近年,営業支援システムに対する関心が高まってきている.最近では,SFAという言葉も一般化し企業の意識も顧客指向を重要視した経営方針に移行するといった大きな流れが起こっている.
本論文では,A社におけるモバイルコンピューティングを活用した,営業支援システム構築の事例を紹介し,事例を通じて全社システムとしてのトータルSFAをにらんだ構築,モバイルコンピューティングを導入するにあたっての基本的考え方であるエンドユーザ教育の重要性とセキュリティに対する考え方について述べる.
A社は,営業活動情報を活用し,営業活動の質的底上げ,報告/指示の迅速化,モバイルコンピューティングによる営業活動パターン(直行直帰)にマッチしたシステムの実現,情報の共有による地域的遠近格差の解消を目的とし構築を行った.
システム構成に関しては,WindowsNT,リモートLANアクセスを用いたモバイル環境の確立と,SFAパッケージ(SalesPowerup/EP)を導入による短期構築,受注入力部分の新規構築と対ホストコンピュータのソケット通信の採用が目玉といえる.
構築上のポイントは,エンドユーザのコンピュータスキルの低さへの対応とモバイルコンピューティングを行う際のセキュリティの考慮が挙げられる.
稼動間もない現状では,本質的な効果(売上の向上)は,評価に至っていないが,情報活用と迅速化という観点では,効果があがっている.
今後は,営業部門の効率化のみならず営業管理部門に対する効率化,情報の提供の実現を中心として展開を図る予定である.
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