
第6期富士通グループ環境行動計画における重点分野に設定し、4つの行動計画項目に基づいて生物多様性保全に向けた活動を推進しています。
また、富士通グループは、「事業活動が生物多様性からの恵みを受け、また生物多様性に影響を与えている」との認識のもと、行動しています。
人々の暮らしは、地球がもたらす自然の恵みがあってこそ成り立っています。食料・木材の供給はもちろん、気候調整や水の浄化、あるいはレクリエーションなど、自然が人類にとって果たす機能は計りしれません。こうした機能を総称して「生態系サービス」と呼んでおり、それらを生み出す源が「生物多様性」です。昨今、地球上の生態系の劣化が進むなか、持続的な生態系サービスを可能にするためには、生物多様性の保全が喫緊のテーマだといえます。
こうした状況を受けて、富士通は、2008年7月に発表した富士通グループ中期環境ビジョン「Green Policy 2020」の目標の1つに「生物多様性の保全」を掲げ、生物多様性条約第9回締約国会議で署名した「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」のリーダーシップ宣言に掲げられたすべての項目について、2020年までに具体的な取り組みを推進することを目標としました。
その実現に向けて、2009年10月に「富士通グループ生物多様性行動指針」を策定。そのなかで、「自らの事業活動における生物多様性の保全と持続可能な利用の実践」と「生物多様性の保全と持続可能な利用を実現する社会づくりへの貢献」を取り組みテーマとして掲げ、2010年度からスタートした第6期富士通グループ環境行動計画で4つの行動計画項目を定めました。

富士通グループは、自社の事業活動が生物多様性に何らかの影響を与えている、という認識のもと、事業活動における環境負荷低減に取り組んでいます。
社内向け生物多様性ガイドラインには研究・開発・設計、調達、製造、輸送、販売、使用、回収といった製品のライフサイクルすべてのフェーズにおいて、それぞれ取り組むべき事項が具体的に示されています。このガイドラインをもとに、社員一人ひとりが、自らの業務と生物多様性との関わりを認識し、環境負荷低減に取り組みます。
また、2009年度からお取引先評価制度の評価項目に生物多様性保全への取り組みを追加し、2010年6月には、お取引先の生物多様性保全への取り組みをさらに推進・支援するため、「お取引先向け生物多様性ガイドライン」を作成し、お取引先に公開しました。これらの取り組みを通じてサプライチェーン全体での生物多様性への影響低減を進めています。
生物多様性を守っていくためには、事業活動における生物多様性への影響を定量的に評価し、目標を設定して影響低減の活動を進めることが重要です。
そこで、富士通グループは、まず事業活動と生物多様性、生態系サービスとの関わりを分析。その結果、主に「水資源・森林資源の利用」において生態系に依存していること、また、主に「鉱物資源・エネルギー資源の利用」「廃棄物の処理」「事業所の土地利用による土地の開発・改変」「大気・水域への化学物質などの排出による汚染」「大気への温室効果ガスの排出による気候変動」を通じて、生物多様性に影響を与える可能性があることがわかりました。
このような影響を低減するため、事業活動による生物多様性への影響を定量的に評価する手法として、2010年度に「富士通グループ生物多様性(BD:Biodiversity)統合指標」を構築しました。その枠組みでは、生物多様性に影響を与える事業活動を明確化し、この事業活動に関連した定量的データ項目を影響要素として抽出します。この影響要素に対し、既存の評価手法を活用して重み付け・統合化するというもので、最終的に「事業活動による生態系の損失」や「生態系の価値」に関連した指標を得ることができます。
富士通グループは、第6期富士通グループ環境行動計画において、BD統合指標により評価した生物多様性への主要事業領域における影響度を、2012年度末までに2009年度比で3%削減するという目標を設定しています。2010年度は、「化学物質の利用・排出」による影響が増加傾向にある一方で、「廃棄物の発生」による影響が減少傾向にあることを分析・評価実施中です。2011年度は、年度目標である2009年度比1.5%削減の達成に向けて、生物多様性への影響度を低減するための活動を強化していきます。

ICTを有効に活用することで、生物多様性の保全に向けた生物・生態系の情報収集や分析・評価、生物やその生息環境のモニタリング、生物・生態系情報の管理などを効率的に行うことができます。
こうした生物多様性保全へのICT活用の一例として、富士通は、2010年度から携帯電話のカメラ機能を利用した全国タンポポ分布調査を実施しています。
また、森林管理・保全にも富士通のICTが役立っています。日本国内で手入れが行き届かずに荒廃する森林が増加している状況を受け、情報ネットワークによって現場と事務担当をつなぐことで、森林簿管理、施業計画管理、作業実績管理などの実施や情報共有を容易にしています。
さらに、開発中の技術として「ハイパースペクトル画像解析技術」を用いた植生調査に取り組んでいます。これは、ヘリコプターなどで上空から地上の反射スペクトルを測定し、広範囲の土地の植生分布を分析するというものです。この技術を用いることで、外来種が在来種の群落にどの程度入り込んでいるかを調査したり、スギ・ヒノキの分布状況を把握したりすることが可能となり、従来は人が目視で確認していた植生分布の調査に要する負荷の大幅軽減が期待できます。
今後も、富士通ならではの技術力とノウハウを活かして、ICTを通じた生物多様性の損失の回避・低減と生物多様性の維持・拡大に貢献していきます。


富士通は、「ビジネスと生物多様性イニシアティブ(B&B)」や「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」などの外部団体に参加し、生物多様性保全の社会への普及に貢献しています。
B&Bは、生物多様性条約第9回締約国会議(CBD COP9)で、世界各国の40あまりの企業が、「リーダーシップ宣言」に署名し発足しました。それらの企業がベストプラクティス(最良事例)を公表することにより、生物多様性の保全と持続的な利用をグローバルに促進しています。富士通は、CBD COP10のサイドイベントでその取り組み成果を発表しました。
JBIBは、多岐業種にわたる30以上の国内企業が参加している団体です。共同研究の成果をもとに他企業やステークホルダーとの対話を図ることで、生物多様性保全に貢献する活動を展開することを目的としています。富士通は、研究活動やツール開発に携わっています。

エコツアーの様子
富士通グループでは、生物多様性の保全にグローバルな視点で貢献するため、タイ、ベトナム、マレーシアで植林活動を実施してきました。現在は「富士通グループ・マレーシア・エコ・フォレストパーク」で、植林した苗木が熱帯雨林に成長していくよう、継続的にボランティアを募り、補植やメンテナンスを実施しています。
2011年度は、富士通グループ社員とその家族31名が参加し、植林体験やメンテナンス体験のほか、原生林の見学やマングローブ林の見学を実施しました。

収穫祭の様子
富士通グループは、生物多様性保全の観点から、山梨県が推進する「やまなし企業の農園づくり」制度に参画し、社員がボランティアでブドウ農園の農作業を収穫期まで手伝うという活動を実施しています。この活動の目的は、参加者が農業体験を楽しみながら、農地の適切な管理が生物多様性保全に貢献することを理解し、深めていくことにあります。

富士通GP2020オリジナルワイン
甲州市のブドウ農家有限会社夢郷葡萄研究所の農園の一部を「富士通GP2020(注1)ワインファーム」と名づけ、2010年3月から活動を開始しました。
第一回活動(2010年3月)では、38名の社員が参加しブドウ畑の清掃と枝をワイヤーにくくりつける誘引作業を実施しました。第二回活動(2010年6月)では、26名の社員が参加して傘紙かけ作業を実施。第三回活動(2010年9月)では、43名の社員が参加してブドウの収穫を実施しました。こうして多くの富士通社員が関わって作られたブドウは農家で醸造され、2011年3月に「富士通GP2020ワイン」300本が完成しました。
注1:富士通グループの中期環境ビジョン「Green Policy 2020」の略。
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ゴルフイベントを通じた地球環境保全の取り組み
トーナメント会場での生態系調査
女子ゴルフトーナメント「富士通レディース」が開催された「東急セブンハンドレッドクラブ」において生態系調査を行い、環境省が指定する「レッドリスト」などに指定されている動植物が多数確認され、このゴルフ場が野生動植物の生息・生育域を提供する場として貢献していることが判明しました。

タシロラン
環境省:準絶滅危惧

ホトケドジョウ
環境省:絶滅危惧IB類