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はじめに
これから12回にわたりコンピュータとは何か、について概略を掲載していきます。コンピュータはどう進化してきたのか、現在コンピュータはどうなっているのか、今後どのように発展していくのかなどを、簡潔にわかりやすく掲載していく予定です。全体像をつかむための一助としていただけたら幸いです。

第1回 そもそもコンピュータって何だった?

以前は電子計算機、電子頭脳などと呼ばれていましたが、現在はコンピュータにまとまったようです。あえて「電脳」という思い入れのある表現も見かけますが、法律上は現在も電子計算機です。

私たちの生活、特に社会生活にとっては不可欠の存在となったコンピュータですが、いつごろから実用になってきたのでしょうか?この記事をお読みになっている方々にはコンピュータの発展を目の当たりにしながら歩んできた方も多いでしょう。まずはコンピュータの歴史をおさらいしてみようと思います。


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コンピュータの歴史

コンピュータのもとを辿ると計算をする機械から発展してきたことがわかります。古くは算盤のような道具に始まり、手動式計算機、電気計算機を経て、電子計算機(コンピュータ)と発達してきました。あのパスカルも1642年に歯車式計算機・パスカリーヌを発明しています。20年ほど前に話題になった第5世代コンピュータという言葉を記憶している方も多いでしょうが、コンピュータの進化の表し方のひとつに「世代」があります。これは純粋に物理的構造での分類なのではっきりしています。

コンピュータの歴史一覧
年代 出来事 社会
1942年 世界初のコンピュータABC ミッドウェー海戦
1943年 COLOSSUS 暗号解読用。真空管2,500本
 
1945年 ノイマン「電子計算機の理論設計序説」 終戦
1946年 世界初の実用コンピュータENIAC 日本国憲法公布
1948年 トランジスタ開発
 
1950年 UNIVAC-1 世界初の商用コンピュータ 朝鮮戦争勃発
1953年 富士通、国産初のリレー式計算機 NHKテレビ放送開始
1956年 富士写真フイルム社FUJIC 日本初の電子計算機 神武景気
1958年 集積回路(IC)開発
1万円札発行
1964年 IBM-360発売 東京オリンピック
1965年 DEC 世界初のミニコンピュータ発売  
1968年 大規模集積回路(LSI)開発
3億円事件
1971年 世界初のマイクロコンピュータ開発 4bit MPU 沖縄返還
1975年 世界初のパソコンALTAIR発売  
1977年 アップル・APPLE-II発売  
1978年 日本初のパソコン発売 日立、シャープ 日中平和友好条約
1981年 IBM-PC発売、富士通FM-8発売  
1984年 アップル・マッキントッシュ発売  
1987年 東芝 世界初のラップトップ型パソコン発売 国鉄民営化
1990年 マイクロソフト実用的ウインドウズWindows3.0発売 バブル崩壊はじまる
(注)年代は文献・資料により開発期間などの関係で1〜2年の誤差がある場合があります。

第1世代は真空管、第2世代はトランジスタ、第3世代はIC、第4世代はLSIとなります。ちなみに第5世代プロジェクトは並列推論マシンの開発を目指しました。

世界初のコンピュータ(電子計算機)は1942(昭和17)年、アメリカ・アイオワ州立大学で開発されたABCですが、これは実用機ではありませんでした。続いて1943(昭和18)年、イギリスで開発された暗号解読用のコロッサス。実用第1号として有名なのは1946(昭和21)年に弾道計算用として開発されたエニアックです。1万8800本の真空管を使用し、重さ30トン、面積は165平方メートル(50坪)あり、これまでの計算機で24時間かかっていた計算を30秒でできるというものでした。

日本では1956(昭和31)年にレンズ設計用として富士写真フィルムの「FUJIC」が開発されていますが、電子計算機の先駆けともいえる国産初のリレー式計算機を1953(昭和28)年に富士通が開発しています。

トランジスタは1948(昭和23)年に発明され、ラジオと同様に、すぐにコンピュータに使われはじめ、小型化、省コスト化、省エネ化に貢献しました。このあたりから技術の進歩に拍車がかかり、IC、そしてLSIへと急激に進化します。

1964(昭和39)年、IBMがシステム360を発売しますが、このコンピュータはこれ以降のコンピュータのモデルとなった製品です。1958(昭和33)年に発明されたICを本格的に使用し、これまで機種ごとに作られていたアーキテクチャーをシリーズで統一した画期的なものでした。こうしたことで、現在では当然になっている、ソフトや周辺機器を共通使用できるようになりました。また、それまでは科学計算用、事務用など目的別に作られていたコンピュータを、初めて汎用としたのもこの機種です。

日本でも1960年代には各社がこぞって開発を進めています。そして1970年代にはIBMの元CEOをして「我が社の最大の驚異は日本だ」と言わしめています。

1969(昭和44)年に世界初のマイクロプロセッサがインテルによって開発されました。この開発には日本の計算機メーカー、ビジコン社が大きく関わっていました。

初めてのパソコン(パーソナルコンピュータ)・アルテアは1975(昭和50)年に現われ、その3年後の1977(昭和52)年に発売されたアップルII(2000ドル)がアメリカで大ヒットします。ここからパソコンは一気に勢力を伸ばし始めました。日本でも1978年には国産初の一体型パソコンが発売されています。

とくに1981(昭和56)年のIBM−PCは現在のパソコンの基本モデルとなりましたし、1984(昭和59)年のアップル・マッキントッシュはパソコンを万人に向けて大きく開いたといえます。

アメリカでパソコンが急速に普及した背景には納税制度との関係があり、納税がすべて申告制のアメリカでは計算ソフトの必要性が高かったことによります。日本ではゲームとワープロが牽引したようですが、アメリカでは計算ソフトが牽引役を引き受けたようです。


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今後の社会とコンピュータ

現在、ユビキタス時代といわれ、どこにでもコンピュータがあり、誰でも簡単に使える、しかもネットワークで結ばれ、居る場所・時間に関係なくコミュニケーションが取れるようになってきています。大型コンピュータの能力はどんどん高くなり、すでに「スーパーコンピュータ」という呼び方もあまり使われなくなりました。また、パソコンの高性能化は、そのほかの電子機器との境界線があいまいになりつつあります。とくにAV関連はパソコンさえあれば、テレビもビデオもCD・MDプレーヤーも不要な時代になってきました。もちろん、これらの機器にもしっかりコンピュータは使われていて、たとえば、携帯電話、自動車、カーナビ、デジタルカメラ・ビデオ、冷蔵庫など家電でも大いに使われています。さらに電子手帳に始まったPDAと呼ばれる小型パソコンも、すっかり根付いています。

世界初のパソコンができてから30年強、簡単に使えるパソコン(アップル・マッキントッシュ)になってからは20年が過ぎたところです。日本での本格的な普及といえば、ウインドウズ95以降のここ10年であり、インターネットのために誰でもパソコンを使うような状況はこの5年というところでしょうか。一家に1台以上のパソコンが当たり前、という状況は、今後の私たちの生活をどう変化させていくのか楽しみでもあり、ちょっと怖くもあります。

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タイトル一覧
第1回   そもそもコンピュータって何だった?
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