株式会社とっぺん様

人材獲得の課題に挑む地方企業がもたらした成果とは?
オンライン会議と軽量PCで円滑なテレワークを促進

LIFEBOOK U939X/C導入事例

FUJITSU Notebook LIFEBOOK U939X/C

佐賀県佐賀市に拠点を構え、文化財のデジタルアーカイブやコンテンツ事業を手掛ける株式会社とっぺんは、女性社員が長く働ける環境を整えたいという想いから、場所にとらわれない優秀な人材の活躍の機会創出やテレワーク促進のための実証プロジェクト「Empowered JAPAN プロジェクト」に参加。2019年末から業務委託として千葉県在住の女性テレワーカー1名を採用し、Microsoft Teamsのオンライン会議や軽量薄型PCのLIFEBOOK U9シリーズを活用しながらスムーズな業務を行っています。この成功体験をベースに、同社は働きやすい職場づくりをさらに一歩前進させています。

導入事例概要

業種
文化財、コンテンツ制作
ハードウェア
FUJITSU Notebook LIFEBOOK U9シリーズ
OS
Windows 10 Pro(64bit)
CPU
インテル®Core™i5プロセッサー
課題
効果
課題学芸員資格を持つ社員をはじめ、CGデザイナーなど専門的な技能を持つ社員が多いとっぺん。今後結婚・出産を機に退職する女性社員を想定し、優秀な人材を獲得し長く働き続けてもらえる環境をいかに整えられるかが課題となっていた。
効果テレワーク雇用の試験導入を企業・個人向けの研修プログラムという観点からサポートするEmpowered JAPANプロジェクトに参加。持ち運びが容易なLIFEBOOK U9シリーズと、オンライン会議、インスタントメッセージ(IM)、ファイル共有機能が統合されたMicrosoft Teamsを活用し、テレワーク環境によるインターンを実施。その後、業務委託契約を締結。
課題テレワーク環境の構築は、育児、介護などの事情によってオフィスで働けない有能な人材を採用できることが大きなメリット。人材採用の対象を日本全国に広げられるため、優秀な人材と出会える可能性が高まる効果も期待した。一方で、テレワーク導入経験がないため、労務管理やルール、コミュニケーション方法に不安を抱えていた。
効果働き場所を限定しないテレワーカーの募集であるため、採用範囲を全国に広げることができ、優秀な人材を獲得。専門知識が必要だった社内システム業務に従事し、即戦力として活躍の場を広げられたことで、会社全体として業務効率が大幅に向上。特に、社内SEを兼務していたスタッフの残業時間が月間で60時間削減。また同社が目指していた女性採用、女性の活躍を実現する環境づくりの第一歩となった。

導入の背景

人材獲得の可能性を広げるためにテレワークを検討

 佐賀県佐賀市にて、2006年に創業した株式会社とっぺん(以下、とっぺん)。「価値ある情報を多くのひとへ」を経営理念として、デジタル活用による文化財調査の支援、博物館・イベントなどの展示コンテンツの企画・制作を主に行っている企業です。

 文化財の調査・研究から、VR/MRなどの最新の技術を駆使したデジタルコンテンツの企画・制作までをワンストップで請け負えることを強みとして、吉野ヶ里遺跡や、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鐵工、造船、石炭産業」の構成遺産として世界遺産に登録された三重津海軍所跡など、幅広い調査実績を持ちます。

 学芸員の資格を持ち、遺跡の発掘調査や古文書・古絵図などの記録保存に携わる社員、映像を撮影するカメラマン、コンテンツ制作を担当するグラフィックデザイナー、CGデザイナーなど多才なスタッフを抱える同社では、地元だけでは専門的な人材の獲得が難しいという課題を抱えていました。

 また人材不足が懸念される今日、「結婚・出産をしても、女性が働きやすい環境を整えていきたい」というニーズもあり、日本マイクロソフト株式会社(以下、日本マイクロソフト)及び富士通株式会社をはじめとする協力パートナー各社が連携する今回のEmpowered JAPANプロジェクトへの参加につながりました。

導入のポイント

Microsoft Teamsを活用したテレワーク雇用のインターンを実施

 専門職の社員が多いとっペんでは、プロジェクトごとに個々の判断で動きやすい環境を整えています。また、日本の IT の発展とイノベーションを進めるMicrosoft AI & Innovation Center SAGAが2016年に設立された時期からサポーティングカンパニーとして協賛し、Microsoft HoloLensをはじめ先進的なデバイス活用により、デジタルアーカイブ制作を進めてきました。

 そうした日本マイクロソフトとの連携もあり、「いつでも どこでも 誰でも、働き、学べる世の中へ。」をコンセプトに、デジタルテクノロジーを用いた働き方改革と、場所にとらわれない活躍の機会創出を目指すEmpowered JAPANプロジェクトに賛同。テレワーカーを採用したい企業とテレワークを希望する個人に対して研修プログラムを提供し、モバイルPCとOffice 365 のアカウントを無償で貸し出し、テレワーク雇用の試験導入を行う検証プログラムに参加しました。

 研修では、テレワークに関する労務関係、実際の運用方法、セキュリティ対策、テレワーカーとの接し方等、テレワーク導入経験がない会社でも、すぐに受け入れやすい環境づくりが準備されていました。とっぺんでは今回、千葉県流山市在住する鶴田 朋子氏とテレワーク環境による一週間のインターンを実施しました。「実際に会ったことがない方と仕事をするのは不安な面もありましたが、Microsoft Teamsでのオンライン会議やチャットを通してコミュニケーションを取ることで、スムーズなやり取りができました」と、事業管理部 係長 坂本佳啓氏は感想を話します。

 今回のプロジェクト参加以前に、結婚・出産を機に遠方へ転居した女性に対して、テレワークで業務委託を行った経緯がある同社。「実績のある方でしたが、引っ越し先が物理的に通えない距離であったためテレワークで仕事をお願いしていました。当時はメール中心のやり取りだけであったこともあり、意思疎通がうまくいかず効率的な業務ができなかった反省点から今回の試験導入には期待していました」と取締役 事業管理部 部長 中尾美保氏は続けます。

写真:株式会社とっぺん 専務取締役 兼 事業管理部 部長 中尾 美保 氏

株式会社とっぺん
専務取締役 兼 事業管理部 部長
中尾 美保 氏

写真:株式会社とっぺん 事業管理部 係長 坂本 佳啓 氏

株式会社とっぺん
事業管理部 係長
坂本 佳啓 氏

お互いの顔を見て意思共有ができれば距離は関係ない

 一週間のインターン後、問題なくテレワークが進められると感じた同社では、鶴田氏と業務委託契約を締結しました。「実際にテレワークで業務をお願いする際に気をつけたのは、遠隔でも問題なく進めていただける作業に切り分けることです。鶴田さんはプログラミングの経験があるというお話でしたので、まず社内の業務管理ツールの制作をお願いしました」(坂本氏)

 結婚して退職するまでは、SEとして働いていた実績を持つ鶴田氏。地元では出会いにくい優秀な人材とマッチングできるのも、距離を超えて仕事を依頼できるテレワークの強みと言えます。

 家事や子育てと両立でき、以前の経験も活かせる働き方を模索してEmpowered JAPANプロジェクトに参加した鶴田氏は、「大学で国文学を学んでいたこともあり、とっぺんさんの仕事に関われるのは非常にありがたいです。Microsoft Teamsでタイムリーにコミュニケーションが取れるので、テレワークでも問題なく作業に取り組めています。距離が離れているからこそ、毎日の進捗報告を欠かさないことを心がけています」と話します。

 鶴田氏とのコミュニケーションを重ねる中で、「Microsoft Teamsを活用して、スムーズにオンライン会議ができるのはテレワークでは非常に重要だと感じています。表情が見えるので、音声が聞こえているのか、説明が伝わっているのかもわかりやすいです。お互いに顔が見えて意思共有ができれば、距離は関係ないと実感しています」と事業管理部 xRプロデューサー石丸凌氏は、テレワークの可能性を強調します。

写真:株式会社とっぺん 事業管理部 xRプロデューサー 石丸 凌 氏

株式会社とっぺん
事業管理部 xRプロデューサー
石丸 凌 氏

導入の効果

1000kmの距離を超えたテレワーク雇用を実現

 今回のEmpowered JAPANプロジェクトではとっぺんの石丸氏に対して、富士通から軽量で薄型のコンバーチブルPC「LIFEBOOK U939X(以下、U939X)」が貸し出されました。出張先や発掘調査の現場に行くことも多い石丸氏は、「ペン入力可能なコンバーチブルタイプでありながら880gを切る超軽量で薄型のU939Xは、バッグに入れて軽々持ち運べる点が気に入っています。外出先でオンライン会議をする際にもサッと開いて準備ができるので使いやすいです。バッテリーも一日持つので、充電アダプタを持ち歩かなくていい点は助かります」と話します。

 外出先でも簡単にコミュニケーションを行えることで、自社内のスタッフも鶴田氏のようなテレワーカーもお互いの業務効率を向上できます。軽量PC×オンライン会議といったIT環境もテレワーカー雇用のうえで重要な要素です。

軽量・薄型で持ち運びしやすいU939Xは社外でも使用しやすい軽量・薄型で持ち運びしやすいU939Xは社外でも使用しやすい

 一方、自宅で作業をする以外にも、コワーキングスペースなどで作業することもあるという鶴田氏は、「U9シリーズは13.3型の大きな画面でありながら、軽くて持ち運びやすい点は気に入っています。また、キーボードが打ちやすいので、プログラミングなどの作業もしやすいです」と話します。

 佐賀県佐賀市と千葉県流山市。1000km以上の距離を超えて、デジタルテクノロジーでつながり、テレワーク雇用の実証に成功した今回のプロジェクト。「業務を担当していただくだけでなく、期待以上の成果を出していただき非常に助かっています。プログラムなどの専門的で時間のかかる業務をお願いできることで、他の案件に時間を使えるのは大きなメリットだと感じています」と坂本氏は語ります。

Microsoft Teamsのオンライン会議とチャットをフル活用し、佐賀県と千葉県の間でスムーズに業務を行っている軽量・薄型で持ち運びしやすいU939Xは社外でも使用しやすい

今後の展望

災害への対策や感染症予防に向け、テレワーク導入を視野に

 台風や大雪などの災害対策や、新型コロナウィルスなどの感染症対策が必要不可欠になりつつある日本において、テレワーク導入の重要性を天賀光広代表取締役は以下のように語ります。

 「新型コロナウィルスやインフルエンザなどの感染症対策をはじめ、大雨による洪水や大雪で交通が麻痺した際など、テレワーク環境があれば出社せずに自宅待機させて社員の安全を守ることができます。また、軽量モバイルPCのLIFEBOOK U9シリーズとMicrosoft Teamsを用いてリアルタイムに連絡を取り合えれば、会社にいるのと同じように業務活動が続けられますので、事業継続対策としても必要不可欠でしょう」

 働き方改革という観点だけでなく、社員の安全管理とBCPという面でもテレワークの効果は期待されています。社内のコミュニケーションを活性化しながら、テレワーカーとのコラボレーションを実現するMicrosoft Teams。今後、ICT環境がさらに整備されていき、顧客企業とのオンライン会議活用などが本格化していけば、ワークスタイル自体に大きな変革が起きることが予想されます。

 さらに、今後5Gが導入されることで、軽量で高性能なLIFEBOOK U9シリーズを使って、より専門的なデジタルアーカイブ制作が、場所を問わずテレワークで実現できる可能性もあるでしょう。より一層ビジネスのスピードは加速していくと思います。

 「女性が長く働きやすい環境を整えたいという想いから今回のプロジェクトに参加しましたが、危機対策としての活用、全国規模での人材採用、オンライン会議活用による移動の効率化など、さまざまなメリットを感じることができました。今後は勤怠管理や人事評価などの条件を整えながら、テレワーク環境をより強固なものにすべく前向きに取り組んでいきたいと思います」(天賀氏)

写真:株式会社とっぺん 代表取締役 天賀 光広 氏

株式会社とっぺん
代表取締役
天賀 光広 氏

集合写真

株式会社とっぺん 様

事業分野 文化財、コンテンツ制作
設立年度 2006年
ホームページ https://toppen.jp/
概要 考古・歴史・民俗等の文化財に関する事業、博物館・資料館等における展示コンテンツの企画・制作、インターネットに関する事業、3次元計測に関する事業、赤外線イメージスキャナ等の販売

[2020年3月掲載]

このページの先頭へ