2008年 31号  発行日: 2008年12月5日 バックナンバー

2008年度FUJITSUファミリ会 秋季大会
開催日:2008年10月30日 開催地:ホテル新潟

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アンケート

記念講演 「感動生活プロデュース術」

荒俣 宏 氏

荒俣 宏 氏

作家
荒俣 宏 氏

楽しく豊かな人生を送るには、自分の中に「埋蔵金」、つまり「感動の貯金」をためること。それには、先達の人生を学ぶことや、チャレンジ精神が大切との、氏自らの豊富な体験談を交えてお話いただいた。

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荒俣 宏 氏 プロフィール

経歴
1947年 7月12日生まれ。東京都出身。
1970年 慶応義塾大学法学部卒業後、日魯漁業に入社。コンピュータ・プログラマーとしてサラリーマン生活を送るかたわら、雑誌『怪奇と幻想』を編集。英米幻想文学の翻訳・評論と神秘学研究を続ける。
1979年 9年間勤めた日魯漁業を退社。翻訳家として独立。
1987年 大河小説『帝都物語』シリーズは、350万部のベストセラーとなり、日本SF大賞を受賞。
1989年 『世界大博物図鑑第2巻・魚類』で、サントリー学芸賞受賞。
1994年 『世界大博物図鑑』が全5巻・別巻2で完結。
2000年 「インターネット博覧会」編集長
2001〜2005年 日本大学芸術学部研究所教授
2005年 「愛・地球博」グローバルハウス・ナビゲーター
2006年〜 内閣府「感どうする経済館」プロデューサー

著書
『新帝都物語〜維新国生み編〜』(角川書店)、『世界大博物図鑑1〜6巻』(平凡社)、『世界神秘学事典』(平河出版)等多数。

感動の貯金をためる

「埋蔵金」探しの話題が、最近の国会でもありましたが、不況で楽しいことがなかなか思うようにできない中、それでも人生を豊かにする方法はあるというお話をさせていただきたいと思います。自分自身の埋蔵金をいかに蓄え、今後の人生にそれをいかに使っていくかという提案です。

荒俣 宏 氏 記念講演その1

まず、「感動」というものですが、これは埋蔵金として、非常に大きな力になると思います。感動したものは、知らないうちに体の中に蓄えられます。自分自身の埋蔵金とは、つまり、「感動の貯金」を蓄えること。そして、いざというときに、最も使いやすいものが、感動した体験なのです。

いくつになっても生きていることは挑戦です。どう挑戦していくかを考えるときに、先輩方が行ったことを知ることをおすすめします。まさに、温故知新です。

私が一番感動するのは、ケンタッキーフライドチキンを創業したカーネル・サンダース氏の話です。アメリカのモータリゼーションの波で、ハイウェイから高速道路へと変化した時代、経営していたガソリンスタンドとそこで販売し好評だったフライドチキンの両方を諦めざるを得なかった彼は、今や世界中にあるケンタッキーフライドチキンのフランチャイズ・システムを思いつきました。自分の店を持つのではなく、高速道路沿いに建ち並ぶレストランに、自分が開発したフライドチキンのレシピを売りこむことを考えたのです。チェーン店の第1号店がスタートし、成功し始めるのは、彼が60歳を過ぎてからのことでした。私はこの話を、50歳を過ぎて、自分ももうそろそろだめかなと思っていたころに知ったのですが、60歳を過ぎてから爆発できる人もいるのだと、大変大きな力を得ました。

私の温故知新ファイルの中からもう1人、皆様にご紹介したいのは、井上円了(いのうえ えんりょう)という人です。この人は、今の東洋大学のもととなる、哲学館という学校を創った人です。きちんとした哲学を持った人間を育てようという志から、日本全国津々浦々を講演し、設立資金を集め、本当に学校を創ってしまったのです。この人は、お化けの研究でも有名です。哲学をやるためには、迷信にとらわれてはならない。お化けは迷信だということを最初に解明したことでも有名な人です。しかし、私がこの人物に魅力を感じるのは、非常にウィットのセンスに富んでいたことです。この人のお墓が洒落ているのです。井上円了の墓だというのが一目でわかるように、井上の「井」という形の墓石の上に円形の石があります。そして、円了の「了」は、おしまいという字。ここは、まさに井上円了のおしまいの地だという意味です。

このような人々は、実はたくさんいて、それを知ることが自分自身の大きな埋蔵金になるのです。また、自分がどのくらいものを知らないかということを自覚することも大変重要な埋蔵金です。知らないからこそ、知ろうとするエネルギーが出て、勉強しよう、挑戦しようという気分になってくるからです。

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