富士通購買本部 社内実践事例

富士通購買本部が選択! 最新EDI標準に準拠したクラウド型Web-EDIシステム「ProcureMART資材調達支援サービス」で運用コストを約3割削減

富士通の購買本部は、富士通が生産または供給する製品やサービス・ソリューションの直接材や間接材を集中調達している部門です。その取引先は国内・海外をあわせて2,700社以上あります。同部門は、2005年より、独自に開発したWeb-EDIシステムを運用していましたが、システム老朽化や国内向け・海外向けシステムを集約するため、クラウド型の「ProcureMART資材調達支援サービス」を導入。システム運用関連のコストを約3割削減するとともに、最新の業界標準への対応も行いました。

課題
効果
課題オンプレミスのWeb-EDIシステムの老朽
効果最新のクラウド基盤FUJITSU Cloud Service S5を活用したWeb-EDIシステムのクラウド化を実現して将来の拡張性も確保
課題国内・海外で別々のシステム
効果国内・海外のシステムを1本化
課題システムの運用・保守やサポートにかかる業務負担とコスト
効果運用コストを約3割削減(3年間で約1億円の運用コスト削減)
課題変化する業界EDI標準への対応
効果業界の最新EDI標準への対応

導入の背景

オンプレミスのWeb購買システムの老朽化にともなうシステム更新が課題に

富士通の購買本部は、富士通が生産または供給する製品やサービス・ソリューションの直接材や間接材を集中調達するさまざまな製品・ソリューションの構成部品・資材、間接材などをまとめて購入している部門です。その取引先は国内・海外をあわせて2,700社以上にもなり、まさに富士通のビジネスを根底で支えている部門です。

同本部では、取引先とのやりとりに2系統のシステムを利用していました。1つはファイルを利用したVAN型と呼ばれるシステムで、これは富士通が商用販売している「ProcureMART資材調達支援サービス」の機能をそのまま活用していました。一方、Webを使ったWeb-EDIシステムは、購買本部の業務に合わせて独自開発し、2005年から運用していました。ところが、時間の経過とともに、この独自開発したWeb-EDIシステムに、さまざまな課題が生じてきました。購買本部 調達戦略室 e-Procurement推進部部長 竹山裕氏は、次のように説明します。

「1つは老朽化です。ハードウェアの保守切れやOSのサポート切れが問題となり、システムを新たに構築し直すのか、別の手段を考えるとかという選択を迫られていました。また、国内と海外でシステムが異なり、業界の最新標準に準拠できていないなど、解決すべき課題もありました」(竹山氏)

そこで購買本部では、2014年4月、商用ProcureMARTを開発・運用していた部門に相談します。その結果、「資産を持ちたくない」「運用をスリム化したい」といった同部門の要望に応えられるシステムとして、Web-EDI部分についても商用版「ProcureMART資材調達支援サービス」が選択されました。

竹山 裕(たけやま ゆう) 氏
購買本部
調達戦略室
e-Procurement推進部部長

導入の経緯

最新の業界標準に対応した商用版Web-EDI「ProcureMART資材調達支援サービス」を選定

「ProcureMART資材調達支援サービス」は、2000年6月にリリースされたSaaS型のシステムです。リリース以来、改良を重ね、現在ではバイヤー150社、サプライヤー2万社以上の導入実績を持ち、特に国内の電機業界で広く使われています。新しいWeb-EDIシステムとして「ProcureMART資材調達支援サービス」を選択した理由について、竹山氏は次のように説明します。

「国内と海外のシステムを1本化することが可能で、最新のEDI標準であるJEITA/ECALGAに対応している点を高く評価しました。また、弊社は特に海外取引先とメールによるEDIが多かったので、注文書のメール配信に対応できる点も選択の理由です。さらに、バイヤー150社、サプライヤー2万社以上という実績があり、BCM対策の強化にもつながると判断しました」(竹山氏)

一方、「ProcureMART資材調達支援サービス」の開発部門にとっても、日々、大量のデータを処理する富士通購買本部にシステムを提供することは、現行の購買EDIの最新ノウハウをシステムに取り込み、「ProcureMART資材調達支援サービス」をさらに進化させる絶好の機会でした。

こうして、2014年4月にプロジェクトが発足。約1年をかけて、富士通のクラウド基盤S5のインフラを活用した新しい「ProcureMART資材調達支援サービス」の開発が行われました。なお、システムの開発・導入にあたっては、苦労した点もあったようです。

「標準化に業務を合わせるため、一部、業務の見直しが必要になりました。また、システムの操作性が変わるため、仕入れ先約2,700社に対して操作説明会を実施し、担当者5名で手分けして、全国30か所を約1.5か月かけて回りました」(竹山氏)

こうした苦労はあったものの、2015年5月に、本稼働を迎えることができました。

導入の成果

3年間で1億円の運用コスト+将来コストを削減し、最新の業界標準にも対応

導入された「ProcureMART資材調達支援サービス」は、当初の計画通り、従来のシステムが抱えていたさまざまな課題解決に貢献しました。まず、海外と国内のWeb-EDIシステムを統一することで、システムの運用負荷が大幅に軽減されました。また、システム操作に関する国内および海外のサプライヤーからの問い合わせに対して、ProcureMARTのサポートセンターを活用することで、サポート業務からも解放されました。こうした運用負荷軽減によるコスト削減効果について、竹山氏は次のように説明します。

「データセンターや運用のコストも含め、現行運用コストの約3割を削減できると試算しています。金額にすると、3年間で約1億円のコスト削減を見込んでいます。また、クラウド化により、今後の減価償却費や老朽化対策などの将来コストを削減できることは大きい導入効果です」(竹山氏)

最新の業界EDI標準であるJEITA/ECALGAに対応したことにより、今後はサプライヤー側にも導入効果が期待されています。購買に関するEDIデータが標準化されることで、サプライヤーはバイヤーごとに異なる帳票を利用する必要がなくなり、業務の手間が削減されます。また、データをそのまま自社の基幹システムに取り込んで活用することも可能になるからです。

なお、JEITA/ECALGAは、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が標準化・実用化している次世代EC標準の総称です。「ProcureMART資材調達支援サービス」は、このJEITA/ECALGAに対応したことで、EDI分野における最新のニーズに対応可能となります。

今後の展開

プラットフォーム刷新で拡張性を高めた「新ProcureMART資材調達支援サービス」としてリリース

新しいProcureMARTの稼働後、約1週間は、サプライヤーから問い合わせがありましたが、システム操作に関するFAQの充実を図ったことも奏功し、その後はトラブルもなく、問い合わせもほとんどなくなりました。竹山氏も「思ったよりトラブルが少なかった」と評価しています。安定的に運用できていることから、今後は、見積EDI機能、図面共有機能、所要情報の利用範囲拡大が予定されています。

今回、購買本部に導入されたシステムは、「ProcureMART資材調達支援サービス」の新バージョンとして、一般のお客様にも提供されます。その特徴を、開発を担当したサービスマネジメント本部 クラウドインテグレーション統括部 EDIサービス部 部長 藤原真一氏は、次のように説明します。

「最新の業界標準に対応した資材調達のWeb-EDIであり、弊社の購買本部で実際に導入・活用され、その業務ノウハウが反映されたシステムであることが最大の特徴です。マルチ言語・通貨対応、グローバルでのサポートに加え、お客様自身で独自の項目を追加・変更したり、項目の表示/非表示を設定したりして、画面を使いやすくカスタマイズできるセルフカスタマイズ機能も搭載しています。また、富士通のクラウド基盤 S5上で構築したことにより、高い拡張性を実現できたことも大きい特徴となっています」(藤原氏)

自社に必要なシステムを自ら開発し、それをお客様にも使っていただけるようにブラッシュアップして、ご提供することは、富士通におけるシステム開発の基本的な考え方です。新しい「ProcureMART資材調達支援サービス」も、まさにこの考え方にもとづいて生み出された次世代のWeb-EDIシステムといえるでしょう。

現バージョンの「ProcureMART資材調達支援サービス」をお使いのお客様はもちろん、最新の資材調達の仕組みを検討されているお客様にとっても、多くのメリットがあるシステムとなっておりますので、ぜひ、ご検討いただければと思います。

購買本部 調達戦略室 e-Procurement推進部のみなさん
(写真左から)竹山 裕 氏、皆平 英伺 氏、小谷野 聖仁 氏、黒田 正一 氏、菊池 正俊 氏

  • (注)
    本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2015年10月6日掲載]

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