2018年度 地域活性サマーフォーラム報告レポート

FUJITSUファミリ会では、活動方針として「震災復興に継続的に取り組み風化させないように努める」とあり、東日本大震災や熊本地震などへの復興支援活動を推進しています。今回は、7月13日に仙台で開催されました「地域活性サマーフォーラム」の様子をご紹介します。

 

■災害はいつどこでも誰にでも起こる

 「地域活性サマーフォーラム」は、今回で5回目となり、これまで宮城、岩手、福島など東北の被災地の現状や課題を発信し、昨年は熊本地震と併せて2つの被災地からの情報の発信を行ってきました。今回は、陸前高田市の戸羽市長より復興の状況と今後のまちづくりについて、宮城学院女子大学の木村先生より遺跡等から探る災害の歴史について講演がありました。

講演会場
 当日は東北支部以外からも多くの参加者があり、全国から約70社、130名超の皆さまが出席されました。奇しくも、直前に西日本豪雨災害が起こり大きな被害が出たばかりということで、「災害はいつどこでも誰にでも起こりうるもの」ということを再認識し、この会の目的でもある「震災を風化させてはならない」という皆さんの強い思いが伝わる会となりました。

■2020年は仙台で秋季大会を開催!

小野木克之氏
 冒頭に東北支部長である、河北新報社専務取締役 小野木克之氏より挨拶がありました。「未だ6万人を超える人が不自由な生活を強いられており、復旧は道半ばです。地域活性サマーフォーラムは2014年から毎年開催して、これまでで4回被災地より情報を発信してきました。天災を避けて通ることはできませんが、私たちが災害の教訓を発信、伝承することで、減災を図ることは可能だと考えています。震災から10年目にあたる2020年に仙台で秋季大会が開催されることが決定しました。改めて災害列島、日本と向き合い、震災復興、防災減災をテーマに、東北から全国へ情報を発信していきます」と、力強いメッセージが述べられました。

中野執行役員常務
 続いて、富士通の中野執行役員常務より、「東日本営業部長をやっていたころから地域活性サマーフォーラムに参加し、今回で5回目となります。大阪地震が起こり、更に西日本豪雨被害も起こり、災害は常に日本のどこかで起きていますが、残念なことにその都度甚大な被害が発生します。震災被害について、サマーフォーラムで声を上げて風化させないことに大きな意義があると考えます。本日お配りしている陸前高田のマカロンも、なんとか地域復興をしようという、戸羽市長の強い信念とリーダシップの賜物です。2020年に仙台で開催される秋季大会では、震災をテーマに掲げてしっかりと開催をお支えしたいと思います。本フォーラムが、皆さまとの情報共有の場になること、そして、ここから大きなメッセージが発信されることを祈念します」と、挨拶が述べられました。

■災害のリスクを想定し、自分の命は自分で守る

 次に講演者として、登壇された陸前高田市の戸羽市長より、富士通との関わりが紹介されました。富士通は、震災直後より新人の研修としてボランティアの派遣を行っています。また、現地支援のため社員の派遣も行っており、今回会場で配られたマカロンも、富士通社員のアドバイスとサポートにより実現したものだそうです。

陸前高田市戸羽市長

実は日本の自然災害のリスクは世界177カ国中4番目というリスクの高さだそうです。日本ではどこに生まれても災害にあうリスクがあり、どんな災害が起こりえて、どれだけ危険があるのか、自分の命を守るためにはどうすればいいかをあらかじめ想定することが大事だと強く訴えられました。戸羽市長は震災で奥様を亡くされ、市役所の職員も111名が亡くなりました。「我々の願いは、我々と同じ想いをする人がいないようにしたいということです。我々のようにならないでください。自分の命を守るということをそれぞれの人がやれば、あのような大きな被害は出ません」という言葉が、非常に重く胸に響きました。

■ハンデのある人を線引きせずみんなが仲間の街に

講演の様子
 陸前高田市の現在の復興状況は約7割とのことで、震災前に戻す(復旧)のではなく、より良い街づくり(復興)に取り組んでいらっしゃるそうです。その目標としているのが、当日の講演テーマにもなっている「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」。ノーマライゼーションとは、障害のある方や高齢者、外国人 の方などにとっても「当たり前のことを当たり前に」するために、道の段差をなくすなど、社会の環境側を整備していくという考えです。ノーマライゼーションを当たり前にして、そういう言葉のいらない街づくりを目指しているそうです。「色々な人がいて、それぞれ得意、不得意があります。障がい者の方やお年寄りを線引きするのではなく、みんなが仲間という街を作ります」と、おっしゃっていました。
 また、企業へ期待することとして、「災害に何かしらの手が打てないか、それを考えるのが企業の役目です。被災地への支援をCSRで終わらせるのではなく、社会の問題を解決するCSビジネスを考えて頂きたい。被災地を一つの題材にして、企業の知恵で日本の問題を解決していただきたいと思います」と、当日参加された企業の方々に訴えられました。

■災害の歴史は繰り返される。歴史に学び備えを!

木村先生
  続いて、ブラタモリ仙台編でタモリさんの案内役として出演された、宮城学院女子大学の木村先生より「遺跡等から探る災害の歴史―防災から減災へ」というテーマで講演がありました。過去に津波や地震の災害は繰り返し起こっており、仙台の遺跡調査からそれらの災害の歴史をご紹介いただきました。弥生時代にも地震による津波があり水田が水に浸かったようですが、現在の塩抜きの技術がなかったので、復旧するのに300年もかかったそうです。歴史から見えてくる教訓は、地震は25~35年周期の短期周期と400年・800年周期の長期周期で発生しているものがあるとのことで、「歴史に学び、明日に備える必要があります」とお話になりました。「大地震も津波も噴火も、そもそも災害ではなく、人が関わるためそう呼ばれます。例えば、たくさんの死傷者を出した御嶽山の噴火も、真冬の夜に起これば災害ではなかった。たとえ災害予知ができるようになっても自然の摂理は止められないため、被害を拡大させるか、ゼロにするかは人間の問題です。したがって、私は、意識的に「防災」という言葉は使わず、「減災」と言っています。私たちは、いつ何が起きてもおかしくない、ハイリスクの土地に住んでいるということを常に理解しておくべきです」という言葉に、会場の皆さんが頷いていました。

■フレンチマカロンを食べて復興貢献

フレンチマカロン
  最後に、会場で振る舞われたマカロンについてご紹介します。暑さでぐったりした私を会場で迎えてくれたのは、涼しげな黄緑色の可愛らしいマカロンでした。これは、陸前高田市が地元の食材による地域活性化を図ることを目的に立ち上げた新ブランド商品でフレンチマカロンといいます。マカロンをフレンチのコース料理に見立て、本格派フレンチシェフの協力の元、前菜、魚介、肉、チーズ、デザートからなる新感覚のマカロンです!現地に派遣されていた富士通社員のアイデアから実現されたもので、商品開発のプロデュースも富士通が支援しています。

会場で振る舞われたマカロン
当日会場で振る舞われたのは、前菜の中から「三陸わかめのアッシュ」でした。マカロンにわかめ?と思ったものの、一口食べてそのおいしさにびっくり!マカロンの甘い生地に、本格フレンチの濃厚なパテが挟まり、わかめの磯の香りと絶妙な塩加減が口に広がります。お酒との相性も抜群で、懇親会の会場で全種類のマカロンが置かれていたのですが、あっという間になくなってしまい、お客様の評判も上々でした。
戸羽市長が、CSRだけでなくCSビジネスとおっしゃっていましたが、このマカロンを購入し、おいしくいただくことも地域を直接応援することに繋がります。将来的には、多くの陸前高田市産の食材を活用して経済的効果を高めていくとのこと。現地まで行かなくてもネットでも販売しているとのことですので、皆さんもおひとついかがですか?是非皆さんの応援をよろしくお願いします!

 
仙台銘酒コーナー フレンチマカロン
懇親会では仙台の銘酒コーナーもお酒にも合うフレンチマカロンは懇親会でも大人気

フレンチマカロン購入はこちらよりどうぞ
 
 
 活動報告バックナンバー
 ・2017年度ICTリーダー研究会レポート

↑ PAGE TOP