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ほっ!とコーヒー 第15回

アルマイトに復活の兆し?


「ママ、押し入れ整理してたらこんなの出てきたぞ」
「あれ、なつかしいね。アルマイトのお皿じゃない。そうそう、思い出した。一郎が小学校卒業した時だからもう15年くらい前になるけど、来年から給食の食器が変わるんだって言ってね、記念にもらってきたんだって」
「ふ〜ん。あいつもアルマイト使ってたんだ」
「先日TVのニュース見てたら、今でも使ってる学校、あるんだって」
パパ「へ〜、すごいね。ところでアルマイトって、アルミニウムの合金なのかな?」

アルマイトはアルミニウムの表面に電気科学的処理(アルマイト処理とも)を施したもの。大正13年(1924)に日本で開発された。軽金属の代表アルミニウムは地球上もっとも多い金属で、軽い・加工しやすい・美しい、人体に無害などの理由から、食器食品関係に使用されることが多い。アルマイト加工で表面処理されることによりアルミニウムの用途は飛躍的に増加した。

「おれが小学生のころはね、アルマイトと先割れスプーンが主流だったよ。アルマイトの安っぽいカチャカチャした響きを思い出すな」
「生ぬるいミルクが大嫌いだったよね。脱脂粉乳って言う」
「なぜか給食の話って、職場で盛り上げるんだ」

日本の給食のルーツは山形県鶴岡市で明治22年(1889)私立忠愛小学校が貧しい家庭の子どもたちのために始め、全国に広まった。終戦後日本の食料難を救うため諸国から集められた援助物資はLARA(アジア救済公認団体、ODAのひとつ)に託された。ララ物資と呼ばれ1954年まで続いた。ララ物資をもとに昭和21年12月、東京地区で学校給食が再開。学校給食法(昭和29年制定)で全国的に。

「なんでアルマイト食器、なくなったの。おれは案外好きだったけどな」
「体を机にかがめて食器から直接食べる『犬食い』の子どもが増えてるって、問題になったでしょ。あなただって一郎に、何で犬みたいな食べ方するんだって怒ってたじゃない。でも最近、プラスティック食器が環境ホルモンを出すとかで、長年倉庫にしまってあったアルマイト食器を復活させた学校もあるんだって」
「子どものころ飼ってた犬も、アルマイト使っていたっけ」
「そうだ、昨日お皿割っちゃったから、今日のカレー、あなたはこのアルマイトのお皿、使ってね」
「おれは犬か?」


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