一般財団法人淳風会では近年急速に普及しているスマートデバイスに着目し、巡回健康診断においてスマートデバイスを利用するシステム「スマートワン」の構築を行った。健診機関が事業所などに出向いて行う巡回健康診断では、情報入力手段として長らくOCR帳票が広く使用されている。
当財団においてもOCR帳票を使用していたが、OCR帳票読込後チェック業務の煩雑さ・OCR帳票誤読による訂正等の業務課題を抱えていた。
情報入力手段をOCR帳票からスマートデバイスに変更することで課題解決を図り、更にはスマートデバイスを活用したIT推進により、業務の標準化や作業時間の短縮といった効果を得て、顧客満足度を向上させることがシステム構築の最終目的である。
システム構築にはアジャイル開発手法を選択した。巡回健康診断は契約種類が多いため、最初に仕様を確定させるウォーターフォール開発手法では仕様間違いや仕様不足といったトラブル発生が予想されたからである。
当財団のシステム構築でアジャイル開発手法の採用は初めての試みであった。
本論文では運用開始に至るまでのシステム構築紹介と、運用開始から現在までに得られた成果と課題の考察を行い、これからの展望について論じる。
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