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第12話 : 「サーバルーム新設!"省"電力に"省"スペースに…電源管理も必要!?どうしよう??」を解決せよ!

前編

「省」なサーバルームを作る4つの方法

社屋移転に伴い、サーバルームを新設することになったお客様に、情くん・門田先輩は、『「省」なサーバルームを作る4つの方法』を紹介しました。
それはいろいろな小技を積み重ねていくことで、省スペースも省電力も効果がバッチリでる、というもの。
果たしてその詳細は…?

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門田先輩の「まずはお客様の課題の整理からはじめるわよ!」

「省」なサーバルームを作る4つの方法

門田先輩

「省電力」「省スペース」なサーバルームを実現するには様々な方法がありますが、機器を買い替えて終わり!というものではなく、小さなことの積み重ねで実現していくものなんですよ。
家庭の省エネ対策もそうですよね。省エネ家電に買い替えるほかに、冷蔵庫の開け閉めを減らすとか、プラグをコンセントから抜くとか。企業の省電力対策もそれと同じなんです。

情くん

いろんな小技の積み重ねだから、塵も積もれば山となる、略して「ちりつも」、ってかんじですね!

お客様

「ちりつも」ですか。なるほど~、納得です。
具体的にはどのような方法があるんですか?

門田先輩

順番にご紹介しますね。
それじゃ情くん、任せたわよ。

情くん

了解でーす!まずはこちらをご覧ください!

図 : 新サーバルーム 見取り図

お客様

おぉー、これは新サーバルームの立体図ですね!

門田先輩

あら、けっこう絵うまいのね。

情くん

エヘヘ、先日送っていただいた平面図から描き起こしました!知る人ぞ知る特技のひとつです~。
今ボクたちいるのがココ、出入口の前ですね。長辺約8m、短辺約4mの部屋で、ざっと見渡したところ空調が1台、分電盤が1箇所ですね。ここを理想の「省」なサーバルームにする計画をたてましょう!
それではボクプレゼンツ、『「省」なサーバルームを作る4つのポイント』を始めたいと思いまーす!

門田先輩

ハイハイ、しっかりやってちょうだいね。。

第一の"省" サーバルームの面積 ~点在→集合~

情くん

まずは、「サーバを置くために使われている面積の大きさ」に着目したいと思います!
今現在はどのようにサーバを設置されているんですか?

お客様

各部門の部屋のすみっこになんとか場所を確保して置いている…という状況です。これがけっこう場所とるんですよね~。そこらへんにポンと1台だけ置くわけにもいかないので、机や棚の上に置いたり、音がうるさいと苦情がきた部署ではパーテーションで区切ったり…

情くん

なるほど。仮にサーバのサイズを、横幅約20cm、奥行き約80cmと仮定して…、サーバを置く台の大きさや周囲のオフィスとの間の空間も考えると…、イメージ的にはこんなかんじでしょうか!

図 : 現在のサーバ設置イメージ

お客様

そうそう、こんな感じでバラバラと置いてあるので、トラブルや保守のたびに会社中を歩きまわらなきゃいけないのも大変なんです。

情くん

では、この「サーバ設置エリア」をすべて集合させると…、6.5m×7.8m四方の大きさですね。このサーバルームは約8m×約4m四方ですから、今サーバのために費やしている面積の約半分になりますね。

図 : サーバールームの面積

門田先輩

ひとつひとつは小さな面積でも、こうやってまとめるとかなりの広さになりますね。

お客様

「サーバのために費やしていた面積を半減しました!」って言えると、社内の通りがよさそうです!

情くん

でも、もし今あるタワー型サーバ30台をそのままサーバルームに入れたとすると…
こんな感じになっちゃいますね。もう足の踏み場もありません。。

図 : 新サーバルーム 見取り図

お客様

ほんとだ!このサーバルーム、けっこう広いと思ってましたがこれから各拠点にあるサーバも全てここに集約しなきゃいけないのに大丈夫かな~。。

第二の"省" サーバの設置面積 ~タワー型→ラック型~

情くん

ご安心ください!サーバをタワー型からラック型に変えましょう!
ラック型サーバはタワー型サーバとは異なり、箱型のサーバをラック内で積み上げ搭載していきますから、とっても省スペースなんですよ。イメージとしては高層マンションのようなかんじですね。

図 : ラック型サーバのイメージ

お客様

なるほど、サーバのマンションですか。
サーバラックの大きさはどれくらいなんですか?

情くん

富士通のサーバやストレージなどのプラットフォーム共通ラックには2種類のサイズがあります。ひとつは横幅700mmのスタンダードなラック、もうひとつは横幅600mmのよりスリムなラックです。

写真 : 19インチスタンダードラック、19インチスリムラック

お客様

ふむふむ。
で、実際に30台のタワー型サーバをラック型サーバに集約したら、サーバラック何台分くらいになるんでしょう?30台から…10台くらいでしょうか?

第三の"省" 装置台数 ~最新サーバ利用~

情くん

いえいえ、とんでもない!
最新モデルのサーバはとっても高性能・高密度です。富士通のPCサーバ FUJITSU Server PRIMERGYなら、3年前のモデルのタワー型サーバ30台を、最新モデルのラック型サーバ PRIMERGY RXシリーズに仮想集約すると、なんとラック型サーバ3台になるんです!もちろん専用の19インチラック1台に全ておさまっちゃいます!

図 : 最新モデルのラック型サーバ PRIMERGY RXシリーズ

お客様

えーーっ!ラック1台、サーバ3台!?サーバ台数1/10じゃないですか!すごい効果ですね!
「サーバの設置面積半減」どころか、サーバラックたった1台ですから、余裕で目標値を上回っちゃいましたね。これから集約する支社のサーバのほかにも、今後は業務拡大が予想されるので、サーバは増え続ける傾向にあると思うんですが、これだけスペースに余裕があれば安心です。

第四の"省" 電力消費 ~200V化、省エネ技術活用~

お客様

最新モデルのラック型サーバへの集約で、省スペースが実現できることは分かりました。
もうひとつ気になっているのは電力消費なんです。年間の電気料金を計算したらけっこうな金額がかかっていて…。
こちらもひとつ景気よく、半減を目標にできたらいいですね~。

情くん

お任せください!省電力を実現するにはいくつかポイントがあるんです。
1つ目は「電圧200V化」です!

お客様

電圧、ですか?
省電力とどう関係があるんでしょう?

情くん

今はオフィスにサーバを置かれているということなので、サーバの電源は普通の100V電源からとっているかと思います。

お客様

はい、そのとおりです。

情くん

仮に、サーバ1台・1時間の消費電力が250Wと仮定すると、30台分で1時間あたり7500Whもの電力が必要になります。

サーバ1台・1時間の消費電力250W×30台=1時間の消費電力7500Wh

お客様

ふむふむ。

情くん

そして、最新モデルのラック型サーバの1台・1時間の消費電力は820Wですので、3台分で1時間あたり2460Whになります。

最新モデルのラック型サーバ1台・1時間の消費電力850W×3台=1時間の消費電力2460Wh

お客様

えーっすごい!消費電力1/3じゃないですか!

情くん

そうなんです!最新モデルのサーバにたくさん搭載されている省エネ技術のおかげなんですよ。
しかしいくら1/3とはいえ、2460Wもの電力は、サーバルームという狭い空間で供給するにはかなり大きな電力です。100V電源では、電力をまかないきれなくなる可能性があるんです。

お客様

そっか、これからサーバが増えたりしたら…

情くん

そこで200V化なんです!200V化のメリットは2つあります。
まずは、大容量の電力を供給できること。そしてもうひとつは、消費電力が下がることです!

お客様

うーん、ひとつめはともかく、2つめはどうしてでしょうか?

情くん

こちらの式をご覧ください!昔学校で習いましたよね。

アンペア(A)×ボルト(V)=消費電力(W) (直流の場合)

200Vにすると電圧(V)が2倍になるから、半分の電流(A)で同じ量の電力(W)が生み出されます。電流が半分になったぶん発生熱量が下がり、電力の伝送効率が上がるんです。
電圧を100Vから200Vにするだけで、約2~4%消費電力が減るんですよ!
(例:RX200 S8の場合、100V:最大646W → 200V:最大627W)

お客様

へぇ~、知らなかったです!

情くん

どんどんいきましょう!
省電力を実現する2つめのポイントは、先ほども少しご紹介した「サーバに搭載された省エネ技術」です!
富士通のPCサーバ PRIMERGYには「省電力モデル」というものがあり、これがなんと通常モデルに比べて消費電力を最大で約33%も削減しちゃうんです!この省電力を実現している、代表的な4つの技術をご紹介しましょう。

ストレートクーリング技術

サーバ内の部品を一直線に配置することで冷却効率を向上

高効率電源ユニットの採用

電源の変換効率=94%以上!80PLUS Platinum認証の高効率電源を採用


アドバンスド・サーマルオプション

サーバの動作保証周囲温度を、通常の「10~35℃」から「5~40℃」に拡張!

冷却ファン回転数の制御

冷却ファンの回転数を温度に応じて必要最低限となるように制御

お客様

へぇ~、いろんな技術の積み重ねで省電力が実現されている…、まさに「ちりつも」なんですね!

情くん

そうなんです!
特におすすめなのがアドバンスド・サーマルオプション。40℃の高温環境でもサーバが動作するようになるため、空調をセーブできて電気料金を節約できますよ。当社の試算では、夏場の電気料金約50%削減が見込めます!

図 : アドバンスド・サーマルオプション

お客様

50%も削減ですか~

情くん

ここで是非適用を検討してほしいのが「0U-PDUの導入」です。

お客様

「PDU(Power Distribution Unit)」って、サーバやルータに配電するためのコンセントのことですよね?アタマについている「0U」ってどういう意味なんですか?

情くん

普通のPDUはこの写真のようにラックに搭載して使用するので、サーバが入るべきスペース(ユニット)を占有してしまうんです。

写真 : 普通のPDU

でも「0U-PDU」ならこのとおり!ラック背面の両サイドに、垂直に搭載することができるんです!

写真 : 0U-PDU

(注)0U-PDUを使用する場合、富士通のサーバラックでは700㎜幅のスタンダードラックでの適用となります。

お客様

そっか、U(ユニット)を消費しないから「0U」なんですね。
これは、省スペース化にも活用できますね!

門田先輩

そうなんです!
更に、0U-PDUは装置までの電源ケーブルを短くできるので、排気を妨げない冷却効率の良い機器搭載が可能になるんです。これも省電力につながりますよ。

図 : 0U-PDU導入時の機器搭載

シュナウBarのマスターも注目!

美しい配線、しかも省電力!うちの店も常に整理整頓を心がけております。

マスター
情くん

以上、『「省」なサーバルームを作る4つの方法』でした~!いかがでしたか?
「省」なサーバルーム、完成予想図です!

図 : 新サーバルーム 見取り図

お客様

いいですねぇ~、こんなサーバルームにしたいです!
この4つの方法をすべて実現すると、どれくらいの効果が出るんでしょう?

情くん

じゃじゃーん!これが試算結果です。
現行システムと同等のタワー型サーバ30台と比較した場合、年間の電気料金は2,956,500円から283,824円にダウン、なんとマイナス2,672,676円となります!

図 : 省電力効果

(注1)450Wのタワー型サーバが30台同時に24時間稼動した場合
(注2)450Wのラック型サーバが3台同時に24時間稼動した場合
(注3)1KW時あたり25円の場合。電気料金は電力会社、使用量、契約内容によって変わります。
(注4)削減効果-4%として算出しています。入力電圧AC200V化による消費電力削減効果は、使用状況により変わります。

お客様

想像以上の効果です!

門田先輩

もうひとつ、省電力効果をあらわす指標をご紹介しましょう。
データセンターやサーバルームのエネルギー効率を示す「PUE(Power Usage Effectiveness)」という値があります。これは、データセンター全体の消費電力を、サーバなどのIT機器の消費電力で割った値です。
この値が小さければ小さいほど、電力効率のよいデータセンターということができるんですよ。

データセンター全体の消費電力(空調、電源、IT機器など)/サーバなどのIT機器の消費電力=PUE

情くん

こう考えてみるとわかりやすいです。
例えば、サーバが消費する電力が仮に1000Wとします。そしてそのサーバは高温環境でも動作するサーバで、季節を問わず空調が必要なく、さらにサーバが動作する電力以外に消費する電力が全くなかったとします。これをさっきの式にあてはめると、答えは…?

お客様

1です~!

情くん

ですよね!
サーバが動作するための電力しか必要ない。この最もエネルギー効率が良い状態が、「PUE=1」。一般的なサーバルームだと、概ね2.0くらいと言われています。

お客様

なるほど~。
この新しいサーバルームだとどれくらいでしょう?

門田先輩

サーバルーム全体の消費電力が把握出来ないと算出できないので、今すぐお答えするのが難しいのですが…、そうだ!今度、弊社のファシリティ専門のコンサル部門にお客様の状況を見て貰うようにしましょう。

お客様

ぜひお願いします~!

門田先輩

PUE=1にできる限り近づくように、「省」なサーバルームのご提案をさせていただきますね!

お客様

さて!仮想化集約に加えて、省スペース効果も省電力効果もバッチリだし、新サーバルームの計画はこれでカンペキですね~!
ではさっそくこの内容で提案書をまとめていただきたいのですが…

門田先輩

ちょっと待ったー!お客様、電源管理を含めた運用面の最適化の検討をお忘れではないですか?

お客様

電源管理と運用面ですか?電源ならさっき200V化の話も出たし、もうバッチリなんじゃ…

門田先輩

いいえお客様、仮想化環境では電源管理を含めた運用面の最適化についてもきちんと検討をしておかないと、最悪の場合データ消失などの可能性もあるんですよ。
そうですね、電源管理にまつわるコワ~~い話を少しお聞かせしましょう…

お客様

こ、こわい話~?

情くん

ボ、ボクそういうのダメなんでっ!

門田先輩

コラッ、耳ふさがないでちゃんと聞いてなさい!

情くんのチャレンジは続きます。情くん大活躍のうちに完了するかに見えた4つの"省"によるサーバルームのファシリティとサーバ提案だったが、門田先輩から"待った"がかかった。それだけでは不十分!データ消失の可能性もある電源管理を含めた運用面の最適化の重要性って?後編を読む

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コンテンツ監修者=富士通のエキスパートをご紹介!

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 田井 之子 顔写真

富士通株式会社
プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部
田井 之子

ITシステムの効率的な運用には、省電力に対応した機器を導入することも大事ですが、設置、構成や運用にも、効率化のさまざまなポイントがあることが、おわかりいただけたと思います。
今年ももうすぐ、暑い夏がやってきます。
みなさんもぜひこの機会に、システムの電力環境を見直してみてはいかがでしょうか?

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 永島 徹郎 顔写真

富士通株式会社
プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部
永島 徹郎

システムの導入・構築にあたって電源管理は重要な検討要素ですが、商談等で提案する側・される側の双方にとって、手本となる考え方や最適化の方法を示した、わかりやすい具体例があると円滑に話しが進み時間も短縮できます。
富士通独自のスキルとノウハウを明かしたこの「情くん第12話」は、電源管理最適化提案のお手本になり、そのまま多くの商談でご活用いただけるものと思います。

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 八巻 孝夫 顔写真

富士通株式会社
プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部
八巻 孝夫

IT機器は、マルチコア化により小型高密度化した機器と低消費電力化した機器が混在するなど最適な電源集約の設計が難しくなっています。
本コンテンツでは、ファシリティのグリーン化を実現する基本的な考え方を説明しています。
AC100Vのみで賄える場合でも空き空間が将来の機器増設のためのものであれば本コンテンツでご紹介している対応を検討してみてください。

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 小林 眞佐夫 顔写真

富士通株式会社
プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部
小林 眞佐夫

今回の"省"なサーバルーム設計はいかがでしたか。
電源供給方式の選定や電源集約方式など様々な観点での検討が必要なことがおわかりいただけかと思います。
特に効率的な電源集約を実現する0U-PDUでは、PDU取り扱いベンダーと協力し、お客様のファシリティ環境に最適なご提案ができると思います。

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