当社(都内A社)ではテレワークは、もともと育児等の通常出勤では支障がある従業員等、一部の社員を対象にテレワークを実施していました。
会社のシステムの大半は、クラウドにシフトしていたことも幸いして、今回のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染拡大防止で急な対応が迫られた際も大きな混乱がなく、即時に全面テレワークに移行できました。
Web会議を多用したコミュニケーションにも、順応して大きな生産性の低下はありませんでした。むしろ、移動時間が無くなったり、自分の作業に集中できたりすることで生産性の向上も見られました。
きちんと理解しよう!
本当のテレワークとは。これからの働き方改革
01.テレワークの現状と課題
世界にまたたく間に蔓延し、私たちの生活だけでなく世界経済に大きな影響を及ぼしたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)。
このような未曾有なできごとは今後は2度と起こらない、もしくは当分起こらないといえるでしょうか。
東日本大震災後にBCP対策はできていたはずなのに、あるいはオリンピックを控えてテレワークの準備もできていたはずなのに、多くの人たちがオフィスに行かねばならなかったのはなぜでしょうか。
テレワークの導入率は予想以上に低い
厚生労働省が2020年4月に発表した、LINE株式会社におけるアンケート調査結果では全国平均27%(東京都 52%)でした。調査によっては、さらに低い結果もあります。政府は70%の導入を目標としているなか、まだまだ導入率は低い状況です。
テレワークを実施している、と回答している方のなかには家にPCを持ち帰って資料作成等を行い、メールを送っているだけの方も多く含まれています。
出典:厚生労働省 報道発表資料 第1-3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。
なぜ進まないのか?
オフィスや仕事現場に行かないとどうしてもできないことがある、都内のビジネスマンがそのようなことをテレビインタビューでこたえているのを聞いたことがあるのではないでしょうか?“製造現場でモノづくり”をしている、“人に施術等を行う”等の場合は、いますぐにテレワークで対応できるものではありません。
しかしながら“メールを見るために”、“FAXを確認するため”、“押印が必要なための出社”、“重要な会議があるので出社” は職場に行かないとできないことでしょうか。この先どのような非常事態が起こるともわからない世の中です。
“テレワークでできること”を理解して、いまからでも対策しておけば、いままでと違った働き方改革を実現することが可能です。
テレワークを導入していない主な理由・課題点
厚生労働省、総務省の各機関での調査の共通項より、以下の理由が挙げられています。
厚生労働省、総務省の各機関での調査結果の共通項より、テレワークを導入していない主な理由・課題点は以下に挙げることができます。それぞれの課題解決に向けた取り組みを次章にて解説します。
- ・業務がテレワークに適していない
- 適している業務とは
- ・テレワーク端末のセキュリティに関するリスク
- セキュリティ対策の問題
- ・業務を進める上でコミュニケーションの取りかたが困難
- コミュニケーションの取り方
- ・社員の労働実態を把握しにくく、管理や評価をしにくい
- 労働実態の把握
- ・仕事のオンオフ、プライベートとの両立が難しい
- オンオフの切り替え
出典:
- ・厚生労働省 柔軟な働き方に関する検討会資料 雇用型テレワークの現状と課題
- ・厚生労働省 情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク) の適切な導入及び実施のためのガイドライン
- ・総務省 平成30年版 情報通信白書
- ・総務省 令和元年版 情報通信白書
- ・一般社団法人 日本テレワーク協会 ホームページ
02.課題解決に向けた取り組み
適している業務とは
COVID-19(新コロナウイルス感染症)による緊急事態宣言下で、テレワークの重要性があらためて認識されるようになりました。いままで対面でしかできないと考えられていたことが、テレワークで実現できたというということも耳にするようなりました。
例えば、新入社員を完全に自宅待機にした企業もありますが、一方で新入社員研修をすべてをリモートで対応した企業もあります。また、打ち合わせから受注までお客様に一度も会わずにテレワークで営業を行っている企業もあります。
この差は何でしょうか。
いままでは、適している業務は以下のような業務といわれていました。
● ひとりでできる業務
● 資料作成のみの業務
● セキュリティ上、問題がない業務
これらの業務は、業務全般から切り出された一部の業務であり、個人事業主・フリーランスが在宅勤務やモバイルワークにて行っていました。しかしながら今般のICT進化・発展により、一部業務ではなく、より広い範囲の業務をテレワークにて行うことが可能になっています。
この緊急事態宣言下の各企業の対応でわかってきたことは、医療・介護の現場、製造現場、コンビニ・スーパー・店舗の販売現場、漁業等の、「直接ひとに施術すること」・「現場でしかできないこと」 以外はほぼ対応可能ではないかということです。製造現場やコンビニも近い未来にロボットや、無人販売にて代用が可能です。週5日間職場に行く働き方を週に1・2日程度の職場に行くという前提で考えれば働き方改革も進んでいくと考えられます。
セキュリティ対策の問題
テレワークを導入していない代表的な理由が情報漏洩などのリスクです。インターネットを経由した攻撃を防御する対策がなされたオフィスとは異なり、情報資産はウイルス・ワーム等の感染、テレワーク端末や記録媒体の紛失・盗難、通信内容の盗聴等の「脅威」にさらされやすいといえます。
テレワークでセキリティ事故を起こさないようにするためには、「ルール」・「人」・「技術」の三位一体のバランスがとれた対策が必要で、実現に向けた社員教育、IT機器での対策等が必要になります。
総務省で発行している「テレワーク・セキュリティ・ガイドライン(第4版)」 が参考になります。
富士通では、パソコン本体のセキュリティ機能にくわえ、仮想デスクトップ基盤(VDI)にて大切な情報を守る、セキュリティソリューションを提供しております。
出典:
・総務省 報道発表資料 テレワーク・セキュリティ・ガイドライン(第4版)
コミュニケーションの取り方
テレワークをオフィスとほぼ変わらないレベルでこなしている企業は、頻繁にコミュニケーションツールを利用しています。
1日8時間の就業時間のなかで、4~5時間TV会議やチャットでコミュニケーションツールを利用している企業も珍しくありません。3種の神器ともいえるツールは、最新パソコン(持ち運びに適しているWindows10搭載で最新アップデートパッチ適用)、Microsoft 365(資料作成、メール、スケジュール管理、Web会議等も可能)、Web会議・ビジネスチャットツール(Microsoft Teamsほか)です。テレワークは能動的にコミュニケーションを取りにいかないと接点を作れないデメリットもあります。
オフィスだと顔を合わせたときに挨拶や雑談といったこともありますが、テレワークでは困難になります。それをカバーするためにお昼休みに社員が集う広場をWeb会議でつなげるといった取り組みを行っている企業もあります。
要するにツールを活用してなにができるか?を考えるのがこれからの働き方改革のヒントになるともいえるのではないでしょうか。
Microsoft Teams を使って、円滑なコミュニケーションを取る
-
ビジネスチャットでクイックな情報共有
Web会議で資料共有 -
お客様とWeb会議で商談
自動文字おこしで振り返りも簡単 -
お昼休みに社員同士が雑談
スマートホンからも気軽に参加
Microsoft Teams ガイド
労働実態の把握
テレワーク未導入の理由でセキュリティ対策と同じくらい上位にあがる理由が 「労働実態の把握」 です。しかしながら、テレワーク導入するしないに関わらず、同じチームであっても、お互いの業務を把握できていないことが往々にしてあります。組織・チームにおいて、お互いの業務を共有し、どのような労働実態であるかを把握することで、最適な対策をとることができます。
それにはまず、1日のスタートにチーム単位でのミーティングも重要な要素になります。
もう一つの方法、業務状態が把握できるソリューションツールの導入です。富士通ではテレワークの業務実態をシステムによって自動で収集するための仕組みを提供しております。このソリューションにより、就業時間での業務の実態把握だけではなく、業務内容を可視化することで、効率的な業務改善や残業時間の抑制等も可能になります。
03.テレワーク働き方実現例 ~テレワークのとある1日~
ある企業(都内A社)では、テレワークで働き方改革を実現。
普段の働き方を、とある1日を例にご紹介します。
~ テレワークが、あなたの働き方も、暮らし方も変えます ~
朝食
7:30
- これまでなら、満員電車に揺られていた時間
- 今は、家族と一緒に楽しく朝ごはん
- 食事をしながら、スマホで今日の予定と届いているメールを軽くチェック
- ・Microsoft 365
- スマホで安全にメール・予定表を確認
始業
9:00
- PCを立ち上げて、手のひら静脈認証で素早くログインしたら今日の業務開始を報告
- 急ぎのメールに早速返信
- ・超軽量パソコン
- 約777gの軽量ノート。持ち運びも安心の頑丈設計に、多彩なセキュリティを装備
- ・TIME CREATOR
- パソコンの操作ログやシャットダウン機能を利用し、業務内容の見える化や時間外労働のマネジメント強化を支援します
- ・Microsoft 365
- 複数のデバイスでOfficeアプリが使える
朝ミーティング
9:30
- 部門内で朝礼し、今日の業務や体調をお互いに確認
- 毎朝、Web会議で実施する朝礼でコミュニケーションを取り、メンバーへの相談事もスムーズに
- ・Microsoft Teams
- いつでも簡単にWeb会議
お客様との打ち合わせ
10:00
- アポイントを取ったお客様に、Web会議で会社紹介とおススメ商品の説明
- 資料も見積書もクラウドでスムーズに共有
- リアルタイムで同僚と一緒に資料を修正しながら、Web会議に間に合わせ、契約にこぎつける
- ・Microsoft Teams
- お客様とも簡単にWeb会議
- ・Box
- お客様と簡単にファイル共有でコラボレーション
ランチ
12:00
- Web会議の雑談ルームに入室し、同僚とおしゃべりしながら楽しくランチし、新しいアイデアも
- 入社以来、直接会っていない新入社員とも一緒にWeb会議でエクササイズし、リフレッシュ
- ・Microsoft Teams
- スマホからも高いセキュリティで安全に会話
企画づくり
13:00
- 午後は集中して、社内データもチェックしながら企画書づくり
- チャットで同僚に相談し、そのままWeb会議のホワイトボードでブレインストーミング
- リーダーに資料のレビューをお願いし、コラボレーションで完成
- ・Microsoft 365
- ドキュメントもBIも全部入り
事務作業
15:30
- 休憩がてらに子供とおやつ作り。部下から届いた質問も、キッチンからチャットで回答
- 自宅のパソコンから、会社のデスクトップ上のファイルを使って表計算
- 同時に、社内システムにアクセスして、稟議と人事申請も完了
終業
18:00
- 明日の予定表を確認して、リーダーに簡単にチャットで業務報告
- チームメンバーにもチャットグループで挨拶をしたら、退勤打刻してパソコンからログアウト
- ・TIME CREATOR
- テレワークのやり過ぎでの時間外労働を防ぎ、社員の健康を守る
04.テレワークに必要なツール紹介(導入事例)
柔軟な働き方へ対応する労務管理サービス
FUJITSU Software TIME CREATOR
パソコン使用時間(ログオン・ログオフ情報)を適正に記録
使用アプリや、作業分類をタイムライン表示することで、働き方を可視化
時間外労働への注意喚起、残業申請制での勤怠管理
どこからでも社内システムへ安全に接続
仮想デスクトップサービス V-DaaS
自宅や外出先でも、オフィスと同様の業務環境を実現
VDIシステムのアップデートやパッチ適用など管理・運用の負荷軽減
24時間365日のユーザーサポート
情報共有・コラボレーションツール
Box
関係者一人一人が起点となる、「共創の場」をスピーティに提供
デバイスに依存せず、「いつでも・どこでも」情報を共有
コンテンツの一元管理による部外者利用の適正な管理
05.テレワークの今後
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で世界中の労働者は一斉にICT機器を駆使してテレワークを活用しはじめました。
結果、オフィスにいなくてもPC、モバイル、アプリがあれば比較的簡単にオフィス以外の場所でオフィスにいるときと同じように働くことができ、あたかもお客様先にいるように提案することができるという実感を得られたかと思います。
2020年5月25日に緊急事態宣言を全国で解除すると政府表明がありましたが、継続的にテレワーク推進も行う旨も閣議決定なされており、アフターコロナにてもテレワークは定着化し、ひとつの働き方となっていくでしょう。今後はデジタル化やオンライン化が急速に進み、社会や人々の考え方が大きく変化し始めています。従来は対面を前提としてきた生活やビジネスシーンが、今後はオンラインの場で行われることがスタンダードになっていきます。テレワークを軸に、働き方の見直しがされていくことは間違いないでしょう。
まずはオフィス以外の環境下でみなさまが実現したいことを洗い出してみてはいかがでしょうか。理想の働き方の実現に向けて、当社にご相談ください。富士通グループ16万人でのテレワーク実践、また多くのお客様への「働き方改革」導入実績をもとに、最適な導入方法をご提案いたします。
テレワークの導入・活用は確実にこれまでの働き方を改革する起点になることを確信しております。