パッケージを提供して12年
〜アメリカのお客さまに「夢」を
THE PACK AMERICA CORP.
社長 稲田光男氏
(アメリカ合衆国在住)
|
海外だより パッケージを提供して12年 〜アメリカのお客さまに「夢」を |
THE PACK AMERICA CORP. 社長 稲田光男氏 (アメリカ合衆国在住) |
|
当社は、ザ・パック（株）の現地法人として1987年にニューヨークに設立し、1989年よりカンサス工場で主に高級ショッピングバッグの製造を行なっております。アメリカに日本の繊細な技術による美しい高級パッケージを供給することを目的とすると共に、ザ・パック（株）が東大阪市に設けている「包装資料館」への情報提供の役割も担っております。近年の好景気に支えられたこともあり、2000年は66名の従業員で1,500万ドルと、最高の売上高を予想しております。主なお取引先はAbercrombie＆Fitch、Brooks Brothers、Liz Claiborne、Chanelです。
日本のザ・ パック（株）が紙袋から紙箱、ポリ袋、段ボールケース等を全国展開して販売しているトータルパッケージメーカーなのに対して、当社はまだまだ小さな存在ですが、アメリカ市場には無限の市場があると信じ、現地アメリカの従業員と共に仕事に励んでおります。 日本にはアメリカの情報があふれていると思いますが、最近のアメリカの話題と、パッケージメーカーから見た日米の違いを簡単に述べてみることにします。 大統領選に見る「アメリカIT事情」 今、アメリカ最大の話題は、日本でも長期にわたり大きく取り上げられた大統領選挙です。この原稿が印刷される頃には、21世紀最初の第43代アメリカ合衆国大統領は決まっていることでしょう。そして2001年1月20日正午から就任式が行われ、引き続き就任演説を行いアメリカ政府の方向性が示されます。
世界に対して大きな影響力を持つアメリカ大統領は、独特の方法で選出されています。ご存知の方も多いと思いますが、簡単に大統領選挙制度をご紹介します。
大統領の任期は4年ですが、憲法により二期8年が最長とされています。被選挙権の条件は、米国生まれの合衆国市民で、35歳以上、さらに14年以上合衆国に住んでいること、この3点です。
選挙方法は各州で大統領選挙人を選出し、当選した大統領選挙人が大統領を選ぶ間接選挙です。大統領選挙人は慣例的に自分の党の大統領候補に投票するので、実質的には直接選挙に近い状況です。2000年11月7日に行われた選挙ではこの大統領選挙人を選出しました。大統領選挙人は全米で538名、各州に上院議員と下院議員の合計数が割り当てられています。
特徴的なのは、「ウイナー・テーク・オール＊」と呼ばれる方式です。州ごとに一票でも多く得票した政党がその州の大統領選挙人数を全て獲得できます。
今回の大統領選挙では、従来でのテレビ討論会やスポット広告に加え、インターネットでの選挙活動が活発に行われた点も大きな特徴でしょう。各候補のホームページでは、候補者の毎日の言動が動画、静止画を駆使して提供されると共に、資金集めにも使われました。しかしながら、候補者自身のホームページは宣伝色が強いこともあり、中立的立場を取るテレビや新聞などの既存メディアほどの影響力は無かったとも伝えられています。
制度面でも新しい取り組みがされました。米軍兵士や海外在住者350名ほどが試験的にインターネット投票を行いました。ただし、今回は郵便での不在者投票との併用でした。候補者の名前を書き換えるウイルスへの対策や、確実な本人確認などセキュリティ面の問題からですが、これらの課題も情報通信技術の進歩により、次回大統領選挙までに解決されるでしょう。
|
|
| ページのトップへ▲ |
|
ショッピングバッグから「戦略」を読み取る 日本では、シンボルカラーや店名を中心にしたデザインがほとんどなのに対して、アメリカのショッピングバッグには、人物や商品写真を使用したデザインが多いことに気づきます。高級店から、若者を対象にした店にまでその傾向が多く見受けられますが、中でも特徴的なショップをご紹介しましょう。
●「Abercrombie&Fitch
（A&F ）」
オハイオ州レイノルズパークに本社を置く同社は、全米に250店舗を展開し将来的には400店舗を目指しているカレッジファッションのお店です。昨年の売上高は10億4,205万6千ドルでした。
創業当時は高級小売店でしたが、ザ・リミテッドグループの傘下になったことを機にカレッジファッション店に変貌しました。顧客ニーズに追随するのではなく、創造性に富んだ自らの商品企画で若者を引きつけて人気を博しています。
店員のほとんどはアルバイトで、マネージャーが大学のキャンパスで直接スカウトしてきた、ルックスの良い大学生です。学生を雇うことで友人を顧客にすると共に、時代の流れを読み取ろうとしているようです。
そして、スカウトしてきた店員をモデルに、季節ごとにデザインが変わるショッピングバッグや、電話帳のように分厚い有料カタログを作っています。カタログは単なる商品の紹介だけではなく、モデルとなった学生の経歴などを加えた読み応えのある構成です。
日本への進出意欲もあるようですので、皆さんのお目にとまる日も近いかもしれません。
日米ではデザイン以外にも思わぬところに違いのあるショッピングバッグがあります。
アメリカでは「A&F」より少しグレードが低いとされている「GAP」のショッピングバッグがそれです。日本でもショップ展開をしていますので、紺地にGAPのロゴの入ったショッピングバッグをご覧になられた方も多いことと思います。デザイン的には大きな違いはないのですが、形式に少し違いがあります。アメリカでは袋の上部に折り返しのない（日本ではスーパーマーケットや百貨店で大量に使われている比較的安価な）形式なのに対して、日本の「GAP」のショッピングバッグは、上部に折り返しをし、なおかつ手提げ紐が立った高級感のある（ターントップ）形式になっています。ショッピングバッグは、お客様が気に入れば何度も使うものなので、そのお店のイメージ作りに大きな役割を担います。「GAP」が日本への進出時にショッピングバッグの形式を高級な形態に変えたところに販売戦略が現れているように思われます。
アメリカには、ちょっと変わった使い方をするショッピングバッグがあります。お客様の目にとまるのは同じですが、商品を入れて渡すのではなく、ショーウインドーに入れてディスプレイ用として使います。日本ならば商品をきれいに飾るショーウインドーに、アメリカでは商品や商品イメージをデザインしたディスプレイ専用の高級パッケージを展示することがあるのです。化粧品や貴金属など高級品にその傾向が多いようですが、これもお国柄といえましょう。
ひとくちにショッピングバッグといえども、デザインに対する考え方の違いや、使い方の違いがわかると、見方も変わって興味深いものとなります。多くの企業がアメリカから日本に進出しようとしています。その企業のパッケージに対する考え方から、日本市場に対する考え方が見えてくるかもしれません。
最後に、21世紀最初の「海外から」に、掲載させていただきありがとうございます。アメリカでショッピングバッグを供給し始めて12年、数多くの日系企業へも供給させて頂いております。これから何かのご縁で皆様方のお役に立つ機会があれば幸いです。
(監修：編集委員 吉城寿雄 ザ・パック(株) ) ＊この方式のため、今回の選挙では大統領選挙人が多いカリフォルニア州（54人）、ニューヨーク州（33人）、テキサス州（32人）の結果が注目された。ゆえに、フロリダ州の票の数え直しが大きな論議を起こしたのは記憶に新しい。 |
|
| ページのトップへ▲ |
|