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第10回 データを光で記録する

FDからMOやCDへ、そしてDVD、さらに市場に登場し始めた次世代DVDなど、光で記録するメディアへの注目度が高まっています。2006年秋以降、Blu-ray Disc、HD DVDの次世代DVDメディアを採用する製品が市場に投入されました。光メディアは、ハイビジョン放送、デジタル放送、高画質ゲームなどの映像分野への利用が期待されています。
この光メディアについて、3回にわたってお話します。
第10回は、PCに搭載された初めての光メディアであるCD、CD-R、CD-RWの基礎知識。第11回は、今日の光メディアの中心となっているDVDについて。第12回は次世代DVDと呼ばれるBlu-ray Disc、HD DVDと、光メディアの著作権保護について解説します。


メディアの種類

メディア(媒体)とはデータを記録して持ち歩くための「いれもの」です。

データを記録してPC本体から簡単にとりはずしたり交換したりできるものということになります。記録の方法には、ハードディスクやFD(フロッピィディスク)、磁気テープのように磁気を使うもの、フラッシュメモリのように半導体を使うもの、CD-ROMやDVDのように光を使うものに分けられます。

磁気を使うメディア

FDは容量や記録・再生速度の点からすでに使命を終えており、FDD(フロッピーディスク装置)を内蔵しないPCを見かけることも多くなりました。ハードディスクは固定した装置として使うことが通常で、可搬型のケースに収めて持ち歩くこともありますが、メディアとして使われることは多くありません。磁気テープは大容量データのバックアップ用途に使用されていますが、PCでは一般的ではありません。

半導体を使うメディア

SDメモリカードやメモリスティックなどのフラッシュメモリカードやPCに直接接続して使うUSBメモリが普及しています。規格や形状は異なりますが、フラッシュメモリの応用製品です。記憶容量あたりの単価が高く、データの配布や複数枚を差し替えて利用するような使い方はまだ多くありません。デジカメの写真を記録し、PCに移したら消去して再利用のような一時的な保存用メディアとして利用がほとんどです。

光を使うメディア

CD、DVD、CD-R、DVD-Rなどデータやプログラムの配布、バックアップ、一時的な保存にいたるまでさまざまな用途に使われており、メディアの価格も安く、入手も容易で、今日のデータ記録用メディアの主流となっています。

メディアの種類と価格比較
記録方法 磁気 半導体
機器・メディア HDD SDメモリカード DVD-R
容量(ボリュームゾーン) 250GB 2GB 4.7GB
価格(上記の平均価格、円) 13,600(※1) 7,541(※2) 91.4(※4)
容量(1GB)あたりの単価(円) 54.4 3,771 19.4
現在市販されている最大の容量 1TB 8GB(※3) 8.5GB(※5)

※1バッファローHD-H250FB/M(UATA100 7200rpm、http://www.coneco.net/ 2007年1月31日現在)
※2バッファローRSDC-S2G(2GB SDカード、http://www.coneco.net/ 2007年1月31日現在)
※3 SDメモリカードの上位仕様SDHCの場合(SDHCメモリカード対応機種で使用可能)
※4太陽誘電DVD-R47WPYSBA(8倍速DVD-R50枚組、http://www.coneco.net/ 2007年1月31日現在、1枚あたりの価格)
※5 DLの場合8.5GB

光記憶メディアには、再生専用から追記型、書き換え可能型、さらに光だけでなく同時に磁気を使って記録するものなど、次のような種類があります。
今回は、以下のメディアの中からCD、CD-ROM、CD-R、CD-RWについて説明します。

CDの基礎知識

最近のPC環境ではOSをはじめソフトウェアの多くがCD-ROMで供給されています。このCD-ROMの元になったのは、1984年に登場した音楽用CD(CD-DA、 Compact Disc Digital Audio)の規格です。サンプリング周波数44.1kHz、量子化16ビットのPCM方式でデジタル録音され、直径12cmまたは8cm、厚さ1.2mmのディスクに74分から約80分のデジタルオーディオ信号が録音されています(12cmの場合)。この音楽用CDから、今日、PC用として盛んに利用されているCD-ROM、CD-R、CD-RWが誕生しました。始めにCD-DAで、CDメディアの構造やしくみを説明しておきましょう。

CDメディアの構造

音楽情報は、CD-DAの盤上のピット(くぼみ)とランド(平面)の凹凸の組み合わせで記録されています。CDのピットは次のような寸法です。

人間の毛髪の太さが約60μmですから、毛髪1本分に30本以上のトラックが入ることになります。
CDの断片を切り取ると次のような構造になっています。ピットとランドはアルミの反射層に形成されます。それを保護するために上に保護層、さらにその上にレーベルなどを印刷するための印刷層が重ねられます。反射層から印刷層までの厚みは0.1mmです。反射層の下側は1.1mmの厚みを持つ透明なポリカーボネートの基盤です。

この基盤を通してレーザー光を照射して反射光を読み取っています。上図では下から上に向かってレーザー光が照射されます。
読み取りを行うのが光ヘッドです。次の図は光ヘッドの原理図です。

読み取りには波長が780nm(ナノメートル:1/10億メートル)の赤外線レーザー光を使用します。レーザーダイオードから射出されるレーザー光は、コリメータレンズ(※6)で平行光になり、反射ミラーを経由して対物レンズに入ります。対物レンズはレーザー光を絞り込んで、ディスクに照射します。
記録面のランドは鏡面ですから照射されたレーザー光は全量反射されますが、ピットに照射された光は回折を生じて反射される光量は少なくなります。反射光は、反射ミラーを直進して集光レンズで集束されて光検出器に照射されます。光検出器は、この光の明暗を読み取って電気信号に変えて出力します。

※6コリメータレンズ:平行光線を得るためのレンズ。凸レンズの焦点に点光源を置くことで実現できる。

記録のしくみ

次にデータがどのようにCDに記録されているかを説明します。
ハードディスクは同心円状に記録され一つ一つの同心円がトラックです。CDの場合にはデータはらせん状に記録されます。トラックはらせんの線上に連続するように配置されます。このらせんの長さは5kmを超えるといわれています。

このらせんのトラック上に次のようにデータが記録されています。

リードイン・リードアウト

CDの盤面の最内周にリードインという領域があります。最後の曲の後にリードアウトと呼ばれる領域があります。データはリードインとリードアウトに挟まれる状態で記録されています。リードインには、データの始点になる情報とそのセッションのトラック情報やTOC(Table Of Contents、目次情報)が記録されています。Windows Media Playerは、ここを読み取って、CDのトラック番号や曲の長さを表示しています。リードアウトはデータの終了点を示すだけで、データは書き込まれません。

セッション

リードイン領域からデータを含みリードアウト領域までをセッションと呼びます。CD-DAではセッションは1つ(シングルセッションという)ですが、CDの拡張規格ではセッションを複数記録できるもの(マルチセッションという)があります。

トラック

HDDのような同心円ではなく、らせんの線上に連続して配置されます。CD-DAでは収録された曲が1曲ずつ1トラックになっています。1枚のCDには99トラックまで収録することができます。

セクタ

トラックを構成する1/75秒分のデータです。トラックが同心円ではないので、ハードディスクのように規則正しい扇型ではありません。CDの1セクタあたりのデータは2352バイトです。これはセクタが98のフレームという単位に分割され、それぞれのフレームが24バイトのデータで構成されているからです(24バイト×98フレーム=2352バイト)。

フレーム

CD-DAのデータの最小単位です。1フレームに6回分のサンプリングデータが入ります。音楽用CDの分解能は16ビット、ステレオ2チャンネルですから、次のように計算できます。

計算例:16ビット×6サンプル×2チャンネル=192ビット=24バイト

実際に記録されるのはデータに加えて、エラー訂正用のデータ8バイト、サブコード1バイトの合計33バイト、さらに読み取りの安定化のためにEFM変換を行います。8ビットを14ビットに変換して記録します。さらに同期信号24ビット、マージン3ビットで合計588ビットになります。

CIRC(Cross Interleaved Reed-Solomon Code)

エラー訂正のしくみです。
1フレームの24バイトの連続したデータにリードソロモン符号(Reed-Solomon Code)と呼ばれる4バイトのエラー訂正符号を加えます。そしてデータの並びを変えて複数のフレームに分散します(並べ替えることをインターリーブという)。こうすることで、ディスクの傷などの連続エラー(バーストエラー)が生じても、分散されていたデータの並び順をもとに戻せば、連続したエラーが分散され、修復できる可能性があります。
分散された28バイトで構成される1フレームに対し、さらに4バイトのリードソロモン符号を付加して32バイトにします。フレーム内に生じるランダムなエラーを修復するためで、32バイト中2バイトまでのエラー訂正ができます。
このようにデータを分散し、インターリーブの前後でリードソロモン符号を付けるこの方式を、2種類のエラー訂正を行うことから、Cross Interleaved Reed-Solomon Codeと呼びます。

EMF(Eight to Fourteen Modulation)符号化

通常1バイトは8ビットですが、CDの盤上では14ビットで表現されます。CDの盤上で、データの0や1の同じ符号が連続するとピットまたはランドが続いて、読み込みの位置を見失う可能性があります。そこで、こうした連続が起こらないように、8ビットで表現される値を14ビットの特定パターンに置き換えて記録するのがEFM符号化です。
本来の8ビットをデータビット、14ビット化したパターンをチャンネルビットと呼ぶことがあります。CDドライブにはこの変換テーブルが内蔵されているので、チャンネルビットを読み込んで、データビットに変換しています。1フレームの588ビットはチャンネルビットです。セクタ以上では、データビットで表現しています。

サブコード

拡張用のデータ領域です。1フレームあたりに8ビットで、1セクタ(98フレーム)単位で意味を持っています。それぞれのビットは、P、Q、R、S、T、U、V、Wと名付けられた8つのチャンネルに分かれています。Pチャンネルはトラック間の無音部分を示し、Qチャンネルは、トラック番号、トラック内のインデックス番号、トラック内でのそのフレーム位置の経過時間、ディスク内でのフレーム位置の経過時間を示します。R〜Wチャンネルは画像や文字情報等の特殊用途に使用されます。CD-DAを拡張して、文字や画像を表示するCD-TEXTやCD-Gは、このサブコードにデータを格納しています。

CD-ROM(CD Read Only Memory)、データ用のCD

今日のPC環境では、ほとんどの場合、ソフトウェアや大容量のデータがCD-ROMやCD-Rで提供されます。650MB〜740MBと大容量で、軽量で扱いやすく、ローコストで複製できることから、ソフトウェアやコンテンツの配布用メディアとして最適です。
CD-ROMは、CDにデータを記録するために1985年に規格化されたメディアです。CD-ROMの規格をYellow Bookと呼びます。規格書の表紙が黄色だからです。これに対して、CD-DAの規格は規格書の表紙が赤なのでRedBookと呼びます。CD-ROMの規格は、CD-DAが元になっていますので、メディアの物理的な規格や構造、記録、再生方法、データの配置は同じです。しかし、エラー訂正は大きく異なります。CD-DAでは、再生するときに、アナログ的な変化を補完することなどでエラーをカバーすることが可能ですが、データはそうはいかないのです。

メディア CD-DA CD-ROM CD-R CD-RW
規格の呼称 Red Book Yellow Book Orange Book Part II(※7) Orange Book Part III
制定年 1981年 1985年 1990年 1996年
用途 音楽用CD コンピュータのデータ記録用 CD-DA互換の追記型CD 書き換え可能なCD

※7 Orange Book Part IはCD-MO(光磁気記録方式)。CD-MOは普及しなかったが、その技術からMO(光磁気ディスク)が誕生した。

CD-ROMのエラー訂正

CDの場合CIRCによりエラー率は109〜1010ビットにつき1ビット(約12〜118分に1ビット)程度に抑えられますが、CD-ROMではエラー訂正の追加により1012ビット(650MBのCD-ROM 180枚程度に1ビット)につき1ビットに抑えられているといわれます。
CD-ROMにはMode1とMode2の2つの規格を用意しています。
Mode1はエラー訂正付、Mode2エラー訂正なしです。CD-DAでは1セクタすべてがデータとして使用されますが、CD-ROMでは、ランダムアクセスのためのヘッダー情報や予備データを挿入するためにMode1ではセクタあたりのデータは2048バイトになります。
エラー訂正符号としてエラー検出符号EDC、エラー訂正符号ECCが組み込まれています。しかし、CD-ROMでも動画や音楽データなど厳密なエラー訂正よりも容量を重視したい場合があります。そのためにMode2は訂正符号の領域がなく、データを2336バイトに増加しています。その結果、CD-ROM 1枚あたりの容量はMode1で使用すると650MB、Mode2では740MBとなります。

Yellow Bookでは、1枚のメディア上でのMode1とMode2の混在を認めていません。マルチメディア素材のように画像や音声などMode2で記録したいものと、それ以外のプログラムなどを1枚のメディアにまとめたい場合には不都合です。そこで、Mode2を拡張し、エラー処理を追加したのがCD-ROM XA(eXtended Architecture)です。次の図のように、CD-ROM Mode2のユーザーデータ部分にCD-ROM XA独自の情報を記録するサブヘッダーとエラー訂正符号を含む予備データ領域を追加したForm1とサブヘッダーとエラー検出符号だけを組み込んだForm2が規格化されました。

現在ほとんどのCD-ROMがMode1で作成されており、画像や音声を含むものはMode2 Form1で作成されています。

CD-R(CD Recordable)、一度書き込んだら消せない追記型

一度書き込んだら消去することはできませんが、ディスクの容量がいっぱいになるまでは追加して記録できるのが追記型です。記録できるCDとして最もポピュラーなのが、CD-Rです。

メディアの構造

CD-Rは、CDの基盤と反射層の間に有機色素でできた「記録層」が追加されています。レーザー光を反射させるため反射層を半透明の有機色素の膜が覆っているような構造です。

盤面には溝が刻まれています。CD-Rメディアの記録面は、何も記録されていなくても細かな溝で覆われています。この溝がプリグルーブです。データを書き込む位置を案内するための溝です。プリグルーブの壁面は、一定周期で規則正しく左右に波うっています。これをウォブルといいます。グルーブで半径方向の位置が、ウォブルで円周方向の位置がわかるようになっています。

記録のしくみ

記録層の色素は、一定の波長のレーザー光線にだけ反応して性質が変化します。記録用のレーザー光が照射されると変色します。変色した部分がピットの代わりとなって、読み取り時にレーザー光を反射せず、CDと同じようにデータが保存できるのです。一度変色すると、そこは元に戻りません。消去できないのはそのためです。
CD-Rメディアへ書き込む光ヘッドはCD-DAの読み込み用のヘッドとほぼ同じですが、書き込み時には有機色素層を加熱するために、より出力の大きなレーザーダイオードを使用します。
レーザーダイオードは、再生時に0.3mW程度、記録時には4〜11mWの出力を必要とします。レーザーの出力は、記録速度が高速になればなるほど大きいものが必要になり、8倍速で20mWが必要といわれます。

データの書き込み方法

CD-Rへの書き込み方式は、大きく分けると2通りあります。
一度にすべてのデータを書き込むディスクアットワンスと、何度かに分けて追記するインクリメンタルライトです。インクリメンタルライトは、さらに数種類に分けられます。

呼称 ディスクアットワンス インクリメンタルライト
トラックアトワンス セッションアトワンス パケットライト
記録方法 すべてのデータを一度に記録 トラック単位でデータを追記 セッション単位でデータを追記 小さなデータ(パケット)単位で記録
特長 音楽用CDやCO-ROMとの互換性が高い 音楽を1曲ずつ増やすように容量いっぱいまで追記できる 異なる種類のデータを容量いっぱいまで追記できる 専用ソフトでFDのように、手軽な使用感
用途 ソフトや音楽の配布など 定期的なバックアップや履歴管理など 1枚に音楽とデータなど種類の異なるデータの収録 CD-RWのような書換型に便利

ディスクアットワンス

リードイン、データ、リードアウトまでを一度に書き込みます。
後からデータを書き足す「追記」はできません。

トラックアットワンス

インクリメンタルライトを代表する書き込み方式で、トラックごとにデータを書き込みます。メディアの容量に余裕がある限り99トラックまでデータを追加することができます。メディアを効率的に使うことができますが、トラックとトラックのつなぎ目にリンクブロックが作成されます。データを記録している限り問題はありませんが、音楽のようにつなぎ目を作りたくない場合には、トラックアットワンスは不向きです。
リードインとリードアウトは、最後に追記するデータを書き込んだ後に書き込みます。リードインはデータの前にあらかじめ確保されていた領域に書き込まれ、リードアウトは、データの後ろに記録されます。このリードインとリードアウトの書き込みを、「クローズセッション」といいます。
トラックアットワンスでは、一度セッションを終了しても、その後ろに新しいセッションを追記できます。1枚のCD-Rに複数のセッションがあるものを「マルチセッション」といいます。

パケットライト(Packet Write)

CD-RをフロッピィやMOディスクのように使うための特殊な方式です。トラックよりも小さなパケットという単位で書き込みを行います。データはランイン、ランアウトに挟まれて記録されます。記録方法が特殊なので、パケットライトによる書き込みや読み込みは、特別なドライバ・ソフトウェアが必要です。ドライバ形式なので、一度インストールしてしまうと、Windows のエクスプローラからまるでフロッピィやハードディスクのように扱うことができますが、細かいファイルのバックアップに適しています。

セッションアットワンス(Session At Once)

セッションアットワンスは、1つのセッションをディスクアットワンスのように一気に書き込んでしまう方式です。たとえば、CD EXTRAのように第1セッションを音楽CD形式で書き込み、第2セッションにコンピュータのデータを書き込むEnhanced CDを作成する場合に使用します。

CD-RW(CD Rewritable)、何度でも書き換えできるメディア

CD-RWは、FDやMOように記録したり消したりできるCDメディアです。1000回程度までの書き換えが可能とされています。便利なメディアですが、CD-Rに比べてメディアが高価、DVD-RWなど大型メディアの登場、HDDの大容量低価格化、過般型メディアとしてUSBメモリの大容量化・低価格化などの状況下で便利なわりには、CD-Rほど使用されていないのが実情です。

メディアの構造

メディアはCD-Rよりも保護層が増えて七層構造になっています。 CD-RWはレーザー光の熱による記録層の物理的な変化を記録に利用しています。書き換えや消去も同様の原理で行っており、そのために高度な温度管理が必要とされます。
記録時には600度、消去時でも200度に達する温度からメディア全体を守るために記録層と反射層を上下の保護層で守る厳重な構造です。
CD-R同様にグルーブとウォブルで盤上の位置情報を取得できるようになっています。

記録のしくみ

記録層に使われる物質がレーザー光の熱により、結晶質(クリスタル)と非結晶質(アモルファス)に変化することを利用して信号を記録しています。こうした物質の変化を相変化といいます。この性質を使う記録を相変化記録といいます。

記録時

レーザー光で記録層を一気に融点まで熱して、非結晶質状態にします。その状態でレーザー光を止めて急速に冷却すると非結晶質状態のまま固まります。これがピットの役割をします。一方、レーザー光を照射し、記録層が融点には達しない程度まで熱して、徐々に冷却すると記録層は結晶質状態になります。これがランドの役割をします。

消去時

データを消去するときは、溶融はしないが結晶化するには十分という温度になるよう微弱にレーザー光を照射して熱し、それから徐々に冷却することで、非結晶質相は結晶相に戻り、新しい記録が可能な状態にします。

読み取り時

ほかのCDと同じ方法で反射光を読み取りますが、メディアの持つ反射率がCD-Rの65%に対して、15〜25%と低いため、かつてはCD-RWが読み取れないドライブがありました。
記録層に使われる物質は最低でも1000回程度こうした変化を繰り返すことができます。最低1,000回の記録・消去ができるわけです。この1000回は1つのセクタに対しての最低保障で、ディスク全体が1000回しか保障していないわけではありません。パケットライト方式では代替セクタの考え方も導入されており、その場合不良セクタは他のセクタに置き換えられます。少なくとも1000回ディスクにセットしたら使用できないといった誤解は解いておきましょう。

メディア選択時の注意

CD-RWには、従来の4倍速までのメディアに加えて次のようなメディアが出ています。

  • HighSpeed 4〜10倍速
  • UltraSpeed 16〜24倍速
  • UltraSpeed+ 32倍速

これらは専用のメディアと対応ドライブを使用する場合にのみ性能が発揮されるようになっており、たとえばHighSpeed専用メディアは4倍速までのドライブでは読み出しのみ可能で書き込むことはできないので注意が必要です。

CDメディアは徐々にDVDに置き換わりつつあります。PCにもDVDドライブを内蔵する機種が多く、DVDレコーダの普及によりメディアの価格も下がっています。次回は、このDVDメディアを取り上げます。

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