背景

タクシーを指定の場所に呼んで利用したい。このようなタクシーの利便性を実現するために、顧客の最寄りの車両を自動検索し、配車指示を車両端末へつなぐ様々な配車システムをデンソーテンは提供しています。配車システムの1つ、IP無線システムは携帯電話網を利用してタクシーの位置情報をキャッチし、配車センターで車両位置などの情報確認が可能となり、効率的な配車業務を支えています。

従来、本システムはデータセンターで稼働していましたが、サーバーリプレイスのタイミングで毎回多大な手間やコストがかかり課題となっていました。今回、サーバーの保守切れに伴い、IP無線システムの新たな基盤として、初期費用が抑えられ、コストパフォーマンスの高いクラウドサービスの活用について検討を開始しました。

導入効果

クラウドへの移行を検討するにあたり、当初は既存のオンプレミス環境と同等レベルでサイジングを計画していたが、FJcloud-Vでの性能やレスポンスの評価を行う中で、予定以上のサーバー台数の削減やより安価なサーバータイプへの変更が可能になりました。サイジングにあたっては富士通の支援もあり、CPU数やメモリ容量などの最適化を図ることで、更なるランニングコスト抑制に繋がりました。長期的な面でも、今後の業務運用に合わせたスケール変更を柔軟に行うなど、コストメリットを追求し続けることが可能な環境を構築できました。

さらに、24時間365日稼働するサービスの基盤であるため、Oracle Databaseをクラスタ構成とするOracle Real Application Clusters（以下、Oracle RAC）の構築が必要でした。FJcloud-VではOracle RAC構成の提供が可能なため、従来のオンプレミス環境で構築していた構成をFJcloud-Vにおいてもスムーズに維持することができ、可用性の高いシステムを構築できました。

移行は、FJcloud-VのVMインポートの機能を使い、既存オンプレミス環境のイメージファイルをインポートして実施しました。事前に検証を重ねた上で、OSやアプリケーションの移行を推進しました。Oracle Database環境もバックアップファイル（dmpファイル）を既存環境からエクスポートし、FJcloud-Vへインポートすることで変更を加えることなく、そのまま移行を進めることができました。本番環境への切替も、ほぼ無停止で完了でき、サービス利用者への影響も最小限に抑えられ、スムーズな移行を実現しました。本稼働後も安定稼働を続けており、クラウドへの移行に伴ったパフォーマンス劣化等もなくサービス提供を続けています。