー月額8,400円
顧客管理や商談管理といったSFA(営業支援)機能が中心。同社の主力商品である「mySAP CRM」の機能を限定して搭載しており、マーケティング支援やサポート部門支援の機能を追加できるようにしている。
Oracle
(http://www.oracle.co.jp/)
Oracle Siebel CRM On Demand
(CRM)
1ユーザー月額8,750円
マーケティングや営業支援、サービスなど大企業向けの「Siebel CRM」と同等の機能を、ネットワーク経由で利用できるようにしたもの。金融、ハイテク、自動車、ライフサイエンスを対象にした業種別ソリューションが標準で用意されており、ユーザー企業は複雑なカスタマイズを行うことなく自社の業務に適した画面、データモデル、ビジネスプロセスを利用できる。

※Google Appsの料金は、ネットワークマガジン2007年8月号より引用。

富士通の取り組み

富士通では「Network as a Service」を提唱し、コンピュータ、ネットワークといったITリソース、個人認証などのセキュリティ技術、早期ビジネス構築実現のためのプログラムやインターフェース群を「サービス・プラットフォーム」として、融合して提供することにしています。この「サービス・プラットフォーム」は、ネットワークサービス「FENICS II」と、ネットワークと上位のアプリケーションやコンテンツとをつなぐための共通基盤である「SaaSプラットフォーム」からなります。

FENICS IIは2007年6月から順次サービスを開始しており、SaaSプラットフォームも年内サービス開始に向けて、群馬県館林市のデータセンターに構築中です。ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などコラボレーション機能の提供、不正アクセス監視やウイルス・チェック、電子メールの保存、遠隔会議支援、動画配信など段階的に拡充し、将来はグループ内外の有力パッケージ製品を組み込んで、営業支援やCRM、ERPなどもSaaSとして提供していくことにしています。

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