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UPTODATE 新時代のネットワーク、IP-VPN
富士通(株)   ネットワークサービス本部
マーケティング統括部   アウトソーシングビジネス推進部
村田 亮
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情報共有やmailだけでなく、基幹業務アプリケーションのWeb化や企業のインターネット利用が進み、社内ネットワークのIP化がますます進んできました。
このような環境に対応した新しいネットワークサービスがあります。インターネットの技術をベースにし、あたかも自社専用で使えるネットワーク、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Networkの略称)です。2001年末のある調査では、今後の企業内ネットワークとしてIP-VPNの導入を検討中の企業が約50%という結果が出ているほどです。ブロードバンドにも対応、付加価値サービスも充実した、今年最も注目されるIP-VPNサービスをご紹介します。

IP-VPNとは

「現実的なコストで、数人の営業所も含めてすべてをネットワークでつなぐ」「広帯域な回線を安価に利用したい」「専用線だけではなく、ADSL、モバイルでの接続を行いたい」など、従来の専用線での接続やフレームリレーでは実現が難しかった利用形態が、IP-VPNならば可能です。IP-VPNは文字通りIP専用に構築されたネットワークです。しかし、インターネットとは違い、ほかからは絶対に情報を盗まれないよう閉域性を確保しながら、通信事業者が用意した大規模なネットワークを共用で利用するのが、IP-VPNサービスです。これにより、質の高い情報を全国の拠点でスピーディーに共有できるのです。

IP-VPNの特長

IPネットワークインフラ

■経済性(TOC削減)

大きな投資をして自社でネットワークの仕組みをつくる必要はありません。
IP-VPNでは、基盤となる大きなネットワーク(バックボーン)は通信事業者が用意しています。お客さまはそこに接続するだけです。旧来の専用線やISDNなどを利用する場合、距離に比例して料金が発生するため、遠く離れた事業所を接続する場合には利用料金が高くつくケースが多くみられました。
ところがIP-VPNでは、通信事業者が用意したネットワークのアクセスポイントが全国にあります。ですから企業は本社も支店もすべて、近くのアクセスポイントに接続するだけでよいのです。本社との距離は通信料金に関係ありません。さらに一部の通信事業者では、アクセスポイントまでの通信料金を全国一律に設定しています。だから本社との距離どころか、アクセスポイントとの距離も関係ありません。近くの支店でも、遠くにある支店でも、同じコストでネットワークに接続が可能です。IP-VPNは共同利用型のネットワークなので、利用料金を安く設定することができるのです。

■信頼性(セキュリティ確保)

企業が利用するネットワークとしてセキュリティに心配はないのか、といった不安を感じていませんか。そんな心配も、IP-VPNには不要です。IP-VPNは大きなネットワークを共同で利用していますが、それと同時に、セキュリティを高めるためにMPLS(*1)という技術を駆使して、それぞれのネットワークを独立した状態にしています。自社のネットワークは自社だけが使える、他社のネットワークとは絶対つながらない。専用線並みのセキュリティを確保できるネットワークです。
IP-VPNサービスは大きなネットワークを共同で利用しているから、利用料金は安い。専用ネットワークだから、セキュリティは万全。この2つが、見事に成り立つネットワークサービスなのです。

■拡張性

多くの通信事業者が、事業所の規模や仕事の形態に合わせ、IP-VPN網に接続するためのさまざまなアクセス回線を用意しています。社員の多い事業所なら専用線、社員の少ない事業所ならADSL。外回り中心の営業部員にはモバイル接続が可能なダイヤルアップ。これにより数人の営業所でも、大規模な事業所でも、規模に見合ったコストでネットワークに接続が可能になります。IP-VPNサービスは、今後もFTTHやモバイル常時接続などのブロードバンドサービスへの対応も予定されている、拡張性の高いサービスなのです。
また、IP-VPNはインターネットと同じ技術を使っていますから、インターネットにもシームレスに接続が可能です。

■運用の容易性

IP-VPNは接続先の増減に簡単に対応できます。専用線やフレームリレーなど旧来のネットワークだと、接続する支店の増減時にシステム全体の見直しが必要になり、ネットワークの変更にともなうコストがかかりました。
でもIP-VPNは、支店が増えたら回線を1本増すだけ、減ったら1本解約するだけ。データ量が増えれば対象となる拠点の速度をアップするだけ。
接続先の増減や変更が他の支店や本社には影響しないため、余分なコストがかかりません。ですから、建設業のようにデータ量が多く現場が次々と変わるような業種にとっては、大きなメリットとなるといえるでしょう。

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FENICSビジネスIPネットワークサービス

FENICSビジネスIPネットワークサービス 概要

富士通では現在、以下のような特長を持つIP-VPNサービスを「FENICSビジネスIPネットワークサービス」(ビジネスIP)という名称でご提供しています。

(1)高レベルのセキュリティ
高いセキュリティを確保したIP-VPN網を支えるために、FENICS監視センターが24時間365日の体制でネットワークを監視しています。
(2)多様なアクセス回線に対応
ビジネスIP網に接続するためのアクセス回線は、専用線接続や200箇所以上のアクセスポイントを用意したダイヤルアップ接続はもちろんのこと、「フレッツ・ADSL」「フレッツ・ISDN」を利用した定額・常時接続、ホールセール型のADSL接続にも対応しています。
(3)インターネットとのシームレスな接続がオプションで可能
ビジネスIP網から超高速のインターネットバックボーンに直接接続し、ストレスのないインターネット環境を実現。各種インターネットサーバ、ファイアーウォールを、富士通IDCに設置し、サーバの運用負荷軽減も可能です。また今後は、ニーズの高いURLフィルタリングやWebウィルスチェックなどの付加サービスも予定されています。

さらに多様化するネットワークサービス

今後もネットワークが、仕事に、企業に、大きな変化を起こすのは間違いないでしょう。

また、今後も広域LANサービス(*2)をはじめさまざまなネットワークサービスが登場してきます。それだけに、これからの企業はコストダウンやセキュリティ確保を目指すのはもちろん、ネットワークをどう使えばもっと変われるのか、もっと前進できるのか、それをしっかり考えていかなくてはなりません。

(監修:編集委員 吉城 寿雄   ザ・パック(株))

*1 MPLS
Multiprotocol Label Switchingの略称。大規模なIPネットワークで、高速かつ安全にパケット(データの小さなまとまり)を転送するための技術。データの宛先を指定する「ラベル」をパケットに付加することにより、転送を高速化し、セキュリティを確保している。
*2 広域LANサービス
LAN(Local Area Network)で使用される方式、つまり比較的近くにあるコンピュータをつないだネットワークで使用されるイーサネットを、全国規模の広域ネットワークサービスに拡大したもの。

FENICSビジネスIPネットワークサービス ホームページ

http://fenics.fujitsu.com/b-ip/
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