株式会社サークルKサンクスでは、店舗形態の多様化に伴い、店舗指導を担当するスーパーバイザー(以下SV)の業務効率向上が求められていた。そこで、全社の情報活用基盤を刷新するとともに、SVが常に携帯する端末も一新。店舗など外出先ではタブレット端末としてタッチ操作ができ、オフィスではキーボードとドッキングして活用できるハイブリッドタブレットを導入。業務の効率化と迅速な情報共有が可能になった。
業種 | 小売業 |
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ハードウェア | 法人向けハイブリッドタブレット STYLISTIC Q702/F |
ソフトウェア | Windows® 7 Professional |
CPU | インテル®Core™ i5-3427U(1.80GHz) |
1 | 週4日は外出、1日は事務所というSVの業務に最適な端末を導入し業務効率化を図りたい | キーボードが分離でき、2wayスタイルで使える富士通のハイブリッドタブレットを選択 | |
2 | ExcelやAccessなど、業務で多用するOffice製品を確実に使える環境が必要 | OSにWindows7を搭載しているので、Office製品が従来通り利用できる | |
3 | 店舗写真の共有やテレビ会議などをスムーズに行えるインフラを整えたい | カメラとマイクを内蔵し、新たな情報活用基盤上での情報共有やテレビ会議に対応 |
導入プロジェクトを推進された株式会社サークルKサンクス システムサービス本部 本部システム開発部の皆様。
写真左より 岩崎充宏氏、堀口典秀氏、高木将人氏、大泉政博氏。
コンビニエンスストアは国内に今や5万店舗以上がひしめき、激しい競争が繰り広げられている。その中にあって株式会社サークルKサンクスは、より小さな商圏で採算がとれる店舗形態を追求する「小商圏化対応」を推進。同社のビジョンである「いちばんの満足をあなたに」を実現するため、立地に合わせて「標準型」のほか、「ミニスーパー型」「ファーストフード強化型」「特殊・ミニタイプ」の3つの店舗フォーマットの展開を進めている。
複雑化する店舗運営をスムーズに行うためには、従来以上にきめ細かな店舗指導が必要となる。そのためには店舗指導を担当するSVの業務効率を向上させる必要があった。そこで同社は、まずアプリケーションからDB、ネットワークに至るまで全社の情報活用基盤を刷新。その上で、SVが日々活用する端末を見直すことで生産性向上を目指した。システムサービス本部 本部システム開発部 部長 大泉政博氏は、「社内では“いちばんの業務効率を現場へ”をキャッチフレーズに、SVが参加する会議時間の13%短縮や報告書の全体量を30%削減などの具体的な目標を掲げ、それを実現するためのインフラ構築にとりかかりました」と語る。
図 1:サークルKサンクスが取り組んだ情報活用基盤刷新の全体像。 [拡大図]
情報活用基盤の刷新を前提に、SVの業務効率を向上させる端末として同社が最初に考えたのは実はスマートフォンだった。しかし、スマートフォンだけでは報告書作成などの事務作業が完結しないため、結局ノートPCも必要となる。そもそも、従来の携帯電話をスマートフォンに入れ替える必要があり、そのコストや増加する通信料を考えると導入は困難と判断した。次にiOSやAndroidなどのタブレット端末を検討。しかし、社内で活用しているExcelやAccess、WordなどOffice製品との親和性の問題があり、業務に支障が出ることが予想され、これも断念した。そして、やはりOSはWindowsでなければ難しいと考え、Windows搭載のスレート型タブレットが候補に残った。
そこで同社が最初に選んだのが富士通のスレート型タブレットだ。タッチパネルの操作性や手書き文字認識の精度、コストパフォーマンスなどを評価してのことである。その後富士通より、液晶部分とキーボードが分離できるハイブリッドタブレット「STYLISTIC Q702/F」を発売するという情報がもたらされ、急遽導入機種を変更した。
今回のプロジェクトマネージャーを務めたシステムサービス本部 本部システム開発部 管理システム 統括マネージャー 岩崎充宏氏は、「当社の求めるものを察知して、発表されるとすぐに紹介してくれた富士通の提案力に感謝しています。スレート型タブレットに関しては複数製品を比較検討しましたが、キーボードが分離できるタイプは当時は富士通しかありませんでした」と語っている。
同社がこの「STYLISTIC Q702/F」を選んだのは、SVの業務形態にジャストフィットしたことが最大の理由だ。SVは、基本的に週4日は店舗を巡回し、1日だけ事務所に出社して会議や各種事務処理を行っている。そのため、外出時には液晶部分だけを分離して軽快に持ち歩き、事務所ではノートPCとして効率的に事務処理を行える点が高く評価された。
写真 1:店舗ではタブレット端末として利用。店舗の状況をチェックリストで評価したり、棚の現況を写真撮影して即座に関係者で情報共有したりなど多彩に活躍。
写真 2:オフィスに戻れば、本体をキーボード・ドッキングステーションに装着。すぐにノートPCとして使い始めることができる。
サークルKサンクスでは2012年7月の富士通のハイブリッドタブレットの発表を受け導入を決定し、同年12月には全社展開を完了した。ユーザーは、SVを中心に商品開発や店舗開発など外出が多い業務担当者で、現在1650台を配布している。
システムサービス本部 本部システム開発部 管理システム マネージャー 堀口典秀氏は、「12月導入が決定しているなか、実機が10月にしか手に入らないという状況での導入検証は、非常に苦労しました。当初は富士通の別のWindows 7のPCで検証を進めました。実機が届いたのはギリギリのタイミングでしたが、富士通が全面的にバックアップしてくれ、さまざまな要望にすばやく対応してもらったことには感謝しています」と話す。
従来のPCで利用していたWindows XPは2014年4月にはサポートが切れるため、OSのアップグレードが必要だったことも導入の後押しとなった。なお、Windows XPでしか動作しない業務アプリは仮想化技術を用いて動作させている。
ハイブリッドタブレットの導入効果はまだこれからだが、一例として従来紙で行っていたチェックリストによる店舗評価を「STYLISTIC Q702/F」のタッチパネルを利用して画面上で直接チェック、そのままデータを送信するなど、すでに効率化に貢献しつつある。
現場SVからの声として、システムサービス本部 本部システム開発部 管理システム マネージャー 高木将人氏は、「持ち運びがしやすい、起動が速くなったなど、好評を得ています」と語る。
また、無線ネットワークを従来のPHS網から、3GとWiMAXが両方使える富士通のFENICS IIユニバーサルコネクトに変えたことで、送受信のエリアと通信速度も向上、より迅速にコミュニケーションが取れるようになった。
加えて、SVは店舗の状況を撮影することが多く、今後のテレビ会議利用などもにらみ、カメラやマイクを内蔵している点も評価している。
「従来はデジタルカメラで撮影した写真を、メモリーカード経由で一旦ノートPCに取り込み、PHS回線で送信するという手間がかかっていました。そうした作業がストレスなく行えるのは魅力です」と高木氏は話す。
2013年6月にはリアルタイムコミュニケーションを可能にするMicrosoft Lyncを導入するとともに、「STYLISTIC Q702/F」のOSもWindows 8へバージョンアップ予定だ。写真などをその場でアップロードし関係者で共有・議論が可能なディスカッション掲示板や、テレビ会議などを導入、さらなる情報共有の効率化と機動力の向上を目指す。
最後に岩崎氏は、「これからSTYLISTIC Q702/FやWindows 8の機能を活かした業務効率化をさらに進めていく予定です。富士通にもより一層支援をお願いしたいですね」と期待を語った。
ユーザープロフィール | 北海道から九州まで全国38都道府県にコンビニエンスストア「サークルK」、「サンクス」を展開するチェーン本部。小商圏での顧客の多様なニーズに応えるべく、目指すべきビジョンを「いちばんの満足をあなたに」と定め、地域一人ひとりの顧客にとっていちばんの満足を提供できる店づくりに取り組んでいる。 |
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所在地 | 東京都中央区晴海2-5-24 晴海センタービル |
設立 | 2001年7月2日 |
ホームページ | 株式会社サークルKサンクス様 ホームページ |
法人向けハイブリッドタブレット「STYLISTIC Q702/G」
(注)2013年上期モデル、本事例導入機種の最新モデルとなります。
用途に応じて着脱可能な2Way スタイルで利用できるハイブリッドタブレット。キーボード・ドッキングステーション装着時はノートPCとして、分離して単体の場合はタブレットとして使用可能。それぞれの特長を活かした活用ができ、より機動的かつ効率的に業務をサポートする。高速処理を実現する第3世代インテル®Core™i5プロセッサーを搭載。指や専用ペンでの直感的な操作を快適に行えるタッチパネルで使いやすく、タブレット操作を快適にする、Windows 8が利用可能。指紋センサー(標準装備)や暗号化機能付きSSD(カスタムメイド)など、不正使用を防ぐ多彩なセキュリティ機能も準備しており、安心して外出先に持ち出せる。