| 2009年 34号 発行日: 2009年10月13日 |
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「新型インフルエンザ」から学ぶ
新たな脅威から企業を守る事業継続管理
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第3章 新型インフルエンザに備えてなすべき対策とは
経団連の調査によれば、多くの企業が今後重点的に取り組むべき新型インフルエンザ対策として、「継続業務の絞り込み・業務継続体制の整備」、そして「発生時対応訓練の実施」など、より具体的な対策策定の必要性を認識していることがわかっています。
本章では、これまでの新型インフルエンザA(H1N1)の経験を踏まえ、あらためて企業として備えるべき新型インフルエンザ対策はどうあるべきかについて考えてみましょう。

以下、事前の対策として行動計画書を策定する上でのポイントを確認していきます。 |
具体的行動のための行動計画書の概要
- 新型インフルエンザへの対応行動を具体的に示す「対応行動計画書」は、次の3つの要素により構成・策定されます。
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- 基本方針
- 基本行動計画(感染予防策や感染者発生時対応など)
- 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)
- 事業単位で行われる「事業継続計画」策定では、既存の業務を3種類に特定・分類します。
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- まん延期においても継続する業務(継続戦略)
- 国内発生時に、早期に停止する業務(停止戦略)
この2つのいずれにも含まれない業務を、
- 感染が拡大し、欠勤率が高まるにつれ段階的に縮小する業務(縮小戦略)
パンデミック時には、多くの企業が「停止戦略」を採ることが予測されますが、国民の生命・健康維持に必要な、「医療従事者」や社会インフラを担う「社会機能維持に関わる事業者(それらを支える事業も含む)」は、必要な業務に対して「継続戦略」を採る必要があります。そのためには、代替・補助要員の確保や在宅勤務の実施など人員体制の整備について事前に検討しておく必要があります。
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有効な対応行動計画を策定する上での課題点
企業における新型インフルエンザ対応行動計画の策定は急ピッチで進みつつありますが、課題もあります。それは策定された計画が実際の行動手順として有効であるかの検証(訓練)、そして具体的な対策の実施です。また、国や自治体のガイドラインなどの変化、新たな情報に対応しつつ、いかに策定した行動計画を修正し、最新の状態に維持するかも大きな課題です。行動計画策定は、計画修正時の反映が迅速に行えるよう、計画自体の構造化を踏まえて行う必要があります。またその計画が実際に機能するかどうか、あるいは抜け漏れがないかを、常に訓練を通して検証する必要もあります。

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対応行動計画の運用プロセス
新型インフルエンザの対応行動計画を策定した後に対策を実施し、訓練による評価・改善を行う3段階のプロセスにより運用を実践していきます。
「計画策定」
正しい情報の整理・収集、実施体制の整備、発生段階に応じた行動計画を策定
「対策実施」
行動計画に基づき、感染予防・拡大防止のための各種対策、社内就業規定の改訂などを行う
「評価・改善」
訓練による行動計画の徹底と見直しを実施
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