導入事例 SolidMX
株式会社ホンダエレシス 様
株式会社ホンダエレシスは2002年10月に株式会社ネステックとNECエレクトロンデバイスカーエレクトロ事業部が合併し設立しました。
大興電子通信殿発行の雑誌「D's Talk」より
[2005年 掲載]
| 導入事例キーワード | |
|---|---|
| 事業概要: | 本田技研工業向(株)け電動パワーステアリング(EPS)、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)をはじめとした車体制御用電子装置の開発・生産 |
| ソリューション: | PLMソリューション |
| 製品: | SolidMX |
協力会社とのコラボレーションで金型製作期間の半減に成功
使いやすく、システムが軽く、幅広いデータ交換ができる3次元CAD「ICAD/MX」を導入
3次元CADの登場により、CADシステムは、設計部門だけの道具ではなくなった。3次元形状を視認したり、データをやりとりする形で、取引先や協力会社とのコラボレーションができるようになったのだ。ホンダグループの電子制御部品メーカー (株)ネステックでは、使いやすく、データが軽いうえ、CATIA、Micro-CADAMをはじめとする幅広いCADシステムと確実なデータ互換のできる3次元CADシステムとして、ICAD/MXを選定。電子制御部品のメカニカル部分の設計に活用している。導入成果はめざましい。設計作業がやりやすくなり、3次元CADならではの干渉チェックにより、設計品質も向上した。協力会社とのデータ交換により、金型製作にかかる時間を半減するなど、納期短縮も実現している。

中島哲夫氏
技術部 部長
CADシステムはコラボレーションできてこそ価値がある。
自動車の内部の電子化には、走る機能にかかわるエンジン制御と、止まる/曲がるといった機能にかかわる車体制御とがある。(株)ネステックは、後者の車体制御のために設立された会社。本田技研工業(株)以降「ホンダ」と表記)の自動車電子制御装置(ECU)の開発・製造を行う専門会社である。「ひと昔前までは、止まる/曲がるといった車体制御の機能は、メカニカル技術で対応してきました。しかしエンジンの小さい軽自動車では、メカニカル制御だけでは燃費がかかってしまいます。軽自動車で、電子制御が行われるようになり、その成果がより大型の自動車にも採用されるようになったのです。これに対してホンダの車は最初からアコードなどの大型の車を対象に、電子制御を開発してきました。燃費の問題だけでなく、運転者にとっての操舵感を良くして、自動車の横の制御の世界を広げていこうという明確なコンセプトがあったからです」と、技術部 部長 中島哲夫氏は胸を張る。
導入の背景

土方久美子氏
技術部
(株)ネステックは、1996年、本田技研工業(株)、ステアリング系部品メーカー・(株)ショーワ、ブレーキ系部品メーカー・日信工業(株)、エンジンマネジメントシステムおよび空調系部品メーカー・(株)ケーヒンの4社の出資によって設立した。自動車業界に、電子制御による新しい可能性をもたらしたいという意気込みは、ネステックの社名の基になっているNew Electronic System Technologyという言葉にも表れている。 「いま設計している電子制御部品は、2~3年先、あるいは5年先の新車に搭載するものであったりします。わたしたちは、5年先に『新しい』と驚いてもらえるようなEUCを設計しようと努力しているのです」と、技術部 土方久美子氏は誇りを込めて語る。
1996年に会社がスタートしたとき、CADシステムについては、回路設計専用CADと、メカニカル部分の設計用にハイエンド統合3次元CADシステムのCATIAを導入した。CATIAを選んだのは、ホンダが使用している製品に合わせたためだ。ただし、CATIAの2次元モジュールのみを購入してコストは抑えた。 自動車を作るためには、数百社、数万人の人々が協力する。したがって自動車業界では、自動車を作る大きな流れを阻害しないような設計ツールを選択することが重要になる。また、協力会社を含めたコンカレントエンジニアリングが進行しており、2次サプライヤーである(株)ネステックも、新型車の企画/デザイン段階からプロジェクトに参画している。ホンダの社内部門であるかのように、密接なコラボレーションを行っているのだ。
プロジェクトにおいて電子制御部品関係の仕様が固まったら、さっそくユニットの設計を行い、その個々の部品図面を板金加工や成型等の会社に渡して部品を作ってもらう。これらを集めてアセンブリしたうえで、プロジェクトに提出して検討し、また設計を修正するといった作業が何度も発生する。ステアリング系部品を取りまとめる1次サプライヤーである(株)ショーワとの協調も重要だ。そこで、グループ内のCADシステムは同一製品にするというのが、これまでの自動車業界の「常識」だった。
幅広いデータ交換を確実に実現する3次元CAD「ICAD/MX」

児玉哲也氏
技術部
しかしハイエンドCADは、数千~数万点もの大規模なアセンブリを扱うようにできているため、システムが重い。当社が作る製品そのものは部品点数が十数点ほどの小規模アセンブリのため、また、自由曲面などの複雑な形状を扱わないため、日常の設計業務にハイエンドCADを使い続ける意味があるのか、データ交換だけ確実にできればいいのではないかと考えるようになっていました。
なにより、ECUを製作するにあたって、ホンダや(株)ショーワよりはるかに多くの図面のやり取りを私どもの部品製作協力メーカー様と行っていました」と中島部長。さらに、納期短縮や設計品質向上を果たしていくために、将来のPDM(プロダクト・データ・マネジメント)構築を検討していくうちに、「元になるCADデータが重いと、当社に合った使いやすいPDMを構築するのにまたコストがかかる」(中島部長)という懸念も生じていた。一方で、設計現場では、どうしても3次元CADを使いたいという要望が高まっていた。「私どもの部品はケースとなる樹脂の中に複雑に入り込んだ金属片が挿入されるため、3次元でないと正確な表現が出来ません。また、納期短縮という大きな課題に対応するため、協力メーカー様とのやり取りで3次元データを扱う必要がありました」と、技術部 児玉哲也氏は言う。システムがコンパクトで使いやすい3次元CADで、しかもCATIAとのデータ互換は確保しておきたい。各種のCADシステムを比較検討するなかで出会ったのが、大興電子通信が提供するICAD/MXだった。ICAD/MXを評価したポイントは次の3点である。
第1に、使いやすく、システムも軽い。2次元CADに慣れている設計者にも、操作がわかりやすく、容易に3次元設計へ移行できる。「セミナーに参加してみたところ、2次元を立体化する部分が非常にわかりやすく、これなら実務にすぐに使えると判断しました。特にメニューの階層が浅いため、階層の深いCATIAよりも、同じ作業を少ない手数でできるので設計者の思考を中断させないところが気に入りました」と土方氏。「わたしも3種類ほど2次元CADを使ってきましたが、マニュアルを読まずに3次元が使いこなせるICAD/MXには驚きました」と児玉氏は付け加える。 また、CATIAで3次元環境に移行すると、コストがかかるし、システムも重い。他のミッドレンジ3次元CADも検討したが、3次元に特化しすぎたもの、2次元を引きずり3次元かしきれていないもの等、バランスを欠き扱いにくい物だった。強力な2次元CADシステムを中核にしながら、3次元CADへと脱皮し必要な機能を備えているICAD/MXは、(株)ネステックが位置付けられている環境に非常にマッチしていたのだ。「設計はすべて3Dが良いとはいえません。単純な構造の切削部品や板金部品は2Dで設計したほうがはるかに効率が良く、良い部品が早く出来ることがかなりあります。さらに、紙の図面を必要とする協力メーカー様にも十分に対応可能なのがICAD/MXの魅力です」と児玉氏は言う。
協力会社とのデータ交換で金型設計期間が半減
第2に、幅広いデータ互換ができる。CATIAの2次元環境とはDXF/DWG出力により、CATIAの3次元環境とはIGESにより、データ交換ができる。ICAD/MXのデータをCATIAでアセンブリすることもスピーディーにできる。また、ICAD/MXはパラソリッド系であるため、他のパラソリッド系CADシステムを使っている協力会社とのデータ交換もスムーズだ。「特に重宝したのが、CADAM、Micro-CADAMとのデータ互換性が高いことです。操作も、CADAM、Micro-CADAMを使ってきた設計者にとっては、共通する部分が多くて使いやすかった」と土方氏は言う。第3に、大興電子通信のフォローもよかった。「営業担当者が気さくで話しやすく、対応も早くて気持ちよかった。『何か相談をするとすぐに製品を売り込まれるのではないか』という心配をすることなく、いろいろ気軽に相談できました」(児玉氏)。データ交換が確実にできるため、ホンダで使用しているツールとは別製品を選択することへの抵抗感はほとんどなかった。これは、現場の意思を尊重し、進取の気概を重んじるホンダグループならではの企業文化であったかもしれない。
2002年4月、3セットのICAD/MXを導入した。設計者は3名であるため、1人1台環境が実現したわけだ。ICAD/MXで作成した設計データは、板金、切削、成型など、加工方法に応じて部品単位に分けて、協力会社に渡す。AutoCADなどの2次元CADを使っている協力会社にはDXF/DWG形式で、3次元CADを使っている協力会社にはIGESで渡す。ミッドレンジ3次元CADのSolidWorksは、パラソリッド・カーネルが共通しているため、特にデータ交換がスムーズだ。 また、CATIAデータに変換して、車体に取り付けたときの干渉チェックも行う。Micro-CADAMの3次元バージョンを使っている部品成型メーカーとのやりとりでは、CATIAの2次元バージョンを使っていた頃には1ヵ月かかっていた成型部品の設計をわずか2週間に短縮することができた。「当社で製作した3次元図を先方に渡す、先方が修正したデータをこちらが受け取る、この作業が3次元のおかげで、お互い認識のずれが無く実にスムーズに行えるようになりました。また、寸法記入の手間などがデータ交換により不要となりました。この相乗効果で、設計期間を半減することが出来たのです」と土方氏は説明する。
次の課題は、DR(デザインレビュー)とPDM構築である。「社外とは同じデータを見ながらコラボレーションできるようになったのに、生産技術、資材購買、品質管理などの社内と話すときには紙の図面を使っています。ICAD/MXを搭載していないマシンでも、設計情報を表示できる仕組みが欲しい」と児玉氏。また、設計が完了したら、マウスクリックひとつで設計情報と図面情報が管理でき、他の部署でも情報活用できるような、みんなが使いやすいPDMシステムも必要だと考えている。「現場が使いやすいツールをベースに、自分たちの使いやすい仕組みを作るのが大事。ネステックは若い会社ですから、他社とは違う強みを出せるような新しいシステム作りを大興電子通信にもどんどん提案してもらいたい」と中島氏は意欲的に語る。ICAD/MXは、ネステックの設計者がストレスなく設計作業を実現し、2・3次元のスムーズな使い分けにより設計品質の向上を実現して、手戻りのない短期間での設計を可能にした。さらに、協力会社を含めた効率よいコラボレーションで、モノ作り全体の期間短縮にも貢献している。また今後のDR、PDM構築でも、軽快なフットワークを実現する中核となるに違いない。
実際に使っている設計者がにこにこ喜んでくださることが一番うれしい
お客様に心から納得して製品を導入していただきたいというのが、私の思いでした。ネステック様には、Micro‐CADAMからICAD/MXへのリプレース・セミナーに参加していただくなどの方法で、ICAD/MXの良さを理解していただくことに努めました。自動車業界はCATIAが高いシェアを占めていますが、ICAD/MXはその3分の1ぐらいの値段で、データ交換も確実にできます。何よりもうれしいのは、今日に至るまで「使いやすい、ありがとう」「いつでも寄ってね」と言っていただけることです。(株)ネステック様は宇都宮支店から場所も近いため、今後も足繁く通って、ビジュアライゼーションや、部品表と連携できる使いやすいPDMの提案を行っていくつもりです。
大興電子通信株式会社 北関東支店 担当営業 談
【会社概要】
株式会社ホンダエレシス 宇都宮事業所
- 所在地: 栃木県宇都宮市平出工業団地18-7
- 設立: 1996(平成8)年10月1日
- 資本金: 3億円
- 従業員数: 98名(2001年3月末現在)
- 事業内容: 本田技研工業(株)向け電動パワーステアリング(EPS)、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)をはじめとした車体制御用電子装置の開発・生産。
株式会社ネステックは2002年10月にNECエレクトロンデバイスカーエレクトロ事業部と合併して、株式会社ホンダエレシスとなりました 。カーエレクトロニクスの専門企業として、主に車体系の自動車用電子制御ユニットの開発・製造を行う世界トップレベルの最先端技術を有する 自動車部品メーカーです。
この事例は販売窓口である大興電子通信株式会社殿の情報誌の「D's TalkVol.5」を転載したものです。大興電子通信株式会社殿は、国内第一の販売実績を持っています(富士通グループは除く)。



