2006年 22号  発行日: 2006年9月21日 バックナンバー

ハイビジョンと最近のテレビ事情

アンケート

液晶テレビ

プラズマと比較すると消費電力は30%程度少なめです。バックライトは蛍光灯なので寿命がありますが、交換すればすむので長寿命という利点があります。画素自体を小さく作ることができるので、小型でも高精細な画面を作ることができ、37インチで1920×1080画素のフルスペックハイビジョンを実現しています。

液晶の長所(37インチでプラズマと比較)

  液晶 プラズマ
画素数 1920×1080 1024×720
重量 約24.0kg 27.0kg
定格消費電力 198W 270W
寿命 バックライト6万時間交換可 本体6万時間
液晶は、窓に取り付けるブラインドのように、角度によって光を通したり、さえぎったりして画像を表示します。ブラインドは一度にすべての羽が同時に動きますが、液晶はブラインドの一枚一枚の羽をさらに細かく切って、その一片一片を開け閉めしているようなものです。

液晶の原理

ブラインドが完全に閉じても光が漏れるように、液晶も完全に光を遮断することができません。つまり黒の表現が苦手です。また、開け閉めという物理的な動作を伴うので高速な動作は不利です。これは応答速度に影響し、はでな動きのある動画では残像が出ることがあります。ブラインドは見る角度によって明るさが変わります。これは視野角に影響します。

「黒の表現が弱い」、「応答速度が遅い」、「視野角が狭い」といった指摘に対して、液晶メーカー各社は、「VA」と「IPS」「マルチドメイン」といった技術で対応しています。

「VA」は、電圧をかけない時には液晶が基板に対して垂直に立って光を遮断して「暗(黒)」、電圧をかけた時には倒れて光を通し「明(白)」を作り出す方式です。光をほぼ完全に遮断でき、純度の高い「黒」が表現でき、高いコントラストを実現します。

「IPS」は、液晶を基板に平行に配置し、水平に回転させることで光を制御します。液晶が基板に対して常に寝ている状態なので、視野角が広く、斜めから見ても色やコントラストなどが変わりにくい特長があります。

「マルチドメイン」は、斜めからでも映像がきれいに見えるようにするために、1つの画素をさらに分割し、どこから見ても同じに見えるように液晶の向きをそれぞれ変えて並べる方法です。

応答速度についても、液晶分子に強い電圧をかけ、液晶の動きを早める技術で、応答速度を高速化し、同時に黒から白への中間色(グレー)を改善します。

こうした技術の積み重ねで、液晶の欠点は急速に改善されており、これが圧倒的な人気に結びついているとも言えます。

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