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富士通PLMユーザフォーラム2008 開催レビュー

富士通PLMユーザフォーラム2008開催レビュー

富士通は、長年にわたる自社のものづくりの経験やノウハウ、自社開発した数々のITソリューションなどを強みに、企画段階から設計・開発、ものづくり現場、販売・サポートまでを統合的に支援する「PLMソリューション」を提供している。その豊富な導入事例を紹介するイベントとして、1月29日(東京)と、2月7日(大阪)の2日間、「富士通PLMユーザフォーラム2008」を開催した。今回のフォーラムは、「日本発のものづくりIT」をテーマに、自動車部品、電機・機械、電子製品、産業機械など幅広い業種のユーザ講演を行った。

富士通PLMユーザフォーラム2008

橋本 久義氏

政策研究大学院大学
教授
橋本 久義氏

製造業の強みを強化する「日本発のものづくりIT」

富士通の本庄滋明常務理事は、「人とプロセスとITを一体化して、ものづくりの現場を進化させていく」と力強くフォーラムの口火を切った。

基調講演では、政策研究大学院大学教授の橋本久義氏が「新興工業経済地域(NIES)に真似できない日本のものづくり力」について講演。続いて、富士通アドバンストテクノロジの宮澤秋彦経営執行役が、富士通のPLMソリューションの具体的な取り組みを紹介した。「お客様が求める価値が、性能や価格だけでなく、環境対応、低消費電力などへと複合化している現在、ITを徹底的に活用したテクニカルコンピューティング環境で競争力を高めていかねばなりません」と宮澤経営執行役は語った。

そこで富士通は、商品企画から、基本設計、詳細設計、製造の全体プロセスをカバーする統合ソリューションを提供している。こうしたITを駆使した環境があってこそ、技術課題を先行して洗い出したり、生産準備を前倒ししたりできるのである。

この講演を受けて富士通のPLM事業部の熊谷博之プロジェクト統括部長は、テクニカルコンピューティングを実現する具体的な製品を紹介した。製品データ管理を支援する「PLEMIA」、バーチャルなものづくりを実現する仮想検証ソフト「VPS」(Virtual Product Simulator)、CAD製品としては、大規模アセンブリを実現するICAD/SX Mechanical PROと、2次元/3次元のハイブリッドCADであるSolidMXなどが紹介された。


事例講演

西山 広之様

株式会社ミクニ
統括開発技術本部
技術情報センター
技術管理グループ
リーダー
西山 広之様

自動車業界の環境規制対応への取り組みについて
株式会社ミクニ  西山 広之様

ミクニは、全社全製品を対象にした環境情報管理システムを、富士通の製品環境情報管理システム「PLEMIA/ECODUCE」で構築。環境情報の一元管理と、環境情報管理業務の効率化を実現した。

「自動車部品の材料と含有物質の標準データベースIMDSと、JAMAの統一データシートを連携させて、お客様の要望に応じて、必要なフォーマットで出力できる環境を実現しました」と同社の高倉智美氏は解説する。また、西山氏は「事業活動が環境に与える影響を的確に把握できる体制づくりは、今後のものづくりに不可欠です」と強調した。


長谷川 恭久様

富士電機リテイルシステムズ株式会社
自動化機器事業本部
三重工場
生産企画部 IT推進課
長谷川 恭久様

自販機製造におけるデジタル検証率向上への取り組み
富士電機リテイルシステムズ株式会社   長谷川 恭久様

富士電機リテイルシステムズの品質管理は徹底しており、試作を3段階で行い、実際の使用状況を想定した各種検証を行う。

この高度な品質管理のレベルを落とさずに、さらなる開発リードタイムの短縮とコストダウンを実現するために、富士通のVPSを導入した。人体モデルのシミュレーション機能を活用して、車椅子を利用している人が使いやすいバリヤフリーの形状や位置を確認したり、自販機内のハーネス事前検証の実施に向けて取り組んでいる。「試作後の図面変更率を4分の1に減らし、試作機の台数の2割減を目標にしています」と長谷川氏は意欲的に語った。



野村 毅様

コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社
機器開発本部
機器第3開発センター
第33開発部 第1開発グループ
野村 毅様

情報機器におけるEMI対策設計の実現
コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社  野村 毅様

コニカミノルタビジネステクノロジーズは、デジタル複合機やレーザプリンタなどの情報機器を製造している。

「従来のEMI(Electro-Magnetic Interference:電磁妨害)対策は、実機を検証していました。つまり、金型作成時になって初めてEMI対策を試行錯誤していたのです」と野村氏は言う。

そこで、筐体・ハーネス・基板の3つをすべてシミュレーションできるACCUFIELDを導入。放射ノイズ発生メカニズムなどをきめ細かく検証し、シールディングをはじめとするEMI設計のルール化に成功。確実なデリバリを実現したのである。



山下 晴央様

エンシュウ株式会社
工作機械事業本部
技術部
メカ設計グループ
部長
山下 晴央様

自動車業界向け工作機械製造3次元設計と業務改革に取り組む
エンシュウ株式会社  山下 晴央様

エンシュウは、自動車生産ラインの完全3次元設計に取り組んでいる。納期短縮・信頼性向上の要求に応えるには、製造・組立・検査などの後工程で発生する不具合を減らすことだ。当面の目標は、不具合の「半減」、最終目標は「全工程で30%のコスト削減」である。そこで、設計全体を3次元化し、設計工程で干渉チェックやシミュレーションを徹底的に行うことを決定。2010年までの3年計画を推進中である。

山下氏は「設計ツールは、2次元/3次元ツールとして利用してきた実績と、膨大な数の部品をアセンブリしてもレスポンスが良いICAD/SXを選定しました」と語る。



熊谷 正機様

株式会社IHI
産業システム事業部
プロジェクト部
機械設計・開発グループ
熊谷 正機様

プレス機械・圧延機における3次元設計の取り組み
株式会社IHI  熊谷 正機様

IHIの産業用機械は重厚長大だ。最大重量150トン、部品点数1万5000点に及ぶものもあり、これまでは設計の3次元化は行われていなかった。

「しかし、激化する競争の中で、短納期化・コスト削減を実現するには、3次元CADを導入して、ものづくりを根本から構造改革するしかなかった」と熊谷氏は語る。採用した3次元CADはICAD/SXだ。大規模モデルのレスポンス高速化などを富士通関連会社のデジタルプロセスと共同開発して、「設計工程の全体最適化を目的に、設計者のメリットを出す」ことに注力。設計者の設計時間を3割短縮することを目指す。



丸山 栄家様

日本電産サンキョー株式会社
管理本部
システム部
上席部長
丸山 栄家様

製品設計から工程設計完了までリードタイムを大幅に短縮
日本電産サンキョー株式会社  丸山 栄家様

電子部品とシステム機器の製造を事業の柱にする日本電産サンキョー。

同社が、設計環境の刷新に踏み切ったのは1990年。CAD製品としては、部品点数が増えてもレスポンスが良く、過去設計資産の流用が柔軟にでき、モデル作成が直感的にできる、ICAD/SXを選択。

「真っ先に3次元化に取り組んだカードリーダ部門では、お客様との打ち合わせに3次元を利用することで試作品数の減少を実現。製品設計から工程設計完了までのリードタイムを、2分の1から3分の2へと短縮できました」と丸山氏は成果の一端を紹介した。



渡辺 友宏様

グローリー株式会社
技術推進部
主査
渡辺 友宏様

3次元ものづくりによる製品開発力の向上
グローリー株式会社  渡辺 友宏様

通貨処理システムや両替機などのメーカーであるグローリーは、1999年に3次元CADとしてUnigraphics(現NX)を採用。開発革新を“深化”させるツールとして3次元CAD/CAM/CAEを展開し、「開発効率30%向上、開発期間30%短縮」を実現した。現在では、新しい機種はすべて3次元で開発しており、更なる深化活動に取り組んでいる。

「製品開発力の向上に向け、3次元の導入展開・徹底活用という2つの山を乗り越えてきました。富士通グループの継続サポートを得ながら、次の徹底検証という目標も達成していきたい」と渡辺氏は語った。