第7回 ブラウザを使いこなそう前回までは、ブラウザの設定でセキュリティやプライバシーを守るお話しをしました。今回からは、守りを固めた後、ブラウザを活用する方法をお話ししていきます。 【今回登場するキーワード】
Webサイトへのアクセスを支援する機能として、最初に「お気に入り」とオートコンプリート機能についてお話しします。次に、Webサイトで集めた情報をPCに保存してオフラインで利用したり、紙に出力して読み直すというような、情報活用のためのWebページの保存と印刷について説明します。そして、最後に閲覧をより便利にするタブブラウザを紹介します。 アクセスをよりスムーズに目的のWebサイトを表示させるためには、表示中のWebページのリンクをクリックする、アドレスバーに直接URLを入力する、お気に入りから選択する、履歴から選択する、といった方法があります。この中で特定のWebサイトを閲覧したいときに最も利用されるのが、お気に入りです(お気に入りはInternet Explorer(IE)で使用されている機能名です。他のブラウザでは「ブックマーク」とか「しおり」と呼ばれることもあります。本稿では最もユーザーの多いIEで使われている「お気に入り」と表記します)。機能や基本的な操作方法は説明するまでありません。ここでは、閲覧をより便利にするお気に入りの使い方を紹介します。 お気に入りを整理するお気に入りは登録したいページを表示させて「お気に入り」メニューで「お気に入りに追加」を選ぶだけで登録できます。ドラック&ドロップでも登録できます。アドレスバーに表示されているアイコンをドラックして「お気に入り」メニューに重ねるとお気に入りメニューが開きますので、続けてメニュー上の登録したい位置にドロップします。 上図はお気に入りの整理画面ですが、Windows Explorerなどによるファイル操作に慣れた方には、使い勝手がよくありません。そこで、お気に入りメニューでお気に入りの整理を選ぶときにShiftキーを押しながらクリックします。すると次のようなウィンドウが表示されます。これは、マイコンピュータでなじみ深いWindowsのフォルダそのものです。 ここでは通常どおりのWindows Explorerの操作でコピーや切り取り、ファイル名の変更、フォルダの作成、削除を行うことができます。つまり、上の画面から分かるように、お気に入りは、登録されたURLが一つひとつショートカットファイルとして、Favoriteというフォルダに収められたものであることが分かります。このショートカットアイコンは、Favoriteフォルダ以外の場所に置いて使うこともできます。次はその応用例です。 URLのショートカットで素早くアクセスWebサイトで行っていた調べものを一時中断したり、翌日に持ち越すといった場合、引き続き使いたいURLをそのつどブラウザのお気に入りに登録していると調べものが終わってから後のお気に入りの整理が大変です。そんなときは、URLをお気に入りメニュー以外の場所に保存しておきます。例えば、デスクトップなどに専用のフォルダを作り、そこにURLのショートカットを保存するのです。 作成したURLのショートカットを利用するときは、開いているブラウザにショートカットのアイコンをドラック&ドロップします。ブラウザが起動していない時は、ダブルクリックするとブラウザが起動し直接そのページを開きます。毎日、必ずアクセスするポータルサイトなどは、ショートカットをデスクトップに作っておくと便利です。 ショートカットアイコンをドラックしてお気に入りメニューに重ねると、お気に入りメニューが開きます。登録したい位置までドラック&ドロップします。フォルダごと一括して登録することもできます。 少しだけ秘密にしたいお気に入りは高度な秘密ではないが、他の人の目に触れさせたくないお気に入りはメニューから隠しておきましょう。Shiftキーを押しながら「お気に入り」メニューの「お気に入りの整理」をクリックしてFavoriteフォルダを表示させます。隠したいショートカットやフォルダのプロパティを表示させます(右クリックして表示されるメニューから「プロパティ」を選ぶ)。 「全般」タブの属性で「隠しファイル」にチェックを付けます。これで、「お気に入り」メニューに表示されなくなります。このお気に入りを利用するときは、お気に入りバーを使います。お気に入りバーは、「表示」メニューの「エクスプローラーバー」−「お気に入り」で画面に表示されるお気に入りのリストです。ここには隠す設定にしたお気に入りも表示されます。 お気に入りバー(左側)に表示されている「部長会掲示板<重要>」が、お気に入りメニュー(右側)には表示されていません。通常、画面が狭くなるなどの理由でお気に入りバーは利用せず、お気に入りメニューでの利用が多いため、メニュー表示を隠すだけでも効果は望めます。 お気に入りからリンク集を作るブラウザのエクスポート機能を使って、お気に入りをリンク集としてHTMLファイルにまとめることができます。お気に入り全体またはお気に入りの中のフォルダ単位で作ることができます。 この機能は、報告書に添付する参考URLリストなどのリンク集の作成に利用することができます。デスクトップに保存したURLのショートカットファイルをフォルダにまとめて、お気に入りに登録します。このフォルダを、ブラウザのお気に入りのエクスポート機能を使って、HTMLのリンク集としてエクスポートすると、正確なWebページのタイトルとURLのリストができあがります。 さらに、ブラウザには頻繁にアクセスするWebサイトのURLや認証画面、フォームへの入力時に、便利なオートコンプリートという機能が用意されています。次の項で説明しましょう。 入力を助けてくれるオートコンプリートオートコンプリートとは、過去に入力した内容を記憶しておき、Webサイトのアドレス、検索サイトの検索ワード履歴、Webサイトのアンケート入力フォームなどで入力の際に、記憶された文字を自動的に表示して入力を助ける機能です。入力欄に文字を入れると、その後の内容を予想して候補を表示したり、入力欄をダブルクリックするだけで過去の入力履歴を表示、選択することができます。パスワードやIDの入力画面では、ユーザー名を入力した際に以前入力したパスワードを自動的に入力してくれたりする大変便利な機能です。この機能を活用しない手はありません。 オートコンプリートの便利さと安全性を調整オートコンプリートは便利さの反面で、パスワードやID、フォームの入力内容をブラウザに残すことになり、前回までに説明したようにセキュリティやプライバシー保護の観点から無防備な利用はお勧めできません。共有のPCや自分以外の人が使用する可能性があるPCでは、履歴を見られたり、ユーザー認証が必要なWebサイトに他人がログインできたりする可能性があります。そこで、オートコンプリートをどこまで利用するかあらかじめ設定しておくことをお勧めします。IEのツールメニューから[インターネット オプション]を選択します。[コンテンツ]タブを選び、「オートコンプリート」ボタンをクリックすると、[オートコンプリートの設定]ダイアログが表示されます。ここで、どのような時にオートコンプリートを機能させるかを設定します。 使用目的のチェックボックスでオートコンプリートを有効にする範囲を設定します。オートコンプリートを利用しない場合は、すべてのチェックをオフにします。
共用のPCでなければ、フォームのユーザー名およびパスワードは有効に設定しておき、悪用されると深刻な被害を生じるもののみ手動で管理するのが現実的な利用法と言えます。Web閲覧中に、IDやパスワードを入力した後、次のようなダイアログをご覧になったことがあるかと思います。これは「フォームのユーザー名とパスワード」、「パスワードを保存する確認をする」が有効になっているときに表示されますが、この画面でオートコンプリートを手動で管理します。 「これ以上パスワードを記憶させない」にチェックを付けるとオートコンプリート設定画面の「パスワードを保存する確認をする」を無効にしたのと同じことになり、これ以降パスワードは保存されなくなります。「はい」を選択すると直前に入力したパスワードが保存されます。いいえを保存すると直前に入力したパスワードは保存されません。 履歴を削除する−オートコンプリートのメンテナンスオートコンプリートを有効にしていると、さまざまな履歴がPCに保存されています。多岐にわたるWebサイトのフォームで入力したユーザー名、パスワードの履歴がPCに保存されており、思いがけないところでそれらが表示されることがあります。場合によっては個人情報の流出につながる可能性があります。そのため、定期的にオートコンプリートの履歴を削除し、再構築することをお勧めします。 IE6では「フォームのクリア」、「パスワードのクリア」をクリックします。IE7では「フォームの削除」、「パスワードの削除」をクリックします。 Webページを取り置きするWebを閲覧していくうちに、これは取っておきたい、後からしっかり読み直したい、といったWebページに遭遇したときに、どのようにされていますか。お気に入りに登録、URLをコピーしてノートパッドなどに貼っておく、ショートカットをデスクトップに保存(前述)、名前を付けてページを保存するなどの方法があります。 Webページをまるごと保存お気に入りに登録しておけば十分と感じられますが、Webサイトの更新頻度が高くなっており、いつでもそのときのままのWebページが見られるとは限りません。アクセスしたらWebページが移動したり、削除されていたり、コンテンツが編集されて目的の文章や画像がなくなっていたりしたことはないでしょうか。また、オフラインで読み直したり、ノートPCなどの場合にはインターネットに接続できない環境で見ることもあるでしょう。こうしたときのためには、Webページのファイルを確実に表示できる状態で保存しておくことが必要になります。それには、「Webページに名前を付けて保存する」で、ページを丸ごと保存する方法をお勧めします。 ここで注意しなければならないのが、ファイルの種類です。用途によって保存するファイルの形式が異なります。以下のファイルの種類から選びます。
Webページを確実に表示できる状態でPCに保存しておくことを目的にすると、「Webページ、完全」または「Webアーカイブ、単一のファイル」で保存します。前者は、WebページをWebサーバと同様の構成で保存します。通常Webページは、HTMLファイルとその中に記載されているリンクされた画像や動画、音声ファイルなどの複数のファイルで1ページが構成されています。完全保存では、これらをWebサーバにあるのと同じように一つひとつ独立したファイルとして保存します。そのため、ファイル数が多くなり、Webページの保存数が増えてくると、管理が大変になります。一方で、そのページの画像ファイルがすべて分離して保存されますので、画像だけを利用したい場合には便利です。 ひとつのファイルまとめて保存Webページを1ファイルにまとめて保存するのが、前項で紹介した「Webアーカイブ、単一のファイル」というファイル形式です。 WebページのHTMLファイルと画像などが一緒に1つのファイルにまとめられて、拡張子「.mht」のMHTML文書として保存します。本来は、メールにWebページを添付して送るために作られたファイル形式と言われています。HTMLに画像が埋め込まれており、必要なときにテキストや画像をクリップボードへコピーすることも可能です。WebページのHTMLファイルよりもファイルサイズは大きくなります。保存したファイルはダブルクリックすれば通常通りIEで表示できます。 Webページを紙に出力するソフトや機械の取扱説明書がWebに掲載されている場合など印刷して利用したい場合があります。Webページを通勤の途中で読んだり、説明資料として配布したりするなどWebページの印刷が必要になることも少なくありません。 意外に難しいWebページの印刷Webは画面に表示させるためのもので、印刷することは前提にしていないという考え方があり、IE6までのInternet Explorerでは、Webページの印刷は意外に難しいものです。幅の広いページでは右端が切れる、中途半端にページがはみ出す、余白の設定が数値でしかできない、などWebページを簡単に思い通りに印刷できません。IE6までのブラウザでWebページを印刷する場合には、プリンタに付属するWeb印刷用ユーティリティソフトや、市販のWeb印刷用ユーティリティソフトの利用をお勧めします。また、印刷用に後述の別のブラウザを用意する方法もあります(ただしIE6とIE7を1台のPCに混在させることは推奨できません)。 FirefoxやOpera、IE7では、用紙に合わせて印刷することができます。IE7では、横幅の広いページを用紙からはみ出さないように印刷することができるようになりました。自動的に文字を縮小し、印刷用紙に収めます。次の図は、IE6とIE7で比較した結果です。IE6では、ページ全体の左側3分の1程度が印刷用紙からはみ出て、うまく印刷できませんでしたが、IE7はページ全体を縮小して印刷用紙に収まっています。 この他、IE7では、ヘッダやフッタのオン・オフ操作が簡単になり、用紙の上下左右の余白を印刷プレビュー画面で調整することができるようになるなど、印刷機能はIE6に比べて格段に向上しています。 この他、IE7では、ヘッダやフッタのオン・オフ操作が簡単になり、用紙の上下左右の余白を印刷プレビュー画面で調整することができるようになるなど、印刷機能はIE6に比べて格段に向上しています。FirefoxやOperaも同等の印刷機能を備えています。IE6を使い続ける場合、印刷専用に別のブラウザを用意することを検討してもよいかもしれません。 選択した部分だけを印刷するWebサイトの中には、広告が大きな面積を占めていたり、大きな画像が使われていたりして、できれば本文だけを印刷したいという場合があります。そうした時に、印刷ダイアログの「選択した部分」を印刷する機能を利用します。Webページの不要な部分を省いて印刷し、用紙に収めるようにすることもできます。操作方法は次の通りです。 ファイルメニューの印刷を選びます。 「印刷」をクリックして、印刷を実行します。 この機能で、Webページ中の広告以外の部分を選択したり、表の特定の列だけを印刷したりするといったことにも使うことができます。ただし、複雑なHTMLコーディングのWebページでは、正しく印刷できない場合もあるようなので注意してください。この方法では、印刷プレビューで印刷結果を事前に見ることはできないのが難点ですが、必要な箇所だけをメモがわりに印刷するときに大変便利です。 1つのウィンドウを切り換えて表示する−タブブラウザのすすめWebサイトでの調べものなどでリンクを次々に開いていくと、いつの間にか画面に多くのブラウザウィンドウが開いていて、前に戻って見直したい場合に困ることがあります。ウィンドウが異なると、戻るボタンで戻れないこともあり、画面の大きさもまちまちで目で見て探すのにも苦労することがあります。画面に数多くのウィンドウを開いていくことは、PCのメモリを消費します。複数のアプリケーションを同時に開いている場合には、メモリの制約から動作が不安定になることがあります。こうしたときに便利なのが、タブブラウザです。 さらに、ウィンドウを一つしか使わないために、メインメモリの消費を少なくする効果があります。次々にブラウザウィンドウを開き続けるブラウザクラッシャーという悪質ないたずらもタブを閉じるだけで回避することができます。
タブをグループで操作することができるのも便利です。例えば、ブラウザのホームページ(起動時に表示するページ)を複数のタブをまとめてタブグループに設定すれば、ブラウザの起動時にそれらのWebページがウィンドウに読み込まれます。ブラウザを閉じるときに、現在表示中の複数のWebページのタブをグループとして次回ブラウザの起動時にそれらを読み込むことも可能です。 ブラウザはもっと使えるブラウザは、情報の海と言われるインターネットから必要な情報を得るためのツールです。そのためにブラウザに装備されたナビゲータが、お気に入りやオートコンプリートです。そこで得られた情報を活用するための機能が保存や印刷です。いずれも初期のブラウザから装備されている機能です。それだけに使い勝手は洗練されており、ユーザーも使い方に困ることはありません。しかし、一歩踏み込んでそれらの機能や仕組みを知っておくと、さらにブラウザを便利に使えるようになります。例えばお気に入りのエクスポート機能をリンク集作成ツールにしたり、mhtで保存したページをノートPCに保存してオフラインで閲覧するといった応用ができるようになります。ブラウザにはまだまだ便利な機能が数多く装備されています。情報活用ツールとしてブラウザの潜在能力をもっと活用しましょう。 おさらい
参考リンク
|
All Rights Reserved, Copyright(C) FUJITSUファミリ会 |