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第11回 光メディアに記録する

ハイビジョン映像やデジタル放送、薄型テレビ、地デジ対応パソコンなど高画質映像への関心が高まり、データ量が大幅に増大しCDメディアでは容量不足が顕著になっています。そうした背景の中でDVDが登場しました。CDと同じ大きさで、約7倍の記憶容量、高速に記録再生でき、しかも記録できるメディアは、DVD録画機器の普及で急速に低価格化がすすみました。今回は、このDVDメディアについて説明します。CD同様に、再生専用、追記型、書き換え型がありますが、規格の違いが少し複雑です。


DVDの基礎知識

今日、光メディアといえばDVD(Digital Versatile Disc )です。Versatileは用途が広いという意味ですから、「デジタル万能ディスク」と訳してもよいかもしれません。
DVDは1995年にCDに代わるメディアとして、DVDコンソーシアム(DVDフォーラム)により規格化されました。
DVD規格化にあたって、映画産業のハリウッドから要望が出されています。

  • 記録時間は片面133分以上(映画の90%が片面に記録できる)
  • レーザーディスクを上回る高画質
  • 5.1チャンネルデジタルサラウンド
  • 音声3言語以上+字幕4言語

また、PC業界からも要望が出ています。

  • 映像用とPC用で互換性のあるフォーマット
  • CDとの互換性確保
  • 将来登場する記録用ディスクとの互換性確保
  • ファイルシステムを統一し、映像用もPC用も同じものであること
  • 低価格であること
  • カートリッジ(ディスクケース)を必須にしないこと
  • 高い信頼性
  • 大容量化に対応すること
  • シーケンシャル、ランダムデータのどちらにも高性能であること

DVDは誕生前の規格の段階ですでに映像とPCの両方で利用できることを前提としていたのです。そこには音楽用CDをデータ記録に転用したことで使いづらさが目立ち始めたCD規格への反省もありました。翌1996年にはDVDビデオプレーヤーが発売され、その後4年間で6500万台(同期間では、VTRは150万台、CDは3100万台)と急速に普及しました。
現在、DVDの規格は「DVDフォーラム」と「DVD+RWアライアンス」という2つの団体がそれぞれ異なる規格を出しています。
DVDフォーラムは、DVD規格の策定や、広報活動を行う業界団体です。DVD-ROMやDVD-R、DVD-RW、DVD-RAMの規格を策定しています。東芝やソニー、松下電器産業など国内で80社以上、全世界で200社以上が加盟しています。
DVD+RWアライアンスは、書き換え可能光ディスクの仕様を策定する団体です。DVD+RやDVD+RWメディアの規格を策定しています。フィリップス、リコー、ソニー、マイクロソフトなど9社が参加しています。
この2団体が策定した記録可能なメディア、DVD-RとDVD+R、DVD-RWとDVD+RWの間に互換性はありませんが、記録されたメディアについては、DVDプレーヤーやDVD/HDDレコーダーなどで対応が明記されていなくても再生できる場合があります(保証されているわけではありません)。これを再生互換性と言いますが、DVD-R、DVD+Rは比較的再生互換性が高く、DVD-RW、DVD+RWは低く、DVD-RAMは対応ドライブでないと再生できません。

メディア タイプ 容量 記録回数 再生
互換性
特徴
DVD-ROM 再生専用 4.7GB
8.5GB(二層)
記録不可
DVD-R 追記型 4.7GB
8.5GB(二層)
1回のみ 最も普及しており価格が安い。
再生互換性は最高。
DVD-RW 書き換え型 4.7GB
9.4GB(両面)
約1000回 ビデオフォーマットの互換性が高い
利用時の操作が複雑。
DVD+R 追記型 4.7GB
8.5GB(二層)
1回のみ AV機器での再生互換性が高い。
採用しているメーカーが少ない。
DVD+RW 追記型 4.7GB 約1000回 PCとの親和性が高い。
対応ドライブが少ない。
DVD-RAM 書き換え型 4.7GB
9.4GB(両面)
約10万回 × 対応ドライブでのみ利用可。
FD感覚で利用可。

CDと比較する

DVDメディアの外見はCDとそっくりです。それもそのはずで、メディアは、直径12cm、厚み1.2mm、中央のドライブにメディアを固定するクランプ穴の直径も15mmとCDとまったく同じです。そのため、DVDドライブのクランプメカニズムはCD、DVD共通で使用できるようになっています。
DVDの記録容量はCDの約7倍です。この容量を記録するためにDVDは、トラック密度を倍以上に、情報を記録するピット(くぼみ)の長さを半分以下に、さらに記録できる範囲を1mm広げ、最後にデータと一緒に記録する訂正符号の混入率を約3分の1に減らしています。これで物理的に7倍の容量は確保できます。

種類 容量 直径 厚み 最短
ピット長
トラック
ピッチ
記録領域
最内周半径−最外周半径
データに占めるエラー訂正符号の比率
DVD 4.7GB 12cm 1.2mm 0.4μm 0.74μm 34mm 15.40%
CD 0.65GB 12cm 1.2mm 0.83μm 1.6μm 33mm 43%
比率 7.23倍 2.07倍 2.16倍 1.03倍 2.79倍

その結果、盤面を同比率で見るとDVD(左)とCD(右)で、ピット(くぼみ)の大きさや密度が大きく違っているのが分かります。

さらに、DVD-videoでは、データ圧縮技術によりデータ量を減らして記録する方法でビデオ映像などの巨大なデータを記録しています。約2時間のビデオの情報量は、74分の音楽CDの250倍にもなりますので、物理的に容量が7倍になっても記録しきれないのです。

メディアの構造

DVDは、厚さ0.6mmのポリカーボネート基盤2枚で反射層を挟む構造になっています。記録面と光ヘッドの対物レンズの距離はCDの半分です。距離が短くなる分、対物レンズの開口数(しぼり)を0.6に上げて、レーザー光のスポット径を小さくして、高密度の読み取りを実現しています。また2枚を貼り合わせる構造は、反射層の保護を強化するとともにメディアのそりを防止するはたらきがあります。

読み取り方法はCDと同じです。反射層にレーザー光を照射し、反射光を読み取ります。ピット(くぼみ)にあたった部分は光の回折で反射光が少なくなり、ランド(平らな面)に照射された光はほぼ全量反射されます。光ヘッドの光検出器はこの反射光の明暗を電気信号に変換します。

読み取りのメカニズム

DVDはCDとの互換が前提ですので、レーザーダイオードはCD用とDVD用の2個を切り換えて使用します。レーザー光はプリズムを経てコリメータレンズに入射し、平行光となって対物レンズに入ります。ここで焦点を絞り込んでメディアの記録面に照射します。ピットに照射されると光は反射されません。ランドに照射されると光は、ほぼ全量が反射され、集光レンズを経て光検出器に入射します。ここで電気信号に変換されます。

DVD用の光ヘッドでは、CDを読み込みも必須条件です。しかし、両者は物理的な条件が異なっています。レーザー光の波長はCDが780nm(ナノメートル、10億分の1m)、DVDは650nmです。記録面は、CDは盤面から1.1mm、DVDは0.6mmです。盤面の記録密度が異なるので、レーザー光のスポット径も異なります。原理図では、レーザーダイオードを2個使用して異なる波長のレーザー光を出力できるようにしています。また、メディアの記録面に焦点を合わせるのに、DVDを読み込むときはレンズの全体を使って開口数を大きくします。CDのときには、レンズの中央部だけを使って開口数を小さくしています。

二層記録、DL (Double Layer、Dual Layer)

DVDの容量は4.7GBですが、市販のDVDにはそれ以上のデータが記録されています。4.7GBは標準的な画質で約2時間分のビデオが記録できますが、映画には2時間を超えるものも少なくありません。この場合、画質を落として記録することもできますが、一般には二層記録と呼ばれる方法で画質維持と長時間記録を実現します。二層記録はひとつの記録面に二重にデータを記録する方法です。構造は次のようになっています。

2枚の記録層が透明な中間層を挟んで配置されます。光ピックアップに近い1層目(レイヤー0記録層と呼びます)には半透明反射記録層、2層目(レイヤー1記録層と呼びます)には通常の反射層が使用されています。
レーザー光は片側から照射して、半透明反射膜からの反射光でレイヤー0記録層の信号を再生し、半透明膜を透過して反射膜記録面の反射光でレイヤー1記録層の信号を再生します。
中間層の厚さは0.55μmで、中間層の厚みの中央が0.6mmになるように作られます。構造上どうしても反射光は弱くなります。そこで2層メディアでは読み取りのハンデを補うためにピット長を1層メディアよりも10%長くしています。そのために、2層記録の容量が単純に4.7GB×2の9.4GBではなく、9.4GB×0.9=8.5GBになっています。

データの記録方法

DVDもCDと同じようにデータは最内周から、らせん状のトラックに記録されます。このトラックの長さはCDが5km、DVDは12kmになるといいます。
DVDメディアをドライブにセットすると、ヘッドは最内周のリードイン領域に移動してそこに記録されているコントロールデータを読み込みます。コントロールデータはDVDファミリー共通の領域で、メディアの種類(ROM、R、RAM、RW)、記録密度、最大転送レート、1層か2層か、データ領域の最終アドレスなどが記録されています。ドライブはこれらを読み取って、データを読み込む設定をします。
次の図はDVDのデータ構造の概念図です。

CDでは読み取りを安定化させるために8ビットを14ビットにするEMF変換を行っていますが、DVDでは8ビットを16ビットに変換します。これを8-16変換といい、8ビットデータは盤面で16ビットに変換して表現されます。16ビットのDVDの方がCDより冗長な気がしますが、実際には、CDは14ビット+マージン3ビットの合計17ビットを使用しますので、DVDの方が1ビット少ないのです。
変換された16ビットはチャンネルビットとよびます。DVDに記録される最小のデータは1456チャンネルビットと32チャンネルビットの同期信号で構成されるフレームです。同期信号にはランダムアクセスできるようにユニークな番号がつけられます。フレームは26個で1セクタを形成します。このセクタが、内周から外周への渦巻き状のトラック上に配置されます。

データフォーマット

DVDは物理フォーマット、ファイルフォーマット、アプリケーションフォーマットのように階層で分類することができます。

物理フォーマットはそのままメディアの種類で、次項で説明します。

UDF(Universal Disc Format)
PCと映像機器で利用できるファイルフォーマットです。DVDの統一標準フォーマットとして規格化されています。異なるOS間でも読み書きができるのが特徴です。映像など、連続した大きなファイルサイズのデータの記録再生を得意としています。
DVD-Video
DVDに映画等のコンテンツを記録するためのフォーマットです。
映像データの圧縮方式はMPEG-2で、映像部分の最大転送レートは9.8Mbpsです。解像度は720×480ドット、水平解像度は500本を実現しています。
映画には、ビスタサイズやシネスコープサイズなど横長で収録されているものが多く、これらの表示方法を選択できる「マルチアスペクト」、最大8カ国語までの音声を収録できる「多国語対応」、複数のストーリーをユーザーが任意に切り替えられる「マルチストーリー」、収録された異なるアングルを、再生時に選択できる「マルチアングル」などの機能が拡張されています。音声はDolby Laboratories社のDolby Digital(AC-3)方式の5.1チャンネル、デジタルサラウンド。音声部分の最大転送レートは448kbpsです。
DVD-Audio
音楽再生を目的としたDVD用の規格です。サンプリング周波数は44.1〜192kHz。量子化ビット数も16/20/24の3種類に対応し、最大6チャンネルまでサポートしています。CDはサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットとなっており、最大74分の録音が可能ですが、同条件でDVDメディアには、7時間24分の録音が可能です。どちらかというと、録音時間延長よりも、クオリティの向上に費やす方向に重点を置くのが普通です。音楽データとは別に静止画像を持つことが可能です。

記録できるメディア 追記型

記録の原理はCD-Rと同様です。容量に余裕があれば追加して記録することができますが、一度記録したデータを消したり書き換えたりすることはできません。後から追加記録することで見えないようにすることはできます。このようなメディアを追記型といいます。DVDの追記型メディアには、DVD-R、DVD+Rがあります。
下図は、追記型DVDメディアの断面です。DVD-R、DVD+Rどちらも断面の構造は同じです。上側の保護層は反射層と記録層を保護するとともにレーベルの印刷面にもなります。反射層は読み取り時のレーザー光を反射するためにアルミなどで作られる薄い膜です。記録層はアゾ系やシアニン系の有機色素の膜で通常は光を通します。保護層(基盤)は透明なポリカーボネートです。

記録層の有機色素はDVDの波長650nmのレーザー光に反応するようになっています。記録用の強いレーザー光を照射すると、記録層の有機色素の光が当たった部分だけが焦げてしまいます。焦げて変色した部分は光を通さなくなります。この焦げた部分がピットの役割をし、光を反射しません。焦げていない部分はランドの働きをし、読み取り時に照射されるレーザー光を反射します。この反射光を光ヘッドが読み取って電気信号に変換します。
記録層はレーザー光で「焼かれて」しまいますので、元に戻すことができません。したがって消したり、書き換えたりすることはできないのです。
追記の方法には、メディアに一気に書き込むディスクアトワンスと複数回に分けて追記するインクリメンタルライトの2方式があります。インクリメンタルライトにはCD-Rのトラックアトワンスに相当するマルチボーダー(DVD-R)、マルチセッション(DVD+R)と、パケットライトの2方式があります。追記型では、記録終了時にファイナライズを行って、DVD-ROMとの互換をとります。
DVD+R、DVD-R には、DVD−R DL(DVD−R Double Layer)、DVD+R DL(DVD+R Double Layer)という2層記録用メディアがあります。メディアは次のような構造です。

記録面は、DVD-R、DVD+Rそれぞれと同じように、溝が切ってあります。記録面が二層になっています。そのため、レイヤー1記録層への読み書き時には、レイヤー0記録層の影響が無視できません。そこでレイヤー0記録層はDVD-ROMの反射率と同等の反射率18%程度にし、レイヤー0記録層での光の吸収を考慮して、レイヤー1記録層の色素は光への反応感度を高くし、反射層の反射率も50%と高くしています。

DVD-R(DVD-Recordable)

「DVDフォーラム」により規格化された追記型のDVDメディアです。DVDメディアの中で最もポピュラーです。記録後のディスクはDVD-ROMディスクと全く同一の構成で、記録されるデータフォーマットも同じです。したがって、ほとんどのプレーヤーやドライブで読み込むことができます。互換性がもっとも高いメディアです。
メディアの盤面には溝が刻んであります。これをグルーブといい、メディア上の書き込み位置を案内するための溝です。溝は規則正しく左右に蛇行しています。これをウォブルといい、書き込み位置を案内するためのものです。こうした記録のための盤面の加工をプリフォーマットといいます。
DVD-Rのプリフォーマットの特徴は、ランドに規則的にピットが作ってあることです。これをプリピットといいます。ドライブは、ウォブルの周期を検知しスピンドルモーターの回転を制御します。データ記録時にはプリピットを読み取って高精度なアドレス管理(記録位置決め)を行っています。データはグルーブ部分に記録されます。

DVD-R DL(二層記録メディア)の記録面や記録のしくみも同じです。ただし2層構造なので、最初に記録されるレイヤー0記録層は内側から外に向かって記録されますが、レイヤー1記録層では外側から内側に向かって記録されます。

DVD+R

「DVD+RWアライアンス」により規格化されています。
DVD+Rは、DVD+RWの基本的な特性をそのままに書き換え不要な追記型メディアにしたものです。書き換え型のDVD+RWよりもあとに発表されています。追記型が先行し、後から書き換え型が登場したDVD-R・DVD-RWとは逆になっています。
DVD+Rメディアの特長は、アドレス精度が高いDVD+RWのメリットを生かした「ロスレスリンキング」です。追記時に発生しやすい継ぎ目のギャップを防ぐ技術です。詳しくはDVD+RWの項をご覧ください。
DVD+Rメディアには、グルーブという案内用の溝と、ウォブルというグルーブの壁の左右への蛇行がプリフォーマットされています。DVD-Rのようなプリピットはありません。そのかわりに、ウォブルがDVD-Rよりも高密度になっており、このウォブルを読み取ることで精度の高いアドレス管理を実現しています。データはグルーブ部分に記録されます。

DVD+R DL(二層記録メディア)でも記録面や記録のしくみも同じです。DVD-R DLと同様で、記録方法は最初に記録されるレイヤー0記録層は内側から外に向かって記録されますが、レイヤー1記録層では外側から内側に向かって記録されます。

記録できるメディア 書き換え型

MOやFDのように書き換えができるメディアです。
書き換え型のDVDメディアには、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAMがあります。
下図は、書き換え型メディアDVD-RW、DVD+RWの断面です。反射層は読み取り時のレーザー光を反射するためにアルミなどで作られる薄い膜です。記録層は相変化を起こしやすいカルコゲン化物を含んだ材料でできています。この記録層を誘電体による保護層が挟んで、高温になる記録層の影響が他の層に及ばないようにしています。
反射率が片面2層のDVD-ROMと同じ18〜30%と他のDVDメディアと比較して低くなっています。

書き換えの原理は、記録層の相変化によるものです。
相とは物質のある状態のことをいいます。物質が結晶の状態を結晶相といいます。非結晶の状態を非晶質相、アモルファスともいいます。結晶相の記録層をレーザー光で約600℃に熱して非晶質相に変化させます。これを急激に冷やすことで非晶質相のまま固まります。この部分がピットのはたらきをします。結晶相の部分がランドになります。消去時には記録時よりも弱いレーザー光を一定時間照射し、約200℃に熱して緩やかに冷却することですることで結晶状態に戻します。高温による加熱と低温による加熱を繰り返して、記録、消去を行っています。DVD-RW、DVD+RWでは約1000回の書き換えが可能とされています。

DVD-RW

「DVDフォーラム」により規格化された書き換え可能なDVDメディアです。
データの記録をDVD-Rと同様の方式で行っており、そのためにDVD-ROMとの互換性が高く、多くのDVDドライブで再生が可能です。
メディアはDVD-Rと同じようにプリフォーマットされています。ランドに規則的にピットが作ってあり、これをプリピットといいます。記録面には、グルーブという書き込み案内用の溝があります。グルーブの壁はウォブルといい規則的に左右に蛇行しています。ドライブは、このウォブルの周期を検知しスピンドルモーターの回転を制御します。データ記録時にはプリピットを読み取って高精度なアドレス管理(記録位置決め)を行っています。データはグルーブ部分に記録されます。

DVD+RW

「DVD+RWアライアンス」により規格化された書き換え可能なDVDメディアです。
DVD+RWの特長は、アドレス精度が高いことです。そのメリットを活かしたのが、「ロスレスリンキング」という機能です。データの追記した時に発生する追記データ間のつなぎ目のギャップをなくします。追記されたデータを連続して読み込むときに、つなぎ目のギャップでデータが連続していないとDVDドライブはそこで読み込みを停止することがあります。DVD+RWやDVD+Rはロスレスリンキングでこれを防止することができます。ロスレスリンキングは、ディスク上の長さにして1μm以下の精度で書き継ぎを行い、書き継ぎ時に失われたデータもエラーコレクション機構によって十分回復できるレベルにしています。

DVD+RWメディアには、グルーブという案内用の溝と、ウォブルというグルーブの壁の左右への蛇行がプリフォーマットされています。DVD-RWのようなプリピットはありません。そのかわりに、ウォブルがDVD-Rよりも高密度になっており、このウォブルを読み取ることで精度の高いアドレス管理を実現しています。データはグルーブ部分に記録されます。

DVD-RAM (DVD-Random Access Memory)

「DVDフォーラム」により規格化された書き換え可能なDVDメディアです。 PD(Phase Change Disk、ピーディー)の後継技術として1997年に登場しました。そのため、DVD-RAM規格Version1.0では、容量もPDの4倍の2.6GB、PDと同様にカートリッジ方式を採用していましたし、ドライブもPD互換でした。その後、DVD−RAM Version2にいたって他のDVDメディアとの互換のため、容量が4.7GBになり、その時点でPD互換はなくなりました。もともとPDがデータ記録用であったことから、DVD-RAMはPCとの親和性が高く、MOのようにデータをドラッグ&ドロップするだけで手軽に記録、消去、書き換えが可能です。
下図は、DVD-RAMの断面です。DVD-RAMは数万回のくり返し記録や消去を行うことができます。これは、その回数分の加熱と冷却に耐える構造が必要であることを意味します。そのため、記録層の熱がメディア全体に影響しないように厳重に保護する構造になっています。

DVD−RAMは他のDVDメディアとは異なる点がいくつかあります。

  • ディスクの回転方法がZCLV(Zone Constant Liner Velocity)です。 ディスクを内周からいくつかのゾーンに分け、それぞれのゾーンの線速度を一定に保つ方式。内周、外周に関わらず光ヘッドに対する記録面の速度が一定になり、記録密度を上げることができます。
  • トラックピッチが0.615μmで、他のDVDメディアよりも狭くなっています。
  • ランドとグルーブの両方にデータを記録します。
  • メディアの欠損管理機構を搭載しています。
    ディスク上に発生した欠損をあらかじめ用意されたスペア領域で代替する機能です。
  • カートリッジに入ったタイプがあります。
    カートリッジなしもあり、ディスクのサイズとカートリッジから取り出せるかどうかで、Type1(密封型でディスクを取り出せない)、Type2(片面ディスクで取り出し可能)、Type4(両面で取り出し可能型)、Type6(80mm両面ディスクでカートリッジ取り出し可能型)などがあります。

PCとの親和性が高く、汎用性に優れたメディアですが、以上のようにドライブやプレーヤーのハードウェアの条件が、他のDVDメディアと互換性がとりづらいのも事実で、非対応のプレーヤーやドライブも少なくありません。

DVD-RAMの記録面も他のメディアと同様にグルーブという案内溝があります。グルーブの壁面が蛇行するウォブルもあります。さらに1セクタごとにアドレス信号が記録されています。DVD-RAMは、セクタのアドレス信号を読みながら、ウォブルとランドの両方に情報を記録します。ウォブルグルーブ方式といい、高い記録密度を実現します。
記録方式はDVD-RWやDVD+RWと同じ相変化記録方式で、結晶状態の記録層をレーザー光で加熱して非晶質相に変化させます。これを急激に冷やすことで非晶質相のまま固めます。この部分がピットのはたらきをします。結晶相の部分がランドになります。消去時には記録時よりも弱いレーザー光を一定時間照射し、低温で加熱して緩やかに冷却することですることで結晶状態に戻します。高温による加熱と低温による加熱を繰り返して、記録、消去を行います。

以上のように、DVDは記録できるものだけで5種類(2層書き込みを含めると7種類)もあります。これだけでも選択に迷いそうなのに、さらにDVDはBlu-ray DiscとHD DVDという二つの規格が次世代の標準を狙って競争を繰り広げています。次回は、次世代規格DVDはどうなっているのか、また、光メディアのデジタル記録に伴う著作権についてお話しします。

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