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UPTODATE モバイル新時代
川鉄情報システム(株)
飯塚 英明 氏
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「移動」、「モバイル」がIT革命の主役に躍り出た。ここでは、嬉しいことに日本が世界を牽引している。インターネットの世界に携帯電話(iモード等)で入れることが爆発的人気の原因である。今後はノート型パソコンやPDA、携帯電話機が用途に応じてすみ分け、競合し、あるいは一体化することでモバイル新時代が一層加速するだろう。

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1モバイル新時代
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    背景
    携帯情報化社会のイメージは、「音声・データ・映像を使った対話」を行い、「電子商取引に参加」したり、「金融サービス、株式売買」のできる社会、と位置付けることができる。 「モバイル」をとりまく環境は大きく変わりつつある。そこには、次の3つの背景がある
      (1)来年にサービスが始まる次世代携帯電話の存在がある(動画像の送受信が可能で、海外でも利用できる)。
      (2)携帯電話各社とも現在のネット接続サービスをその前哨戦と位置付けている。
      (3)パソコンに代わって情報端末の主役になることも予想される。

    市場予測
    モバイルコンピューティング推進コンソーシアムでは、2001年に次世代携帯電話サービスの商用化(大容量情報伝送)が行われ、9,600bpsの速度が384Kbps[ISDNの6倍]の伝送速度に進化すると予測している。
    また、2003年には、モバイルコンピューティングの人口が5,200万人となり、2.4兆円規模の市場になるとみている。

    標準化動向
     これらの普及のカギとなるのが各種の標準化である。

      (1) 企画名:「ブルートゥース」
      ●主体:エリクソン、ノキア、米インテル、米IBM、東芝の5社が提唱
      ●内容:携帯電話、パソコン、デジタル家電などをケーブルなしで接続する近距離無線通信規格
      ●特徴:携帯電話から直接プリンタに通信内容などを印刷可能

      (2) 企画名:「Jini(ジニー)」
      ●主体:米サン・マイクロシステムズが提唱
      ●内容:分散オブジェクト技術
      ●特徴:ネット経由で機器の接続に必要なソフトをやり取りする機能
        Jiniを使えば、接続した段階で機器同士があたかも会話するかのように必要なソフトをやり取りする。
        初めて接続する機器でも、ユーザが設定などを意識せずにネットワークを構築可能である
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2モバイル機器における携帯電話
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    最近のインターネットスタイルは、もはやパソコン主体ではなくなっている。iモードや携帯電話を利用したWebコンテンツは急増中で、データ管理機能が中心だったPDA端末は通信機能が追加され、利用領域を拡大している。
    今後はノート型パソコンやPDA、携帯電話機が用途に応じてすみ分け、競合し、あるいは一体化することで、モバイル新時代は一層の加速が予想される。
    iモードを中心とした携帯電話の3つの事例を紹介する
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    事例1 「iモード」(NTTドコモ 1999.2発売)
    世界初のインターネットへのアクセス可能携帯電話であり、最大の魅力は多彩で膨大なコンテンツである。
    (1) 取引系:残高照会、口座振込、クレジットカード請求額照会、市況チェック、株価検索・株式売買、口座振替、航空券・ホテル予約など。

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「残高照会」画面例(NTTドコモ ホームページより)

    (2) DB系:電話帳、辞書検索、レストランガイド、クッキングレシピ、地域情報など。
    (3) 情報系:天気予報、ビジネスニュース、テレビガイド、スポーツニュースなど。
    (4) エンタテインメント系:ネットゲーム、占い、カラオケ、着信メロディダウンロード、キャラクターダウンロード、FMオンエア情報など。


ネットワークシステム構成例(NTTドコモ ホームページより)

    加入者は1年間で424万人、2000年8月で1,000万人。@nifty 370万人(2000年3月現在) を抜いて日本一のインターネットサービスプロバイダーに成長した。
    SI業者の富士通、NECはビジネスへの応用に着手している。

    ●iモード端末から社内のデータベースに接続

    ●業務連絡やスケジュール管理などに使用

    また、ドコモ本体も米マイクロソフトと合弁会社を設立し、「データセンター事業」を計画(携帯端末から社内情報システムへのアクセスを仲介)している。
    コンテンツ記述言語は「HTML」を採用。〔注:欧州ではWAP方式の国際標準が進展中だが、HTML方式は一般のパソコンユーザがiモードのサイトを容易に構築できる長所がある。〕
    サイト数は契約プロバイダー 980社、自由サイト 1万8,000社(企業、自治体、他)を超えた。


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    事例2 「EZウェブ」
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    DDI系セルラー電話グループと日本移動通信(IDO)は、1999年4月から、「EZウェブ」のサービスを開始。「EZポータブル」は、情報サービスの個人利用に特化している。
    特徴は、(1)新方式デジタル携帯電話「cdmaOne」のオプションであること、(2)64Kビット/ 秒の高速通信(ISDN なみ) でのダウンロードを可能にしたこと、(3)コンテンツ記述言語に「WAP(ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)」に対応させたことである

    事例3 「Jスカイウェブ」

    J−フォングループ3社が、1999年12月から開始したサービスである。メールの送受信の「Sky Walker」とコンテンツ提供サービスの「Sky Web」の2本立てで、特徴は256 色のカラー液晶ディスプレーを採用したこと。ターゲットは若い女性である。
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3モバイルに必要なインフラ
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    モバイル端末には機動力という優位性がある反面、計算能力には限界が出てくる。出先で自社のDBを検索するなどのケースではサーバが必要になる。ここに目をつけたサービスが米国では叢生している。インターネット接続用サーバの運用を代行する、データセンタ業者のラッシュが観察される。


    〔事例〕エクソダス・コミュニケーションズ アバブネット(米国大手)

    着眼点は以下の通りである。

    (1)ネット端末は情報表示の能力は持っているが、大規模DB検索のような計算能力の点では非力である。
    (2)大規模計算は、サーバに頼らざるをえない。
    (3)新規にサーバシステムを構築するのは大変なのでサーバ運用代行サービスがビジネスになる。

    (取材協力:富士通(株)ネットワークサービス本部サービス企画部 部長付 小林康彦)


    <参考>
    NTTドコモ ホームページ:http://www.nttdocomo.co.jp/
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