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富士通PLM実践フォーラム2007開催レビュー

富士通実践フォーラム2007開催レビュー

日本の製造業は、国際競争の激化、市場ニーズの多様化に加え、労働力減少による「人」の喪失、生産現場が海外へ移転することによるものづくりの「場」の喪失といった課題にも直面している。こうした問題を多角的に捉え、日本ならではのノウハウを駆使して乗り越えることを目指して、「富士通PLM実践フォーラム2007」が開催された。

※日経ものづくり2007年10月号より転載


富士通PLM実践フォーラム2007

「市場ニーズを先取りしいち早く商品化するには~現在と将来の課題をPLMで乗り越える~」

実践フォーラム2007 富士通株式会社 常任理事 間瀬俊明

富士通株式会社
常務理事(デジタルプロセス株式会社代表取締役社長)
間瀬 俊明

第3回を迎えた「富士通PLM実践フォーラム」は、8月30日に東京・目黒雅叙園、9月5日に大阪・ホテル阪神と、関東と関西の2拠点で「日本発のものづくりIT」を共通テーマに開催された。 まず、8月30日の東京会場で、富士通常務理事の間瀬俊明が登壇。「これからの製造業は、市場ニーズを先取りし、いち早く商品化・サービス化することで差別化していかなければなりません。つまり、作った結果である商品の機能や価格以上に、ものづくりの手法こそが勝負の分かれ目になるのです」と、間瀬は語った。ものづくりの手法で脚光を浴びているのが、製品のライフサイクルを全体最適化できるPLMである。

ものづくり松下村塾塾頭の高張研一様は基調講演で、「新しい形の技術立国が求められる日本において、PLMを利活用できるかどうかが鍵となる」と語り、その重要性を強調する。日本のものづくりの強みは、設計、製造、生産技術などの各部門が、それぞれ最高の力を出そうと誠意を持って努力してきたことだ。日本の製造業はこうした良さを継承しつつ、さらにITを・・・

事例講演

「チーム設計に固有の課題もPLEMIAで解決」

川崎重工業株式会社 山守 博文様

実践フォーラム2007 川崎重工業株式会社 山守 博文様

川崎重工業株式会社 車両カンパニー技術本部 設計部 室内設計課
課長
山守 博文様

川崎重工業の車両カンパニーでは、新幹線・ニューヨーク地下鉄をはじめ、様々な鉄道車両を製造している。

全社で収益力強化を経営課題とするなか、同カンパニーでも、売上倍増・短納期化に取り組むことになった。だが2次元設計のままでは、劇的な効率化は望めない。2003年、3次元設計への移行を決断した。04年に3次元CADのSolidMX、同年秋にはDRツールのVPS、05年にはCADデータ管理のためにPLEMIAを次々に導入。問題を前倒しで発見・解決するフロントローディングを実現したという。「特にPLEMIAは、3次元データを効率よく管理でき、排他制御や部品ファイル名変更時のアセンブリ連携などの機能により、複数の設計者がデータを扱うことによるトラブルがなくなりました」と山守様は語る。SolidMX、VSP、PLEMIAの総合的な活用により、不具合発生件数は数年前の6分の1に減少、干渉不具合対策コストも大幅に削減した。同カンパニーは、高収益体質への進化をしている。


「設計情報を日中で共有製造工数の削減に成果」

東芝テック株式会社 臼杵 剛様
東芝テック画像情報システム株式会社 松本 秀夫様

実践フォーラム2007 東芝テック株式会社 臼杵 剛様

東芝テック株式会社生産本部 情報システム部 技術情報システム担当 主務
臼杵 剛 様

実践フォーラム2007 東芝テック画像情報システム株式会社 松本 秀夫様

東芝テック画像情報システム株式会社デザインサポート部
主幹
松本 秀夫 様

東芝テックは、デジタル複合機等の開発に、VPSを活用している。

設計部門から出た、まだ確定していない製品情報を製造部門が持ち帰って検討する「生煮えデータによるお持ち帰りVDR」で、フロントローディングに成果を上げてきた。「生煮えの設計データを、完熟データに育てるしくみをどのように作るかが、差別化と競争力の源泉になるのです」と松本様は強調する。さらに最近では、中国と日本の製造現場のコラボレーションにもVPSを活用し始めた。「VPSの画像に中国語で指示内容を注記するなど、見せ方にも工夫」(臼杵様)しているのだ。 現在では、製造技術部門が整備したデータを日本と中国で共有し、日中の製造担当者が自由に取り出したり再利用できたりするしくみを確立。データの「ハブ」になることを目指している。遠隔地会議の効果拡大、量産立上げ業務量の削減など、VPSによる様々な成果が上がっているそうだ。


「VPSで開発と製造をつなぎ新しい試作体制を確立」

株式会社アマダ 遠藤 泰弘様

実践フォーラム2007 株式会社アマダ 遠藤 泰弘様

株式会社アマダ 試作推進部
部長
遠藤 泰 様

金属加工機械の総合メーカー、アマダは、VPSを活用して、フロントローディングの効果を生産工程にまで拡大。加工組立の効率化を実現した。

3次元CADを導入したのは1999年。早い段階で形状検討ができるようになり、ロボット溶接や機械加工のシミュレーションも実現した。しかし、完成機重量が20~30トンに達する大型機械は部品点数も多く、全体をアセンブリして動かすことは難しい。そこで2004年、データ容量が軽く、組立のシミュレーションまでできるVPSの導入に踏み切った。現在では、設計の早い段階での組立工数見積、組立アニメーションを使ってのバーチャル試作、ハーネスや配管の事前検証などに大きな成果が上がっている。「実際にものを作る前に、関係者間で作り方を議論でき、海外の製造現場にもアニメーションで組立手順を説明できます」と遠藤様は語る。VPSは、アマダのコミュニケーションを変革して、フロントローディングの中軸を担っているのだ。


「SolidMXによる設計で多様な顧客要求に対応」

京セラ株式会社 萩 春二様

実践フォーラム2007 京セラ株式会社 萩 春二様

京セラ株式会社 機構部品事業部技術2課
係責任者
萩 春二 様

半導体、液晶露光装置など、様々な用途に用いられるセラミック構造部材。京セラでは、軽量化や高強度化など、進化を続ける顧客の多様な仕様要求に応えていくために、3次元設計を導入した。

現在では、SolidMXによる干渉チェック、重量計算、さらには、応力解析や振動解析、構造解析の結果を正確に反映した設計を行い、完成度の高い図面を製造現場に渡すことができるようになった。設計業務の工数は20%削減できた上、生産現場でも歩留まり向上や工程不良削減に成果が上がっている。さらに、PLEMIAのeD-Binderを2007年から導入。図面を一元管理する流れを確立した。「情報の共有化を進めることで、設計者が他の作業にわずらわされることなく設計に集中して、その能力を最大限に生かせるのです」と萩様は強調する。今後もPLMソリューションを基盤にして、顧客の多様な要求に応えていきたいという。


「ICAD/SXで3次元設計設計時間を3割短縮」

IHIメタルテック株式会社 百々 泰様

実践フォーラム2007 IHIメタルテック株式会社 百々 泰様

IHIメタルテック株式会社 エンジニアリング本部 機械設計部
部長代理
百々 泰 様

石川島播磨重工業は、2007年7月1日、IHIに社名変更した。このIHIの産業システム部、およびここから05年に分社化したIHIメタルテックは、自動車用プレス・製鉄設備など、部品点数数万点に及ぶ大型産業機械の設計に、02年からICAD/SXを用いている。

「やみくもに3次元CADの利用を拡大するやり方では、構造改革やフロントローディングは実現できません。業務内容を見直し、設計者の仕事が楽になる使い方を設計者自身で考えた上で、ルール作りを最優先させてきました」と、百々様は語る。設計者が主体になっての試行錯誤と、ICAD/SXを納入した富士通のグループ会社であるデジタルプロセスとの共同開発などを数年間にわたって積み重ねてきた結果、産業システム部は、ついに設計時間を3割短縮した。この「3割」の内容としては、3次元モデルを使うことで客先との打ち合わせが少なくて済むようになったなど、設計の周辺業務の効率化が大きな割合を占めているという。


「IPCB設計の問題点も協調設計環境で解決」

富士通株式会社 登坂 正喜

実践フォーラム2007 富士通株式会社 登坂 正喜

富士通株式会社 テクノロジセンター回路技術開発センター
プロジェクト課長
登坂 正喜

LSIの高速化、低電圧化などの要因によって、PCB設計におけるノイズ問題は複雑化・複合化し、信号品質確保が難しくなっている。

そこで富士通は、回路信号の伝送波形解析を行うSignalAdviserと電源ノイズ解析のSIGAL-PI、電磁波解析のACCUFIELDなどを組み合わせて、LSI-PCBを一体モデルとして解析する協調設計環境を作り上げた。「この『LSI-PCB一体シミュレーション』を、DDR2メモリインターフェースを搭載したカーナビ向けLSIで適用して、最適な電源ピン配置・パスコン配置の検討などに成果が上がりました」と登坂は実例を紹介する。シミュレーション結果から、PCBガイドラインを作成し、これに沿ったリファレンスボードを開発したことで、ノイズ問題なしの「一発完全動作」に成功したのである。今後、実装設計にはLSIとPCBの一体解析が必須となることが予想されるだけに、大いに期待される。