学校法人片柳学園 様

教育機関の業務運営に不可欠な教務事務システムを、富士通の支援でハイブリッドクラウドへスムーズに移行

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1947年に東京都大田区で創立された「創美学園」を起源とする学校法人片柳学園。1大学、3専門学校、1日本語学校、1研究機関を擁する同学園は、最先端の教育と産官学協同の研究に力を注いできた。片柳学園では、定期的なリプレースに伴うコストや作業負担の抑制、および運用の効率化と、拡張性に優れたシステム環境を獲得するため、教務事務システムのクラウド化を決断。そのプラットフォームとして「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」(以下、FJcloud-V)を選択するとともに、富士通のデータセンターを活用したハイブリッドクラウド基盤を構築した。

課題
効果
課題5年に一度行われるハードウェア更改に伴う費用負担や作業負荷
効果富士通の手厚いサポートにより、スムーズな教務事務システムのクラウド化を実現し、ハードウェア更改のサイクルから脱却
課題数あるクラウドの選択肢がある中、コストメリットを出せるか不安
効果データセンターとの併用と定額制料金体系の採用で、コストを最適化
課題オンプレミスと遜色なく、データセンターとクラウド間を安全かつ高速に接続する必要がある
効果富士通の「Digital enhanced EXchange(DEX)」により、クラウドと富士通データセンター間のセキュアで高速なネットワーク接続を実現

導入の経緯

15年以上にわたってオンプレミスで運用されていた教務事務システムをクラウド化

東京工科大学、日本工学院専門学校、日本工学院八王子専門学校、日本工学院北海道専門学校、東京工科大学附属日本語学校といった1大学、3専門学校、1日本語学校に加え、産学共同の研究機関である片柳研究所を運営する片柳学園。「現代社会の変化に即応し、広く社会に貢献しうる人材を育成する」という教育理念を掲げ、科学技術や芸術の分野において高度化する社会ニーズに応える技術と知性を有する優秀な人材を輩出してきた。

同学園は「理想的教育は理想的環境にあり」との考えから、教育設備の整備にも積極的に取り組んでいる。IT基盤の継続的な強化もその一環だ。法人本部 ネットワークセンターでセンター長を務める鬼丸陽子氏は、「学修成果の可視化システムの構築をはじめ、ITの側面からも、学生一人一人に対し入学から卒業まで一貫したサポートが行えるような環境づくりに注力しています」と説明する。

一方、ITによる学内業務の効率化も推進。従来、紙や人手による作業が中心だった予算管理や購買管理、経費精算といった様々な業務をデジタル化/ワークフロー化することで、ペーパーレス化や作業工数の削減に努めている。

そうした片柳学園のIT改革における最大の取り組みといえるものが、これまでオンプレミスで運用されてきた教務事務システム「KIESSシステム」のクラウド化だ。同システムは約15年前に富士通の教務事務パッケージ「Campusmate」を主軸に構築され、以後、サブシステムの追加による機能拡充を重ねてきた。

クラウド化へ踏み出した理由には、5年に一度行われるハードウェア更改からの脱却があった。ネットワークセンター 参与の森弥氏は、「ハードウェアのリプレースには多大なコストが発生するだけでなく、OSやミドルウェアのアップデートも必須となるため、プログラム改修も余儀なくされます。そうしたリプレースに伴う費用負担や作業負荷を抑制したいと考えていました」と話す。

また、経営層からは「資産を抱えるのではなく、公共料金のように使った分だけ費用を払う仕組みの実現」が求められていたことも、クラウド化の大きな理由だったという。

導入のポイント

コストメリットと信頼性を考慮し、FJcloud-Vとデータセンターを併用したハイブリッドクラウドを選択

KIESSシステムのクラウド化にあたって片柳学園が選択したのは、富士通が提供するVMware vSphere®基盤のクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V(以下、FJcloud-V)」、および富士通のデータセンターサービスを組み合わせたハイブリッドクラウド基盤である。

クラウド化のパートナーとして富士通を選んだ理由について森氏は、「Campusmateの導入以来、富士通は常に手厚いサポートを提供してくれました。そうした信頼に加え、限られたスケジュールの中でクラウド化を確実に、かつ、スムーズに進めるには、当学園のシステムも熟知している富士通の支援を受けるのが最善策であると考えたからです」と語る。事実、富士通は片柳学園にとってベストとなるクラウド基盤を実現するため、複数のクラウド化のパターンを提示。最終的にハイブリッドクラウド基盤が選ばれたのは、コスト効果を最大限に発揮できることがあったという。

CampusmateではデータベースとしてOracle Databaseが利用されているが、これをクラウドに移行した場合、ライセンス費用が大幅に上昇してしまうことが懸念された。そこでデータベースサーバはデータセンターに設置、アプリケーションサーバやWebサーバはクラウド上で運用し、両者を連携させるというハイブリッドクラウドを選択したのである。なお、データセンターとクラウド間の接続には、富士通の「Digital enhanced EXchange(DEX)」を採用。閉域ネットワークを通じてセキュリティを確保しながら富士通データセンターとクラウド間で高速接続を実現できるためだ。

セキュリティの確保や可用性の観点からも、ハイブリッドクラウド化は評価された。ネットワークセンター 課長の安西美津子氏は、「重要なデータを学内に保管するよりも、堅牢な富士通のデータセンターに置く方が情報漏洩や機器障害によるリスクをさらに抑制できると考えました」と話す。

このほかコスト面では、従量課金ではなく定額料金制を適用できることもFJcloud-Vの評価ポイントとなった。一般にクラウドサービスは使用量に応じて料金が毎月変動する従量課金制で提供されるが、予算策定にあたっては、発生する費用の概算を事前に把握できることが望ましい。特に教育機関は、入学生を迎え入れる4月にピークを迎えることが多く、年間を通じてリソースの変動を見定めるのが難しい。しかし、定額制料金制であれば、そうした課題にも対処できるようになる。

効果と今後の展望

富士通の適切なサポートにより、スムーズなクラウド化を実現

オンプレミスからクラウドへの移行作業中にも、富士通からは多方面にわたる支援が提供された。例えば、クラウド上にテスト環境を構築する作業である。安西氏は「テスト環境がオンプレミスの時よりも早期に準備できたことで、早い段階でシステムの課題点を発見、解消でき、その結果、トラブルのない本番稼働を迎えられました」と話す。

また、森氏も「クラウド移行にあたって、KIESSシステムの機能の統廃合を行ったのですが、富士通は新旧機能の比較表の作成や、旧システムで使用していた機能に代替するものを新システムで提案してくれるなど、長年のサポートを通じて培われたナレッジに基づく的確なアドバイスを寄せてくれました。今回、富士通がパートナーだったからこそ、スムーズなクラウド化を成功できたと思っています」と語る。

2022年5月から本番運用を開始した片柳学園のハイブリッドクラウド基盤は、現在も安定稼働を続けている。森氏は「現時点での導入効果は、定期的に行っていたハードウェアの更新がなくなり、そのための作業やコストが不要になったことです。また、IT基盤の構築にあたって柔軟性を確保すると同時に、運用負荷も抑制できるようになったこともクラウド化ならではのメリットだと考えています」と話す。また、実運用の観点から安西氏は、「以前であればハードウェアのリプレース時にはシステム停止期間を設けなければならず、学内で業務の調整が必要なことも少なくありませんでした。クラウド化により、そうした停止期間や調整が不要になったことも大きなメリットの1つです」と語る。

富士通のサポートのもと、教育機関の基幹系システムとも呼べる教務事務システムをクラウド化し、コストと運用負荷を大幅に抑制した片柳学園。最後に鬼丸氏は、今後の片柳学園のIT改革に関する展望と富士通に対する要望を語った。「今回の教務事務のクラウド化を契機として、他システムについてもクラウド化することで、ハードウェア更新からの脱却、運用負担の軽減を進めていきたいと考えています。引き続き富士通には、当学園のIT基盤や業務を最も良く知るパートナーとして、最善となるインフラや業務効率化の提案を期待しています」(鬼丸氏)

システム概要

学校法人片柳学園 様

本部所在地 〒144-8650 東京都大田区西蒲田5-23-22
創立 1947年
ホームページ https://www.katayanagi.ac.jp/
事業内容 教育機関

[2022年12月掲載]

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