このページの本文へ移動

PCワークスタイル提案 導入事例

24時間PC導入事例-遠州鉄道株式会社様

長時間確実な運用が求められるバスの運行状況管理業務に
長寿命でコンパクトな「FMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデル」を導入

矢田 央生 氏

遠州鉄道株式会社
総務部 総務課 課長代理
矢田 央生(ヤタ ナカオ)氏鈴木 貴博 氏

遠鉄システムサービス株式会社
第二システム営業部
システム営業一課 主任
鈴木 貴博 氏

浜松市を中心に運輸事業を展開する遠州鉄道では、長時間、確実な運用が求められる運輸業務関連システムに利用するため、富士通の産業用PC「FMV‐ロングライフパソコン」を鉄道の駅に、さらに産業用PCのメリットを持ちながらデスクトップPCのラインナップである新PC「FMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデル(以下Dシリーズ 24時間モデル)」を路線バスの営業所に導入。高い耐久性を持ちながら、コンパクトなサイズの24時間モデルは、使いやすさとともにシステムの安定運用に大きく寄与している。

交通インフラを支えるシステムにおけるPC導入の課題
  1. 365日24時間稼働が求められるなど、一日のPC利用時間が長い
  2. 営業所の立地環境など、事務所のスペースが一律ではなく限られる場合もある
  3. バスの運転状況を把握し、より安全で燃費の良い運転を指導するために役立てる
FMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデル導入のポイント
  1. 耐久性に優れた長寿命部品の採用により、24時間連続稼働への高い信頼性を実現
  2. 省スペースでコンパクトな筐体デザインにより、スペースを意識することなく設置
  3. 運行管理システムのデータを解析することで、効率的で確実な業務遂行が可能に

遠州鉄道におけるPC活用の歩み

2003年

一部の路線バスでICカードを導入開始

2004年

ICカードを『ナイスパス』として全ての路線バス、鉄道でも利用できる体制へ
改札に設置するICカード関連機器システムの監視用として
富士通の産業用PC「FMV‐ロングライフパソコン」を無人駅を中心に導入

2007年

路線バス事業において運行状況を分析・把握するためのシステム導入を決定
併せて富士通のデスクトップPC「FMV-ESPRIMO Dシリーズ24時間モデル」を
バス営業所に導入

乗客の利便性を高めるため、ICカードを導入

遠州鉄道は、浜松市を中心に静岡県西部で鉄道、バス、タクシーによる運輸サービスを提供している。同社は、乗客の利便性を高めるため、各地の公共交通で徐々に導入されつつあったICカードシステムの導入を決定。10ヵ月間の試験期間を経て、2003年4月から一部の路線バスで導入を行った。その後、2004年8月には『ナイスパス』と名称を変えて、全ての路線バス、鉄道で利用を開始。当初はプリペイド機能のみの提供だったが、その後定期券にも対応するなど、利用範囲の拡大と利便性の高まりにつれて利用者も増大し、現在28万2千枚が発行されている(2008年1月現在)。

遠州鉄道の最新型車両 浜松市内を中心に運行するバス

遠州鉄道の最新型車両

浜松市内を中心に運行するバス

過酷な環境と長時間利用に適合した産業用PC「FMV‐ロングライフパソコン」

同社は2004年に、鉄道でもICカードを導入するにあたり、新たなPCの導入を検討していた。改札に設置されたICカードのリーダが正常に稼働しているかどうかを監視し、データを本社のサーバと送受信するためである。

しかし、そのためのPCの設置環境に問題があったと、当時鉄道部門でICカードシステム導入を担当した遠州鉄道株式会社 総務部 総務課 課長代理 矢田央生氏は次のように語る。「当社の鉄道は全18駅で、そのうち8駅が無人駅です。そこには小さな駅舎しかなく、当時は冷房設備などもありませんでしたから、夏は40℃くらいの暑さになってしまいます。ホコリも多く、朝5時過ぎの始発前から、夜12時近くの終電後まで、一日も休むことなく20時間近く、そのような環境でPCを確実に稼働させる必要がありました」

遠州鉄道の浜松駅改札 鉄道とバス両方で利用できるICカード「ナイスパス」と改札に設置されたリーダ

遠州鉄道の浜松駅改札

鉄道とバス両方で利用できるICカード「ナイスパス」と
改札に設置されたリーダ

この条件で選定されたのが富士通の産業用PC「FMV‐ロングライフパソコン」である。FMV‐ロングライフパソコンは長寿命部品を採用し、最長10年間のハードウェア保守を実現。防塵フィルターなどにより耐環境性も強化、45℃までの動作保証をするなど、同社の無人駅のような過酷な環境に最適なPCである。遠鉄システムサービス株式会社 第二システム営業部 システム営業一課 主任 鈴木貴博氏は、「24時間連続稼働や防塵対策などを総合すると、適合するのが富士通のFAパソコン(現在はFMV‐ロングライフパソコン)でしたので、これに決めました」と語る。

また、このようなハードルの高い要件に適合するPCとして導入されたFMV‐ロングライフパソコンは「導入後約3年を経過した今も、安定して稼働している」(矢田氏)ことからも、その性能の高さが伺える。ただ一点、気になる点は筐体の大きさである。産業用PCは、工場を始めとする産業現場向けとして設計されているため、一般的なデスクトップPCと比較して筺体サイズが大きく駅舎でかなりのスペースを占有していた。

駅事務所内に導入されたFAシリーズ(写真下)。ICカード機器の監視を行う。

駅事務所内に導入されたFMV‐ロングライフパソコン
(写真下、赤枠内)。
ICカード機器の監視を行う。

バス営業所での運行状況管理業務に、省スペースデスクトップPC
「FMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデル」を導入

その後2007年10月より、バス営業所で運行状況管理システムの試験導入を開始した。このシステムは、バス内に設置されたデジタル式タコグラフの車載端末から通信機器を用いて、バスの運行記録を営業所PCから本部のPCへ送付。従来運転手にしかわからなかった運行状況を、本部や営業所で確実に把握することにより、事故などにつながる可能性のある運転を発見、運転手に指導することで、安全で効率の高いバス運行を実現する目的で導入された。

遠州鉄道のバス営業所 バス営業所では24時間体制でPCが運用され、常に運行状況を分析・活用している

遠州鉄道のバス営業所

バス営業所では24時間体制でPCが運用され、
常に運行状況の分析・活用が可能に

矢田氏は「この運行状況管理システムに利用するため、営業所に設置する新たなPCが必要となったのですが、ここでも鉄道と同様に、長時間確実に稼働するPCが必要でした。バスは早朝から深夜まで、基本的に365日運行しています。データを集約するメインPCはもちろん、各営業所でデータの管理・分析に利用するPCは、連日24時間の連続稼働が条件だったのです」と話す。

とはいえ、バスの営業所は普通のオフィスと同様の環境であり、前回導入時に課題となった温度やホコリなどは、鉄道の無人駅ほど過酷なレベルではない。また、営業所だけにスペースに制限もあり、「一般的な省スペースデスクトップほどのサイズで、設置環境を有効に使いたいという思いがあった」(矢田氏)。そこで、富士通が提案したのが、一般デスクトップPCから新たに開発された、FMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデルである。Dシリーズ 24時間モデルは、長時間の連続稼働にも耐えるよう、ハードディスクや電源、ファンなどに厳選した長寿命部品を採用。24時間5年間の連続稼働を可能にした、他社の一般デスクトップPCにはない、新しいカテゴリのPCである。加えて、事務所スペースにゆとりを生む容積10リットル弱のコンパクトな筐体と、通常のDシリーズにプラス5万円程度という圧倒的な低価格が評価され、2007年8月、バス営業所14ヵ所と本社に、Dシリーズ 24時間モデルが導入された。

選定の理由について鈴木氏は、「Dシリーズ 24時間モデルを提案いただいた時に、『これだ!』と思いました。鉄道の無人駅で導入したFMV‐ロングライフパソコンの実績があったので、かねてから普通のデスクトップPCで同様の耐久性が実現できればと考えていたからです。FMV‐ロングライフパソコンに比べて容積比約3分の1と格段に小さくなった筐体も、営業所内の限られたスペースにも無理なく配置することができ、導入決定のポイントになりました。そして、優れたコストパフォーマンスも魅力でした」と語っている。

バス営業所に導入されたDシリーズ24時間モデル コンパクトな筐体は狭い事務所でも導入が容易だ

バス営業所に導入された
FMV-ESPRIMO Dシリーズ24時間モデル

コンパクトな筐体は手狭な事務所でも
導入が容易だ

運行状況管理システムの導入により、安全な運行と業務効率化を実現

同社は運行状況管理システムを導入することで、お客様に安全な運行を提供すると共に、従来業務の効率化も実現した。運転手が日報を作成する際にこのデータを利用することで、日報作成の手間が軽減されている。 また矢田氏は、「このシステムでは、運転手が急ブレーキや急発進をしたかどうかがわかるため、そのようなことが確認された場合は、より安全な運転を行うように運転手に対して指導を行っています。もちろん本部や営業所にデータが送られていることで、運転手の安全運転への自覚も高まっており、今まで以上に安全を意識した運転になっていると思います」と語る。

現在は貸切バスを対象にシステムの運用を行っているが、今後、導入の効果を見ながら路線バスへの運用拡大も検討されているという。

このように、交通機関をはじめとして商業施設や医療機関など、人々の暮らしや経済を支えるシステムには、耐久性、長時間稼働が求められるシーンが少なくない。富士通のDシリーズ 24時間モデルを始めとする高い耐久性を持つPCは、これらのシステムを支え、安定した運用環境を提供している。遠州鉄道はこれらを活用し、より一層安全かつ利便性の高いサービスを提供することで、地域住民の足として愛されていくに違いない。

User's Profile 遠州鉄道株式会社

遠州鉄道株式会社

遠州鉄道は、浜松市を中心とした静岡県西部地域を中心に、「地域とともに歩む総合生活産業として社会に貢献する」という経営理念のもと、運輸事業を基盤に流通、観光レジャー、不動産、保険、情報処理サービス等幅広く事業を展開。地域に密着した多彩なサービスを提供している。

ホームページ https://www.entetsu.co.jp/

24時間連続稼働(5年)を実現したFMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデル

製品紹介 FMV-Dシリーズ 24時間モデル

24時間営業などの業務サービス時間拡大に伴い、求められた連続稼働モデル

FMV-Dシリーズ 24時間モデル

富士通がFMV-ESPRIMO Dシリーズ 24時間モデルの検討を始めたのは2004年頃のことだ。様々な業種で24時間営業のサービス提供が増え、PCを24時間稼働させるユーザーが増大していた。しかし、通常PCは、1日8時間、1ヵ月25日で約5年間の利用を想定目安として作られているため、24時間の連続稼働は、設計時の想定寿命を大幅に短くしてしまう。一方、24時間稼働可能なPCは、産業用として設計されたものであるために、高い信頼性を誇るかわりに比較的高価であり、その優れた機能から筐体サイズも通常PCと比較して大きなものであった。一般の店舗やオフィス用途では、そういった耐環境性(防塵、使用環境温度)はオーバースペックであることが多く、通常のPCで長時間安心して利用できる製品が求められていた。

そうしたユーザーの声に応えるべく、通常デスクトップPCをベースにして24時間モデルの開発が始まる。価格を大きく変えることなく、長時間稼働を可能にし、さらに万全の保守体制を整えるために十分な時間が必要だった。徹底的な試験と評価を繰り返し、Dシリーズ 24時間モデルは、満を持して2007年に発売となった。

24時間の連続稼働を実現するため、専用の長寿命部品を開発

Dシリーズ 24時間モデルは、5年間24時間稼働を保証するため、専用仕様のメインボードを開発。さらにHDD、電源、ファンにも専用の長寿命部品を採用している。特にHDDはDシリーズのために企画・開発された、3.5インチHDDに比べて発熱量の少ない2.5インチHDDを採用。発熱量を抑えることに加え、読み取りヘッドの動作回数を最小限に押さえることで長寿命化を実現した。また、電源ではアルミ電解コンデンサと冷却ファンに長寿命部品を採用。CPUのファンも信頼性の高いベアリングを使用し、さらにCPUの冷却効率が高まる構造とすることにより、長寿命を実現している。

専用の長寿命部品が数多く搭載されたDシリーズ 24時間モデル内部

専用の長寿命部品が数多く搭載されたDシリーズ 24時間モデル内部

PCの最大の問題は熱であり、長寿命にするために特別な部品を採用することで熱対策を徹底したものの、ひとつ課題が残った。経年によるホコリの蓄積である。せっかく部品の熱対策をしても、吸排気孔にホコリがたまると空気の流れが滞り、冷却性能が落ちてしまうからだ。通常のデスクトップPCは、ホコリがたまった場合、ユーザーに筐体を開けて掃除をしてもらう想定で作られている。しかし、長期間の利用が想定されている24時間モデルに関しては、ユーザビリティを考慮。もう少し簡単に掃除ができる方法を模索し、防塵ネットを採用することにした。これにより、ユーザーは筐体を開けなくても、筐体についた防塵ネットにたまったホコリを払うだけで、簡単にホコリ対策を行うことが可能になった。

最適な素材の吟味に時間をかけた防塵ネット

最適な素材の吟味に時間をかけた防塵ネット

加えて一定期間が過ぎると防塵ネットのホコリを払うよう注意を喚起したり、異常な熱を感知するとサポートへの連絡を促したりするソフトウェア「お手入れナビ」を搭載した。これは、一部のノートPCに搭載していたソフトウェアを24時間モデル向けにアレンジしたものである。

PCの異常やメンテナンス時期を教えてくれる「お手入れナビ」

PCの異常やメンテナンス時期を教えてくれる
「お手入れナビ」

さらに、Dシリーズ 24時間モデルでは、サーバルームなどの特別な場所ではなく、人が働くオフィス内での利用を前提とし、静音性にも配慮している。CPU温度と装置内部温度を同時に検出し、温度変化に合わせたリアルタイムな冷却ファン制御を行い、騒音を抑制。待機時において「人のささやき声」(30dB程度)よりも低い23dB程度の静音性(※)を実現している。

※数値は当社測定値。

このように、24時間モデルは、企画から、部品、製品設計、製造、ソフトウェアに至るまで、社内に技術とノウハウを持つ富士通の総合力があってこそ実現した製品なのだ。

お見積り・ご購入 富士通ショッピングサイト WEB MART

ご購入に関するお問い合わせはこちら