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研究活動
2025年度 研究分科会 テーマ概要
Fit to standardアプローチに基づくシステム間の整合性確保の研究
【研究内容・研究方針】
経営戦略に基づき、ITコスト削減と迅速な戦略対応を実現するため、業界のベストプラクティスに基づく標準機能活用
(Fit to standardによるパッケージ適用等)がトレンドになっている。
一方、複数のITシステムを導入すると、各システムが標準機能に基づいて動作するため、データの整合性や業務プロセスの統一が難しくなり、
また、ユーザーインターフェースの違いがユーザー体験を損ねることがある。
システム間のデータ連携とプロセス統合が不十分なため、全体的な効率と操作性が阻害されている。
そのため、システム全体のデータ統合とプロセス標準化、そして共通のユーザーインターフェース設計の導入が必要である。
ビジネスアジリティ実現に向けたIT部門の在り方に関する研究
【研究内容・研究方針】
変化の激しいデジタル時代において、企業はビジネスにアジリティを持たせて顧客価値の変化に対応する必要に迫られており、
それを支えるIT部門はデジタルを活用した変革を主導する立場に変わる必要がある。
しかしIT部門は以下の問題点を抱えており、変革を主導できていない。
・業務部門の要望を正確に理解しベンダーに伝えるだけの姿勢
・モノリシックなシステムの安定稼働を優先し小規模改善しているため、変革を起こせない
・ベンダー依存度が高く、ビジネスやテクノロジーの理解が追いつかない
IT部門が、ビジネスを支えるアジリティの高いシステムへの変革を主導し、
ビジネス価値を創出するためのデジタル人材の定義と内製化の在り方を明らかにする。
AI技術を活用したオフィス業務自動化のベストプラクティスの研究
【研究内容・研究方針】
近年、AI 技術の進化により、業務自動化の導入が注目されている。しかし、導入コストの高さ、
適切な業務プロセスの選定の難しさ、システムの運用/保守の複雑さなどから、効果的な導入ができていない。
オフィス業務に対してAI技術を用いたオフィス業務自動化の効果的な導入のためのベストプラクティスを明らかにする。
新規ビジネス創出に向けたマルチモーダルAI活用の可能性の研究
【研究内容・研究方針】
近年、マルチモーダルAIは、テキスト、画像、音声、動画など複数のデータ形式を統合して処理する技術として注目を集め、
研究分野では華々しい成果が報告されている。
しかし、実際の業務利用においては、具体的にどの業務領域でどのように活用できるのかが不明確であったり、
出力の質や法的リスクなどの問題から、マルチモーダルAIのポテンシャルを十分に活かせず、業務プロセスの効率化や新たなビジネス価値の創出が遅れている。
マルチモーダルAIを用いて新たなビジネスを創出する際の検討ポイントやリスク評価方法を明らかにする。
RAG活用におけるナレッジマネジメントの在り方の研究(クラス1)(クラス2)
【研究内容・研究方針】
LLMとRAG技術の発展により、社内ナレッジの活用が大きく進歩しつつある一方、既存のナレッジマネジメントシステムはRAGに対応しておらず、
膨大な情報資産を効果的に活用できない、検索に時間がかかるなどの問題が発生している。
特に、業務ノウハウなどの暗黙知の形式知化と活用/伝承が重要になっているにも関わらず、システムがそれを阻害している現状がある。
暗黙知の効率的な収集方法について明らかにし、RAG活用に適したナレッジベース構築のための指針やRAGの効果測定指標の定義を明らかにする。
AI技術の活用によるアプリケーション保守の効率化の研究(クラス1)(クラス2)
【研究内容・研究方針】
アプリケーション保守においては、限られた要員の暗黙知によって運用されているケースが非常に多い。
脱属人化が必要な認識を持ちつつも、なかなか手をつけられておらず、有識者頼りというリスクを抱えている。
AIを活用することでソース解析、原因箇所の絞り込みを自動的、かつ、短時間で実施することでアプリケーション保守の効率化を明らかにする。
AI技術を活用したサイバーセキュリティ対策の研究
【研究内容・研究方針】
高度化するサイバー攻撃の兆候を速やかに検知し、セキュリティインシデントの予防や早期対応に繋げることは、被害を最小減に抑える上で非常に重要である。
セキュリティアナリストには、未知の攻撃まで含めた様々な攻撃の兆候を捉え、セキュリティインシデントとしてのレスポンス要否を適切に判断することが求められるが、
高度なセキュリティ技術者は不足しており、育成も容易ではない。
サイバー攻撃兆候の迅速な検出、レポーティングやオペレーションの自動化/簡略化、セキュリティアナリストのスキルアップ支援などで、
AIを活用したサイバーセキュリティ対策技法を明らかにする。
社内向けITサービスデスクへ生成AIを適用する方法の研究
【研究内容・研究方針】
運用の各現場において生成AIをはじめとしたAI技術の組込みが本格的に進んでいる。特にヘルプデスクやサービスデスクにおいて、
オペレーターやスーパーバイザー(運用者)が生成AIをユーザー回答支援ツールとして活用するケースが増えているが、
ファーストコンタクトとして生成AIを活用する事例は少なく、利用者の満足度向上に貢献できていない。
社内向けサービスデスクにおけるサービス品質向上のために、生成AIの適用方法を明らかにする。
将来の環境変化に対応可能なITシステムの運用技術に関する研究
【研究内容・研究方針】
グローバル化とセキュリティ強化が進む社内ITにおいて、変化への迅速な対応と安定したサービス提供が不可欠である。
しかし、インシデントの未然防止や影響範囲の最小化に向け、新たな技術を活用したオペレーショナルレジリエンスの高い保守運用を実施するには、従来の手動運用では限界となっている。
安定したサービス提供を行いながら、将来の環境変化に追従できるシステム運用に向け、継続的に運用プロセスの見直しや新技術の適用方法を明らかにする。
運用業務におけるAI技術の適用領域と効果的な導入に関する研究
【研究内容・研究方針】
急速に拡大/進化しているAIについては、今後のICT運用の効率化に向けても必須なものとなっている。
一方で、どのような業務にどのようなAIを活用できるかわからない。AI活用に必要なデータが体系的に準備されていないため、
AI活用に至らないケースがある。運用現場において、AI活用を進めるためにどのような準備が必要か。
準備がなくても活用できる業務領域やデータの整理が不十分なため、AI活用に踏み出せていない。
運用業務の中でどの部分にどのようなAIを活用するのか、業務カテゴリ/フェーズの中でどこから優先して適用すれば効果があげられるかを明らかにする。

