本論文では,製薬業界で実施している新医薬品の市販後調査の効率化を図るため,ASPを適用したシステムの事例を述べる.
製薬企業では新医薬品の市販後に適正使用情報の収集及び検討を行い,厚生労働大臣への副作用報告,添付文書の改訂,医療機関への情報提供などを行わなければならない.この適正使用情報の収集は医薬情報担当者(以下MRという)が実施しており,医師に,医薬品が投与された患者の情報を調査票に記入してもらっている.この調査票は製薬企業が電子化し,評価・分析を行っている.回収数は1市販後調査当たり約3000例にもなり,製薬企業にとって大きな負担になっている.
今回開発したシステムでは,インターネットを介して医師にデータを直接入力してもらい,MRによる調査票回収作業と紙から電子化への作業を省略し,効率化を図ろうとするものである.また,多数の医療機関と多数の製薬企業の関係を取りまとめるため,ASPを適用している.
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