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トップは語る こぼれ話

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取材時にお伺いしたものの会報Familyで掲載しきれなかった話題をピックアップ。
各分野で活躍中のトップの、仕事時間以外の横顔をご紹介いたします。

【2013年度 CONTENTS】


会報 Family 356号 トナミホールディングス株式会社

「郷土愛、そしてバドミントン」
トナミホールディングス株式会社 代表取締役社長 綿貫勝介 氏

社名に冠された「トナミ」は1943(昭和18)年に同社が創業した地、礪波市(現・砺波市)に由来しています。その後本社を高岡市に移しましたが、富山への郷土愛は変わらず受け継がれている、と綿貫社長はおっしゃいます。

高岡市北部には義経伝説にも登場する雨晴海岸(あまはらしかいがん)があります。能登半島国定公園に含まれ、晴れた日には富山湾越しに立山連峰を望むことができる美しい景勝地です。元旦には初日の出を目当てに大勢の人出で賑わいます。またJR氷見線が海岸線のすぐ横を通っているため、鉄道ファンの人気も高いそうです。映画やテレビドラマのロケ地としてもよく登場しますが、綿貫社長によると、雨晴海岸から立山連峰がきれいに見えるのは3月半ばから5月半ばとのこと。空気が乾燥する冬は山並みがくっきりと見えそうですが、冬の日本海はなかなか晴天に恵まれないので、春がお勧めだそうです。

さらに綿貫社長がぜひ訪れてほしいとお勧めされるのは、高岡駅の南西、徒歩10分のところにある国宝指定の瑞龍寺です。荘厳で格式あるたたずまい、粛々として空気までが澄みきったように感じる独特の風情は、他ではなかなか味わえない瑞龍寺ならではのものだとおっしゃいます。高岡に築城し、この地で亡くなった前田利長公の菩提を弔うために、およそ20年の歳月をかけ建立された寺で、建立当時は3万6千坪におよぶ寺域があったそうです。

  
平日にも大勢の参拝者が訪れる瑞龍寺本堂と、右は復元された瑞龍寺の大庫裏


北陸・富山は海の幸に恵まれ、米どころでもあり、とにかくお酒も食べ物も自慢できるものばかり。海の幸はもちろんですが、最近ではカレーうどんの人気も高いそうです。県外からもお客さんが押し寄せ、行列が絶えないお店もあるそうです。

富山、そして高岡をこよなく愛する綿貫社長。その気持ちの表れとして、長年後援されているのがバドミントンです。2012年に行われたロンドンオリンピック、バドミントン男子シングルスでトナミ運輸所属の佐々木翔選手が5位入賞を果たしたことは記憶に新しいですが、この佐々木選手が現在主将を務めるトナミチームは、2年連続で日本リーグ優勝を勝ち取っている強豪です。

  
日本リーグ3連覇を目指しているトナミ運輸バドミントン部の皆様 右は佐々木選手


もともと高岡市はバドミントン人口が多く、小・中学校でも熱心にバドミントンに取り組んでいるそうです。ときにはトナミチームの選手が小・中学校に赴いて、指導することもあるのだとか。

スポーツの分野でも地元に貢献していきたいとおっしゃる綿貫社長。バドミントンをもう少しメジャーなスポーツに押し上げ、トナミチームの名前を全国区にするべく目下奮闘中だそうです。


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会報 Family 355号 水澤化学工業株式会社

「自然の息吹を取り入れてエネルギーを充填」
水澤化学工業株式会社 代表取締役社長  澤田 宏 氏

澤田社長は技術畑のご出身で化学に関する専門家でもいらっしゃいます。技術者というと、どこか気難しいインドア派をイメージしがちですが、社長は大のアウトドア派。工場勤務の頃にはワゴン車にキャンプ道具を積みこみ、山へ海へと、ご家族でいつもお出かけになっていたそうです。その頃は珍しかった2ドア式のテントを2つお持ちだったということからも、凝り性な社長の性格が伺えます。

キャンプ地では釣った魚を素材にバーベキューを楽しまれたり、スキー場でも2バーナー(アウトドア用2口コンロ)で料理を作ったりと、自然の中で思う存分過ごされていたようです。

水沢工場がある鶴岡市は藤沢周平の小説のモデルと言われる庄内藩があったところです。庄内浜の磯釣りは現在も大変人気がありますが、庄内地方では「釣りをする」とは言わずに「勝負をする」と言うそうです。江戸時代、太平の世が続き、武士の足腰が鈍るのを危ぶんだ庄内藩は武道と同様に「釣道」を奨励しました。それが発端となり、刀と同様に釣竿が大切にされ、庄内竿という独特の竿も生み出しました。当時の名残が今に残っているのですね。

東京本社の勤務になってから、キャンプや釣りに代わって社長の心をとらえているのが神社仏閣めぐり。お休みの度に、あちこちの神社やお寺に参詣されているそうです。

東京は、自然という点では工場がある山形や新潟にかなわないけれど、神社仏閣がたくさんあるという点では断然楽しい、とおっしゃいます。神社仏閣は木造建築の巧みな造りや庭の景色、季節ごとの樹木や草花など、見どころがたくさんあり、何度訪れても飽きないのだそうです。

都内だけではなく、時には中部や近畿方面へも足を伸ばされます。京都の東本願寺で半日過ごすこともあり、何をするでもなく、ただボーッと風景を眺めることが何物にも代え難いリラクゼーションになるとおっしゃいます。澤田社長にとって、神社仏閣で過ごすことは、多忙な日常ですり減ったエネルギーを充填する大切な時間なのかもしれません。

東京の神社仏閣の中でのおすすめをお聴きしたところ、ご自宅から近いという根津神社を挙げられました。根津神社は、五代将軍綱吉が甥である綱豊卿(六代将軍家宣)を養嗣子に定めた際に社殿を奉納したものが現在に続いています。1706年に完成した権現造りの本殿・幣殿・拝殿・唐門・西門・透塀・楼門の全てが欠けずに現存しており、国の重要文化財に指定されています。


根津神社(東京都文京区)
楼門の奥に、緑の屋根の本殿が見える


境内には2000坪に及ぶ有名なつつじ苑がありますが、澤田社長によると、つつじの季節でなくとも、四季折々の花が楽しめるので、精緻な建築ともどもおすすめだそうです。ご自身も幾度も参詣なさっており、仕事に限らず、何事につけ深掘りして極めていくというのが、澤田社長のご気質といえそうです。



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会報 Family 354号 菅公学生服株式会社

「故きを温ね新しきを知る」
菅公学生服株式会社 代表取締役社長 尾崎 茂 氏

2013年は、就任以来もっとも多忙な日々を過ごされているといっても過言ではない尾崎社長。社名変更を含むブランディング再構築に加え、岡山青年会議所の理事長も務められており、なかなか休みが取れない日々が続いています。

ただそんな中でも、ストレスがたまることはほとんどないそうで、その理由は「いつも刺激を受けているから」だとおっしゃいます。さまざまな方との交流の中での興味深い情報、感嘆するでき事など、経営のヒントになる事柄もたくさんあるそうです。
殊に青年会議所で同年代の経営者たちと接することは大きな励みになっているとのこと。異業種の方々の経営感や発想などを聞くことは、日々刺激と勉強の連続なのだそうです。また、青年会議所は全国組織なので、理事長職についたことで全国の仲間も増え、交流の輪が広がったことは、仕事上でも、人生にとっての大きな財産だとおっしゃいます。

菅公学生服株式会社発祥の地でもある岡山県倉敷市児島は、年間を通じて雨が少なく、干拓地が多い土地柄で、江戸時代から備中綿の栽培が盛んに行われました。やがて繊維産業の基盤ができると、その技術を伝承し、日本一の学生服産業、ジーンズ産業へと発展させたのです。児島は『日本書紀』の国生み神話に「9番目に誕生した島、吉備子洲(きびのこじま)」として記されている由緒ある地名でもあります。

尾崎社長は連綿と受け継がれた繊維産業、学生服産業の伝統を次世代へとつなぐ役目を担っているとおっしゃいます。新社名に用いられている「菅公」という漢字表記も、原点をしっかり見つめようという観点から採用されました。
意外なことにこの漢字表記の社名は若い社員からの提案だと伺いました。漢字だから古くさい、アルファベットだからスマート、という感覚は、むしろ年長者の固定観念なのかもしれない、と尾崎社長。
尾崎社長ご自身が若手の経営者ですが、それでも若い社員のアイデアや考え方は非常に参考になり、そうしたアイデアを取り入れつつ、社歴の長い人たちの技術や経験をそこに重ねていくことで、伝統を足がかりにした新たな挑戦ができるのだそうです。


瀬戸内海に沈む夕陽

最後に岡山の名所をお聞きしたところ、1番は「児島から見る瀬戸内海に沈む夕陽」、さらに日本三名園のひとつ、後楽園は2月の芝焼きの日に訪れるのがお勧めだとのお答え。
尾崎社長曰く「岡山は交通の便もいいし、観光名所はたくさんあるけど、なかなか降りてもらえる駅にはならなかった。この頃ようやく少しずつ認知されてきた感じですね。」
素敵な歴史と産業をかかえる岡山県。観光地としてももっと栄えてほしいというのが尾崎社長の願いです。




日本三大名園の一つ、岡山後楽園

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会報 Family 353号 株式会社カナモト

「テナーサックスを携えて何処にでも」
株式会社カナモト 代表取締役社長 金本寛中氏

東証一部上場の直後に社長に就任され、その重責は並大抵ではないはずですが、現状に甘んぜず「変革していくこと」を社の行動指針に掲げるなど、常に能動的な姿勢で会社を引っ張る金本社長。 プライベートにおいても、未知の世界に挑戦していくことで得られる発見や驚きが発想の転換へとつながり、活力の源にもなるとおっしゃいます。そんな金本社長が最近夢中になっているのがテナーサックス。

もともと音楽を聴くのは大好きでジャズやボサノバのスタンダード・ナンバーを中心に幅広く聴かれていたそうですが、8年前に一念発起、SELMER(セルマー:1885年創業の老舗サクソフォーンメーカー)製のヴィンテージのサックスを入手し、ご自身で練習を始められました。

楽器の演奏には以前から興味をお持ちだったようですが、なぜテナーサックスなのか、しかもヴィンテージものなのか、という理由にも金本社長の興味深い考え方がうかがえます。テナーサックスを選んだのは吹くことで呼吸器系を鍛えられ、10本の指を複雑に組み合わせてキーを押すので、老化防止に役立つだろうということ。そしてCDを聴いて耳で曲を覚えるようにすれば、脳も活性化されるに違いない。さらには、ヴィンテージものの高額な楽器を購入すれば、途中で投げ出すこともできないだろうと予測された。まさに大胆さと緻密さを合わせ持つ金本社長ならではの決断です。

 
セッションに興じる金本社長(左:シンガポールにて、右:ギターとのセッション)

現在はレパートリーも40曲ほどに増え、十八番は「酒とバラの日々」と「Wave」。サックスを始める際に、この2曲だけは必ずマスターすると決心されていたそうです。そして金本社長は、さらにサックスの演奏に磨きをかけるため、クラブなどでのセッションにも挑んでいます。何度も交流を重ねるうち、予約なしでも気軽にセッションに応じてくれるお店が全国にできたとのことで、出張には必ずサックスを持参されます。演奏する楽しさはもちろんですが、会社での肩書きを離れ、一個人としてリラックスして過ごせる貴重な時間だとおっしゃいます。

目下の課題曲は「These Foolish Things」。ある日素敵なお店でロマンティックなスタンダード・ナンバーが聴こえてきたら、それはもしかしたら金本社長のサックスかもしれません。


サックス奏者としてのお名前は「ニャン ゴロトレーン」


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会報 Family 352号 沖縄セルラー電話株式会社

「どんな時にも自分で楽しみを作る」
沖縄セルラー電話株式会社 代表取締役社長 北川洋 氏

スポーツが大好きで、ゴルフはもちろん、夏はテニス、冬はスキーとアクティブに過ごされることも多い北川社長。学生時代は野球に没頭し、その頃の仲間たちとは現在でも親しく交流しているようです。

いまは職業も居住地もマチマチですが、会えば一気に学生時代に戻り、気兼ねなく語り合えることが何よりも楽しいとおっしゃいます。そんな集まりを重ねるうちに、誰からでもなく、仲間がいつでも気軽に立ち寄ることができる「隠れ家」ができたらいいね、という声があがってきたそうです。友人たちは料理が得意な人、不動産情報に詳しい人、お酒のうんちくがある人などバラエティに富んでいるので、それぞれの得意分野を活かせば、ちょっとしたお店が作れるんじゃないか、とプロジェクトに期待を膨らませていらっしゃいます。

北川社長の担当は音楽。ご自身もピアノを弾かれていたそうですが、現在はもっぱら鑑賞のみで、クラシックもお聴きになるそうですが、本命はアダルト・コンテンポラリー・ミュージック。特に60年代から80年代始めの洋楽に関しては、イントロを5秒聴けば曲名を当てられるほどのマニアです。そして今のおすすめはビートルズの「When I'm Sixty-Four」。1967年に発表された曲ですが、ご自分たちの年齢がようやくこの曲に追いつき、感慨がひとしおだとおっしゃいます。


ビートルズゆかりの地、リバプールにある音楽スタジオ  by Takashi(aes256)

そして音楽と同じくらい好きなのが映画。鑑賞するだけではなく、映画のワン・シーンを再現してみるのだそうです。例えば「寅さんは旅先でこういう焼酎で一杯やっていたな」と思い出しながら飲む酒はひとしおで、より一層映画を堪能できるのだとか。最近では特定の映画をイメージして内装を仕上げたレストランや、古民家を改造したレトロなカフェなどもありますが、自分で工夫しながら映画の世界に浸るのが何よりの楽しみ。多少「変な奴」と思われても構わない。自分で考えて、何でもトライしてみることも人生の楽しみのひとつ、とおっしゃいます。


柴又駅前の寅さん像 by yoco**

海外勤務では、ニューヨーク、香港、マレーシアに赴任され、それぞれの都市がもつ個性を享受することができたと目を輝かせて語られました。ご自身は沖縄出身ではないので、現在の生活も海外赴任のような気持ちでエンジョイしているのだそうです。
どこに行っても新鮮なものの見方を忘れない北川社長。それが新たなビジネスのヒントを生み出しているのかもしれません。


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会報 Family 351号 事例[トーテックアメニティ株式会社]こぼれ話

事例[トーテックアメニティ株式会社]こぼれ話

情報セキュリティ対策の事例取材として、企業や地方自治体、医療機関の技術支援を行っているトーテックアメニティ株式会社を訪問した。取材には同社がサイバーセキュリティの啓発活動や新技術開発のために設立したトーテックサイバーセキュリティ研究所の藤原礼征所長も同席。藤原所長の話はときに「サイバーセキュリティの講義」のようだった。

●従来の情報セキュリティとサイバーセキュリティの違いはどこにあるのでしょうか?


トーテックサイバーセキュリティ研究所
所長 藤原 礼征 氏

藤原氏
まず背景が大きく違います。1995年、インターネットの本格的な商用化がスタートした当時、利用者は全世界で6000万人程でしたが、2012年には、インターネットの利用者は全世界で20億人に及んでいます。以前のインターネットはコンピュータとコンピュータをつなぐネットワークにすぎませんでしたが、現在、インターネットは人と人が情報を介してコミュニケーションを図り新しい社会を形成するに至っています。このインターネットでつながれたインターネット社会、つまりサイバースペース上のサイバー社会では、現実社会と同じようにショッピングやビジネスなど、さまざまな活動が行われています。

●サイバー社会の安心安全を実現するのがサイバーセキュリティということですか?

藤原氏
そのとおりです。システムに関するセキュリティには大きく3つの概念があります。 1つめがコンピュータセキュリティ。パスワードやユーザー管理などコンピュータを安全に使うことに主眼を置く技術的な解決策です。 2つめが情報セキュリティ。全社的な観点から企業の情報資産を守る組織的な解決策です。 3つめがサイバーセキュリティ。サイバースペース上のサイバー社会において安心安全を実現していく社会的な解決策です。 サイバーセキュリティは社会的な観点で捉えることが大切です。国家間が緊張し他国の組織から攻撃を受けるといったことは、従来の情報セキュリティでは想定されていません。

●サイバースペースにおいてセキュリティはどのように考えるべきですか?

藤原氏
サイバースペースは特殊な空間です。世界中のありとあらゆる場所が時空を超えて隣り合わせになっています。日本国内は夜中でも安心して外出できますが、海外には夜中に安心して道を歩くことすらできない地域もたくさんあります。 日本に居ながら、そうした紛争地域や犯罪多発地帯、テロリスト集団の拠点といった危険な場所と直接つながっていると考えてみてください。サイバー社会の安心安全をどのように実現していくのか。また、人と人とのコミュニケーションを円滑にしながら、人や企業、国の権利をどう守っていくのか。そうした課題を解決するのがサイバーセキュリティです。

●サイバーセキュリティにおける対策のポイントはどのようなことですか?

藤原氏
製薬会社なら研究情報、製造業なら図面というように、企業によって第一に守らなければならない情報は異なります。企業それぞれに、この情報だけは守らなければならないという視点から対策をつくることが大切です。また万一情報が流出してしまった場合でも被害を最小化するように、さまざまな対策をセットで考えることも重要なポイントとなります。

●サイバー社会における企業の責任をどのように考えるべきでしょうか?

藤原氏
私が、セミナーや著作物でよく取り上げているのが、ピーター・ドラッカーの社会的責任論の中にある「野獣の原則」です。これは、野獣が檻から逃げて人に損害を与えた場合、逃げた原因が過失か天災かを問わず飼い主に責任があるとするものです。法的な観点ではなく社会的責任として、企業にはサイバーセキュリティ対策の確立が求められており、そのことがお客様の信頼につながる時代がきているという認識が必要です。

「サイバーセキュリティは社会的な観点で捉えることが大切」と指摘する藤原所長。現実社会と同様に、今後サイバー社会においても企業の社会的責任を問う声は一層強くなっていくことだろう。


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会報 Family 351号 巻頭言 取材こぼれ話

巻頭言 取材こぼれ話

「情報処理推進機構(IPA)」と聞いて私達に一番なじみがあるのは「情報処理技術者試験」ではないだろうか。しかしIPAでは、人材育成の他にも、情報セキュリティ対策、ソフトウェアエンジニアリング、国際標準の推進といった、ICT産業の発展を推進する活動を幅広く行っている。今回取材した小林氏と大森氏が所属する「セキュリティセンター」では、ウイルス・不正アクセス・脆弱性に関する発見・被害の受付窓口を持っており、そこで収集した情報の分析をもとに、実にさまざまなセキュリティ対策情報を提供している。
取材の中で紹介していただいたのは、PCの脆弱性対策として、インストールされているソフトウェアが最新バージョンかどうかをチェックする「MyJVNバージョンチェッカ」だ。Adobe ReaderやAdobe Flash Player、JRE(Java Runtime Environment)など、広く普及しているソフトウェアをチェック対象とした本ツールは、誰でもWebから無料ダウンロードできる。小林氏のPCでは、毎日午後1時に自動実行するよう設定しているそうだ。
この他にも、最新の攻撃の解説および自己防衛策を紹介するチラシ「今月の呼びかけ」(取材した2012年12月のテーマは、「ネット銀行を狙った不正なポップアップに注意!」であった)や、さまざまな脅威と対策をドラマや図表で解説するYouTube公式チャンネル「IPA channel」および無料配布DVD「情報セキュリティの基礎知識」、Webサイトの脆弱性に関する8000件もの届出情報をもとに作成した「安全なウェブサイトの作り方」なども紹介していただいた。

取材に同席した会報Family編集委員の田原氏、鈴木氏からは、企業の情報システム部門の立場から、小林氏、大森氏へさまざまな質問が飛んだ。その1つは、ファイアーウォールなどで高度にガードしていても入ってくる脅威についてだ。今狙われているのは、メール・USBメモリ・Web改ざんの3つだという。例えば、ついさっき会議で同席した社外の人からメール添付で資料が送られてきたら疑いを持たず開いてしまうし、USBメモリが落ちていたら中身を確認したくなる。いつもアクセスしているWebがある時点で改ざんされたとしても、信頼しきっているから気づきにくい。このように攻撃者は、「いかに騙すか」を考えているから、企業がネットワークを固めたり、社員教育を徹底したりしても、完璧に防ぐことは難しい。IPAが“出口対策”の必要性を訴えているのはこうした現実からだ。

また、セキュリティベンダーによる検知率の差についても話題が及んだ。これは、セキュリティベンダー間でウイルス検体の共有化が進んでいないことが理由だという。不特定多数を対象とした攻撃に対するウイルス検体は、ウイルス対策ソフトで対処できる可能性が高いが、標的型攻撃の場合は、特定の組織を標的とするため、ウイルス検体などの攻撃情報がセキュリティベンダーに流通しにくい。IPAでは、被害者から届け出があれば、セキュリティベンダー各社に報告しているとのことで、ユーザーからの幅広い情報提供は、事前対策のカギとなっているようだ。小林氏の「悪い人達は組織的にいろいろと連携しているので、守る側がばらばらでうまく機能しなければ、攻撃者の優位性は変わらない」という言葉が印象的だった。

取材で紹介されたIPA提供の情報やツールのURLは以下のとおり。


Family編集委員の田原氏と鈴木氏から、さまざまな質問がとんだ


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